誤解と思い込み

2017.04.25.21:11

 木の家での生活も10年を超え住み始めた頃は初々しかった木の色も落ち着いてきました。はじめは赤身と白太の色の違いもはっきりしていましたが今はほとんど分からなくなってしまいました。

 住み始めたときに林業家がそのうち色の差は無くなりますよと言っていましたが当時はこんなくっきり分かれている色が分からなくなるなんて本当かなって思っていました。

 振り返ってみると当時の私には木の家に対して思い込みや誤解が多かったように思います。
 誤解や思い込みも木の家で日常を送りながら少しずつ減っていきました。
 今回は木の家でよく言われる話と木の家の住まい手としての感想をいくつか紹介します。椅子と杉床

 最初は、杉床は柔らかいので傷がつきやすい。
 杉の無垢材を床に使うと床が傷だらけになると言う話です。
 写真は10年近く椅子の生活をしていらっしゃる家の杉床です。(食卓に椅子がある家で撮らせてもらいました)

 見たとおり椅子の脚にクッション材などはありませんが、引きずった跡やめり込んだ跡などは見られません。
 傷が付かないように注意しながら使っているわけでもないし、7人分の椅子の床部分はみんな綺麗な状態です。
 テーブルや椅子を移動させたらこの場所に椅子があったことが分からないくらい綺麗な状態でした。

 以前に林業家が「杉床って傷つきやすいと言われるけど結構強いんだよ。」と話してくれたことがありました。
 それを聞いていてもやっぱり杉って柔らかいしぃ~ 傷ぐらいは付くだろうと思っていましたが、椅子の脚ぐらいで傷だらけになることは無いようです。

 また、杉は柔らかいので傷は付きますが、この柔らかいことが幸いして傷が目立ちにくくなります。
 堅いものを落として傷が付いた直後は床面と床板内部の色の違いがくっきり出るので目立ちます。
 ところが時間が経つと傷の角も丸みを帯びるし無垢材ですから色は同じになってしまうので目立たなくなってしまいます。

 最初の一カ所目はきゃあーやっちゃった!と大騒ぎになるかもしれませんが、1年も経たない間に細かい傷に紛れてしまいほとんど気にならなくなってしまいます。
 無垢の杉は傷つきやすいという話は杉床の特徴の一面だけを捉えた話です。
 杉床で生活している住まい手としては床の傷などどうでも良いと思えるほど杉床の冷たくなくサラサラしている感触は気持ちが良いです。

 もう一つ、杉床(無垢材)と床暖房は相性が悪い。
 これもよく聞く話です。
 わが家では10年以上床暖房を使い続けていますが何の問題も無いし、なぜ無垢材と床暖房が相性が悪いと言われるのか不思議なくらいです。

 床暖房と言っても電気式や温水式、温水を使うタイプでも温度、面積や使い方など様々な違いがあります。
 無垢材は急激な温度変化が頻繁に起きるような使い方には向かないと思いますが、床暖房には無垢材が使えないと言うことではありません。

 むしろほどよい堅さや高い調湿効果を持つ杉床と床暖房は住まい手からみると相性が良く富山の冬の住み心地に大きく貢献してくれるので是非建築士に相談して欲しいと思います。

職人の一言

2017.04.09.10:00

 建築士がお施主さんのご厚意で開催する見学会には大工さんも応援に来てくれることがあります。
 建築士は説明だけだったらまとめて話すこともできますが、みなさん聞きたいことがありますから建築士一人だけでは大変です。
 私もお願いして見学会に出向いたときにこんな一コマがありました。

 大工さんがお客さまに柱について説明しています。
 「この柱はたまたま見つけたのでここにしました。」
 これだけでは何のことだか分からないので少し説明するとお施主さんの家も真壁仕様なので柱が表に出ています。

 普通は柱の3面が壁などに隠れてしまいますがリビングにある1本の柱は4面とも見える場所に立っています。
 家に使われている柱は節がある芯持ち材でしたが、リビングにある1本の柱には節が見当たりませんし、薄い化粧板を張ったつき板柱でもありません。

 つまり4面無節柱(超高級品)です。
 大工さんはこの超高級柱をたまたま見つけたのでこの位置にしました。と言っていたわけです。
 この話を聞いていた私は大工さんにもう少し説明をしてほしいと思いました。
 というのは、大工さんは作業場で家に使われる柱や梁を全部並べてどれをどこに、どの向きに使うのかを一本ずつ決めていきます。

 柱が100本あるとすると柱だけで400面をみていることになりますし、梁もあります。
 よく見える場所には色が揃った柱の綺麗な面が表になるように、隠れて見えない場所にはそれほど見栄えを気にしなくても良い材料と全部見て決めていきます。

