押し出された年輪
2022.12.12.22:33
木の家に住み始めて16年が経ち、初々しい色艶から天然乾燥本来の美しい色艶が見られるようになってきました。
新築前に林業家の20年経ったモデルハウスを見せてもらったときにこんな綺麗な家に住みたいと言った当時が懐かしくまた、わが家を美しいと思えるようになったことはうれしいことです。
今年も林業家の伐採ツアーに行ってきました。
毎回新しい発見や気付きがある質の高い伐採ツアーですが、今年も新しい発見がありました。
年輪を数えると樹齢が分かります。スギは春目と秋目の色の違いがはっきりしているので年輪が数えやすい木です。

普通は最初の写真の黒い円で囲った部分の縞模様(年輪)を数えます。
黒い円の外側は樹皮(赤い矢印)なのでその内側の年輪を数えることになります。
ここで一つ疑問があります。
年輪が毎年一本ずつ増えて大きくなるとすれば樹皮はいつ出来るのでしょうか。
冷静に考えてみるとちょっと不思議です。
木の外周部では自らを支え水の通り道になる木部と、葉っぱで光合成した栄養分が通りやがて樹皮になる師部に分かれています。
2枚目の写真の青い矢印が境目あたりを指しています。

年輪は一本ずつ増えると言われていますが、実は木部と師部それぞれ一本ずつあるので2本の縞模様が出来ることになります。
木部は細胞を増やすことで前年よりも周囲を太くすることが出来ますが、去年出来た師部は今年よりも周囲が細いので横に伸びるかちぎれることになります。
2枚目の写真では茶色い樹皮や内側のピンク色をした部分の縞模様の間隔がとても狭いのが観察できます。
撮影の20分前まで100年以上立っていた木でまさか自分が切られるとは思っていなかったというか撮影時は切られたことすら分かっていないと思います。
伐採後時間が経ってしまうとこんな綺麗なピンク色は出ません。
樹皮をカンナで縦に削ってみると綺麗な層になっていて毎年少しずつ内側から押し出されて所々ちぎれながら生長してきた様子が分かります。
こんな観察をした後に横に立っているスギを見ると皮の縦縞模様が押し出された師部の年輪?のように見えてきます。

3枚目の写真ではヤニがどの層から分泌されているか見ることが出来ます。
木部と師部の間、木が盛んに細胞分裂している形成層と言われる層からしみ出していることが分かります。
大切な形成層を虫や病気から身を守るためにベトベトしてとても苦いヤニで武装しているようにも見えます。
私たちは木材を材料や燃料として捉えますが、スギで言えば少なくても1億年以上生き続けてきた生き物です。
また、動物や昆虫、鳥などに花粉や種を運んでもらうこともせず、風だけを頼りに長い年月を生き延びてきた古いタイプの植物です。
多分私たちはスギのほんの一部しか捉えていないので木の家のどこがよいのかといった話は五感とか、なんとなくと言ったボヤッとした話になりやすいのだろうと思います。
今回のツアーで林業家から一冊の本を紹介してもらいました。
「木材セラピー」木のやさしさを科学する
これまで被験者のアンケート方式が主流だった研究が測定器や研究者の工夫によって科学的に捉えられるようになりその成果がわかりやすく紹介してあります。
私もこれまで生活しながら木の家を観察してきましたが、素人の自由研究の範疇です。
研究者とは質も精度も比べものになりません。
しかし、木の家には能動的快適性がある。つまり、自ら能動的に探したり知ったりすることで快適性が向上することだけは確かだと思います。
今回は押し出された年輪の話でしたが、わが家の木のふるさとに行って新しい体験や気付きをもってわが家を見るとちょっと違って見えるから不思議です。
新築前に林業家の20年経ったモデルハウスを見せてもらったときにこんな綺麗な家に住みたいと言った当時が懐かしくまた、わが家を美しいと思えるようになったことはうれしいことです。
今年も林業家の伐採ツアーに行ってきました。
毎回新しい発見や気付きがある質の高い伐採ツアーですが、今年も新しい発見がありました。
年輪を数えると樹齢が分かります。スギは春目と秋目の色の違いがはっきりしているので年輪が数えやすい木です。

普通は最初の写真の黒い円で囲った部分の縞模様(年輪)を数えます。
黒い円の外側は樹皮(赤い矢印)なのでその内側の年輪を数えることになります。
ここで一つ疑問があります。
年輪が毎年一本ずつ増えて大きくなるとすれば樹皮はいつ出来るのでしょうか。
冷静に考えてみるとちょっと不思議です。
木の外周部では自らを支え水の通り道になる木部と、葉っぱで光合成した栄養分が通りやがて樹皮になる師部に分かれています。
2枚目の写真の青い矢印が境目あたりを指しています。

年輪は一本ずつ増えると言われていますが、実は木部と師部それぞれ一本ずつあるので2本の縞模様が出来ることになります。
木部は細胞を増やすことで前年よりも周囲を太くすることが出来ますが、去年出来た師部は今年よりも周囲が細いので横に伸びるかちぎれることになります。
2枚目の写真では茶色い樹皮や内側のピンク色をした部分の縞模様の間隔がとても狭いのが観察できます。
撮影の20分前まで100年以上立っていた木でまさか自分が切られるとは思っていなかったというか撮影時は切られたことすら分かっていないと思います。
伐採後時間が経ってしまうとこんな綺麗なピンク色は出ません。
樹皮をカンナで縦に削ってみると綺麗な層になっていて毎年少しずつ内側から押し出されて所々ちぎれながら生長してきた様子が分かります。
こんな観察をした後に横に立っているスギを見ると皮の縦縞模様が押し出された師部の年輪?のように見えてきます。

3枚目の写真ではヤニがどの層から分泌されているか見ることが出来ます。
木部と師部の間、木が盛んに細胞分裂している形成層と言われる層からしみ出していることが分かります。
大切な形成層を虫や病気から身を守るためにベトベトしてとても苦いヤニで武装しているようにも見えます。
私たちは木材を材料や燃料として捉えますが、スギで言えば少なくても1億年以上生き続けてきた生き物です。
また、動物や昆虫、鳥などに花粉や種を運んでもらうこともせず、風だけを頼りに長い年月を生き延びてきた古いタイプの植物です。
多分私たちはスギのほんの一部しか捉えていないので木の家のどこがよいのかといった話は五感とか、なんとなくと言ったボヤッとした話になりやすいのだろうと思います。
今回のツアーで林業家から一冊の本を紹介してもらいました。
「木材セラピー」木のやさしさを科学する

これまで被験者のアンケート方式が主流だった研究が測定器や研究者の工夫によって科学的に捉えられるようになりその成果がわかりやすく紹介してあります。
私もこれまで生活しながら木の家を観察してきましたが、素人の自由研究の範疇です。
研究者とは質も精度も比べものになりません。
しかし、木の家には能動的快適性がある。つまり、自ら能動的に探したり知ったりすることで快適性が向上することだけは確かだと思います。
今回は押し出された年輪の話でしたが、わが家の木のふるさとに行って新しい体験や気付きをもってわが家を見るとちょっと違って見えるから不思議です。