 番付は見ていると静かな作業ですが大工さんの頭の中はフル回転です。
 そんな大変な作業の結果選ばれてリビングに決まった柱なのですが、見学会では「たまたまみつけた・・・。」になってしまいます。
 これが営業担当だったら違う言い方になったと思います。

 また、林業家にも似たところがあります。t_DSC_4224.jpg
 わが家には8寸角(24㎝角)の太い柱が2本あります。
 大黒様が2人いるのはおかしいと言うことで一本は大黒柱、もう一本は恵比寿柱と呼ぶこともあるそうですが、呼び方はさておき太い柱が2本あります。

 新築を前に木を見に行くために林業家を訪ねたときに天然乾燥中の太い柱について説明をしてくれました。
 一本の太い柱を指さして「この木はいい木だよ。」と言ってくれました。
 当時(平成16年頃)はへぇ~と言うくらいにしか捉えることができませんでしたが、新築後も続いている林業家や大工さん、建築士とのおつきあいの中で林業家がたくさんある材料の中でどうしてあの一本の柱だけ指したのかが分かってきました。

 一本の木からは柱や梁、板も取ることができます。
 しかし、柱に向く木もあれば梁に向くもの、板に向くものなどそれぞれ木の個性によって向き不向きがあります。
 また、柱と言っても4寸、8寸など太さや長さによっても選び方が変わってくるそうです。
 8寸角で長さ6メートルの柱となると加工分を含めてもっと長くて太い木を用意することになります。

 長くて太くてしかもまっすぐな木と書けば数文字ですが山の傾斜地で100年近く風雨に耐えてきた植物としての杉がまっすぐに育つというのは無理が多い内容です。
 現場でも大黒柱として使える木は2000本伐採して10本あるかないかという1%未満の話だそうです。

 その中でもたまたま100年間周囲の木の並びや育ち方など様々な要因が重なって偶然まっすぐに伸びる木が出てくるそうですが先ほどの1%未満のさらにもう一桁小さい数になってしまうそうです。
 林業家が言ってくれた「この木はいい木だよ。」の一言にはとても深い意味があったことをずっと後になって知りました。

 大工さんや職人さん、林業家は私たち住まい手のために目に見えない努力や苦労をしてくれています。
 営業担当者のようには話してくれませんが、建築士は住まい手と大工さんや職人さん、林業家をつないでそれぞれの仕事や役割を紹介してくれます。

 見学会は住まい手と建築士の出会いの場でもあります。
 家を見ることをきっかけに建築士に今まで聞いたことや思っていることについて尋ねてみると意外な話が聞けるかもしれません。
 木の家に住み始めて10年を超えて振り返ってみると私が当時思っていたことには随分誤解と思い込みが多かったように思います。

 建築士や林業家、大工さん、職人さんからわが家のことを学ぶ中で誤解や思い込みが減っていき住まい手としても上手に家が使えるようになっていきました。

Q値と住み心地

2017.03.17.19:35

 前回、Q値やUa値、気密性能で使われるC値といった値も参考になりますが、人が生活していてどのように感じるかといった視点は値以上に住み心地には影響がありますと書きました。

 ハウスメーカーのパンフレットには当たり前のようにQ値やUa値などが載っていますし値が小さいことをアピールする会社もあります。
 建物から逃げていく熱量を知ることは光熱費の削減など実生活に恩恵がありますから是非知っておきたい値です。

 しかし、値が小さいほど住み心地が良くなるかというとそうでもなさそうです。
 室内に温度計を置いて室温を調節している方は多いと思います。
 普通は一台か二台の温度計で室温をみているわけですが、人間の体には手のひらだけでも15,000個を超えるセンサーがあって体中のセンサーから集まる大量のデータを総合的に判断してリアルタイムに環境を把握しています。

 室内にある温度計が適温になっていても足下が寒かったり頭だけ熱いなどといったことも普通に感じることができます。
 Q値やUa値が小さいと言うことは熱が逃げにくいと言うことですが、家全体から逃げていく熱量しか分かりません。

 室内には暖房機付近の暖かい場所もあれば壁や窓付近などまだ暖まっていない場所もあります。室内に温度差があると暖かい空気は上昇し代わりに冷たい空気が降りてくるといった対流が起きます。
 家全体から逃げていく熱量が同じでも室内に大きな温度差あると住まい手は常に冷たい空気にさらされて生活することになります。カタ温度計

 また、エアコンやファンヒーターなどの温風暖房では室内に気流ができます。エアコンから出ている風などたいしたことが無いと思っていましたが、測ってみるとエアコンから5メートルぐらい離れていても0.2m/sぐらいの気流がありました。

 普段の生活で人が感じることができる気流は0.3m/sぐらいからと言われていますが、気をつけていれば0.2m/sでも感じることができます。(写真はカタ温度計による気流測定の様子)

 1秒間に20㎝程度という微弱な風というか空気の動きでも肌にまとわりついている高湿度の空気には影響があるようです。
 私たちの体からは常に水蒸気が出ています。おなかと背中に温湿度センサーを貼り付け服を着て数時間観察してみると肌の表面付近温度は30度から32度ぐらいで湿度は室内よりも常に高くなっていました。

 暖房期間中わが家の平均的な気流は0.1m/s以下なのでじっとしていても気流を感じることが無く、湿度計が30%ぐらいでも乾燥しているようには感じません。
 一般に快適と言われる湿度は40%以上と言われていますが、室内の気流によってはもっと湿度が低くても体にまとわりついている湿度の高い空気によって感じ方が違ってくるようです。ガーゼを巻いた温度計

 棒温度計を二本用意して片方だけ濡れたガーゼを巻いて弱い風を当ててみるとガーゼを巻いていない温度計は風が当たっても温度は変化しませんが、ちょっとした風でも濡れたガーゼを巻いた温度計の値は変化することからも気流が小さいと肌周辺の高湿度の空気がはぎ取られにくくなるように思います。

 熱損失といったエネルギーの話と人が室内環境をどう感じるかと言ったことは分けて考えた方が良さそうです。

冷暖房費の捉え方

2017.03.05.11:16

 光熱費で話題に出るのは夏の電気料金が多く冬の暖房費は夏ほど話題が出ないように感じています。
 わが家で夏と冬の冷暖房費を比べてみると夏は1.2万円、冬は6万円ぐらいですから暖房費の方が負担が大きいのですが世の中はなぜか冷房費の話題が多いようです。

 大都市は太平洋側に多く冬は日射も期待できる比較的温暖な地域にお住まいの方が多いこと、冷房はほとんどエアコンが使われているのでエネルギーが電力に集中します。
 暖房は灯油や電気(ヒートポンプやストーブ)、薪ストーブなど暖房に必要なエネルギーが分散しています。

 また、電力会社によって電気料金が違うことも影響しているように思います。
 わが家では毎年1月の電気料金が最も大きくなります。試しに東京電力の料金メニューの中からわが家にお得なメニューを選んで電気料金がいくらになるのか調べてみました。

 北陸電力からの1月分の請求は27,276円(消費税や各種割引、燃料再調達価格、再生可能エネルギー固定価格買取制度などを含みます)、東京電力では42,253円になりました。
 北陸電力は電気料金が安いとは聞いていましたが実際に調べてみるとずいぶん違うことに驚きました。

 同じだけ消費しても東京電力と北陸電力では無視できないほど費用に差がありますからエアコンの費用面での捉え方も地域によって違うように思います。
 先ほどの27,276円の中には消費税や諸費用、給湯・照明や家電分も含んでいますから暖房分で計算してみると15,000円ぐらいになります。

 全室連続暖房で暖房費用が15,000円と言ってもなかなか信じてくれませんが、わが家では最も暖房費用が大きくなる1月でもこのくらいです。
 灯油が暖房の熱源だったころに1月に消費した量は500リットルぐらいだったので今は当時の半分以下の費用で当時よりも暖かい室内で生活しています。

 これをやれば一気に解決!では無くて建築士と一緒に細かいことや体で感じたことをコツコツ積み重ねてここまできました。
 私たちは寒い時期には暖かさを室内に取り入れることを考えます。
 暖かさを室内に取り入れるだけじゃ無くて室内から寒さを取り除く工夫も同時に進めることが費用負担軽減には有効だと分かってきました。

 夏はエアコンなどで暑さを取り除くことに注目されますが、夏は室内に暑さを取り入れない工夫も結構有効です。
 夏の暑さを室内に取り入れないとか冬の寒さを室内から取り除く視点はこれまであまり注目されてきませんでしたがこれから家を考えられる方は取り入れていただきたいことだと思います。

 取り入れろといわれても具体的にどうしたらいいのか分かりませんし、誰に相談したらいいのかも分かりません。
 家を建てるにはまず誰に相談するか決めなくてはいけません。その時に暑さ寒さを取り除く工夫について尋ねてみるのもいいかもしれません。

 わが家でもコールド・ドラフト気流、全室床暖房、間取りといったテーマでいくつもの工夫がされています。

 それぞれの工夫がバランス良く整うことで費用を抑えながら暖かい室内で快適に過ごすことができるようになりました。
 Q値やUa値、気密性能で使われるC値といった値も参考になりますが、人が生活していてどのように感じるかといった視点は値以上に住み心地には影響があります。

 家の仕様が決まる新築や改築時には是非、地域の環境も含めて理屈を理解した建築士に相談してほしいと思います。

体感温度

2017.02.28.11:17

 室内での体感温度は室温と壁や天井、床などの表面温度を測ることで知ることができます。
 体感温度=(室温+壁の温度)÷2
 室温が25度で壁が17度の室内での体感温度は21度
 室温が21度で壁が20度の室内での体感温度は20.5度

 どっちの部屋でも体感温度はほぼ同じですが、体験してみると体感温度が21度だった前者の方が寒く感じます。
 ずっと不思議に思っていましたが、どうやら放射が関係しているようです。

 熱の伝わり方には伝導・対流・放射の3つがあります。
 熱は高いところから低いところに移動してお互いが同じ温度になろうします。
 私たちの体温は36.5度付近で体の表面温度は30~33度ぐらいと言われていますから体からは伝導・対流・放射の3つの方法が熱が出て行きます。

 伝導と対流はわかりやすいのですが放射で熱が逃げるというのは分かりにくい話です。
 物質を温めると電磁波が発生します。熱エネルギーによって電磁波が発生し熱が減るというややこしい話なので放射でも熱は逃げていくと言うことにします。

 電磁波は電場と磁場が交互にやってくる波で波長によって可視光とか電波やX線などいろいろな呼び方があります。
 人間が吸収できる電磁波の波長は3~25マイクロメートルぐらいでそのうち4~14マイクロメートルを「生育光線」と呼んでいます。このあたりの波長は遠赤外線(4~1,000マイクロメートル)と呼ばれる領域です。

 遠赤外線が私たちに当たると着衣や体を構成している分子と共鳴して運動が激しくなり熱が発生します。
 遠赤外線に熱があるわけでは無く遠赤外線が当たった物の分子が激しく振動してその結果熱ができるという仕組みです。

 床暖房や薪ストーブは輻射熱暖房と言われます。放射と輻射の使い分けは物質を温めて発する電磁波などは放射と表現し、物質は自らが電磁波を発しながら他からも受けて熱交換しています。これを輻射と表現することが多いようです。

 以前洗濯物の乾燥について書いたときに洗濯物から蒸発して出ていく水もあれば空気中の水蒸気が洗濯物に水として戻ってくる話がありました。
 水は温度によって蒸発する速度が決まっていますが、湿度が高くなってくると水に戻ってくる水蒸気も増えてくるので相対的に水の蒸発が遅くなって見えると言うことでした。

 体から放射される熱量は同じでも周囲から放射によってもらう熱量が違うことで出て行く熱の速度に違いができます。
 壁が冷たいと見かけ上、体から早く熱が逃げていくので寒く感じると言うことのようです。

 また、窓の近くにいると寒く感じることがあります。
 窓に熱が引っ張られるとか冷放射などと言われますが、これも窓という周囲よりも温度が低い部分から発せられる電磁波(遠赤外線)が少ないことで窓に向いている体の方向だけが相対的に早く冷めると考えるとしっくりくるように思います。

木の家の色艶

2017.02.19.13:42

 住み始めて10年を超え新築時に盛り上がった家づくりの情熱も冷めているはずなのですが、未だに木の家の住み心地を書き続けています。

 木の家で生活していると今まで聞いたことや言われていることが本当なのか、どうしてなのかと言ったちょっとした疑問を日常生活の中で観察や測ったりすることで探ることができます。
 理科室で生活しているようですねと言われたこともありますが、日常生活の観察ですから特別なことをしなくても続けられます。

 最近では林業家にもらった板を丸一日冷蔵庫で冷やして触ってみたところ冷たくなかったとかペットボトルの表面みたいな結露がつかなかった体験をしました。
 わが家では年中裸足の生活ですが、寒い時期や暑い時期でも冷たくなくてサラサラしている杉の特徴をわかりやすく体感できた観察でした。

 ひさしを利用して夏の日射を遮りながら冬の日射を取り入れる手法はよく聞きますし理屈にかなっていると思っていましたが、富山のわが家で観察してみると冬は晴れる日が少なくて日射に期待できないことや夏の日射はひさしで遮ることができますが窓から入ってくる熱には地面などから跳ね返ってくる照り返しもあってこれが結構大きいことも分かりました。
 夏に日射計を室内から太陽に向けると1,000W/㎡ぐらいになりますが、地面に向けると1,500W/㎡ぐらいになります。
 植木鉢などの置く場所を工夫するだけでも照り返しを大きく減らすことができます。

 わが家は杉を天然乾燥した真壁の木の家です。
 天然乾燥すると何がよいのかについてプロに尋ねたアンケートでは色艶が良いことが一位になります。
 大工さんや林業家は天然乾燥材は他の材料よりも色艶が良いと言うのですがそれを住まい手としてどのように捉えて良いのかずっとモヤモヤしていました。
 早い話が色艶が良いことで何かいいことがあるのかと思っていたわけです。

 林業家に思い切ってこのことを話したことがありました。
 色艶が良いというのは時間が経って周囲と違和感なくなじむと言うことじゃないかなと話してくれました。

 そういえば新築の前に20年経った家を見せてもらったときに私もこんなきれいな家に住みたいといったら林業家は20年待て!と言われたことを思い出しました。
 時間が経って色艶が良いと誰かが評価した材料で家を建てるよりも最初は初々しいけど住まい手と一緒に時間を過ごすことでなじんだ家の方が住まい手にとって価値があると言うことだと思います。

 最近でも建築士にお願いして新しい家を見せてもらう機会があります。
 住まい手も初々しいけど天然乾燥した柱や梁も初々しい色艶をしています。
 家に帰ってわが家をみるとこっちの方がいいなぁと思うことがあります。
 家族も家と一緒に10年過ごしてきたわけですが、住まい手と一緒に変化をすることが天然乾燥材の大きな特徴のように思います。

 私たちはだんだん年をとっていきますが家だけ新しいままでは取り残された感じがしますし経年劣化で当初の機能が損なわれてしまうのも困ります。
 調湿や触感など機能は損なわず色艶の深みを増すことで住まい手に安らぎを与えてくれます。
 私たち家族はこの家と10年過ごしてきました。10年一緒に過ごしてきた分わが家が綺麗だと思うようになりました。

 あと10年ぐらい経ったら大工さんが言っていた天然乾燥した赤身材はやがてトロトロ(色艶が深まって立体感が出てくる)になる様子が見られるかもしれないと楽しみにしています。

光熱費の見直し

2017.02.12.12:24

 新築時に熱損失について関心を持たれる方は多いと思います。
 少し前まではQ値、今はUa値が使われています。

 Q値 = 単位温度差あたりの総熱損失量 ÷ 床面積
 Ua値 = 単位温度差あたりの総熱損失量 ÷ 外皮表面積の合計

 どちらも屋内外の温度差1度当たり1時間に屋外に逃げていく熱量から求められます。

 Q値では小規模住宅や同じ床面積でも複雑な形状の住宅では床面積に対して外皮面積の割合が大きくなり不利になる場合もあるので、住宅の規模や形状による影響を受けにくいUa値が使われるようになったそうです。

 外皮とは外気等に接する屋根、壁、床、天井や窓などの開口部のことです。
 家相の中にも張りと欠けが出てきますが、なるべくデコボコしないスッキリした家の形は温熱環境から見ても有利なようです。

 さて、Q値・Ua値どちらも値が小さい方が性能は高いのですが、値だけ言われてもそれが何の役に立つのかよく分かりません。
 比較するときにはUa値が分かっていると比べやすいのですが、住まい手としては自宅の維持管理に責任があるので他の家はあまり興味がありません。

 Q値・Ua値を求めるときに総熱損失量が出てきましたが、Q値2.0で床面積150平米の家の場合総熱損失量は300Wになります。
 つまり屋内外の温度差が1度あたり1時間に300Wの熱が逃げていく家と言うことになります。
 屋外が5度で室内が20度の場合温度差は15度、生活で発生する熱を3度とすると温度差は12度となります。

 300×12=3,600

 Q値2.0床面積150平米の家では屋外が5度の時、室内を20度に保とうとすれば1時間に3,600Wの熱を供給すればよいと言うことが分かりました。

 灯油で丸一日暖房すると
 3,600W×24時間=86.4kWh
 86.4×3.6MJ=311.04MJ (1KWh=3.6MJ)
 311÷36.7MJ=8.47L (灯油1リットルあたりのエネルギー量36.7MJ)

 エアコンの場合は
 86.4÷4=21.6kWh(平均エネルギー消費効率4)
 21.6×23円=496.8円(1kWhあたりの電気料金単価23円)

 費用で比べてみます。
 灯油8.47Lは単価70円とすると593円、電気料金は497円で灯油単価58円で両者が同じぐらいになります。

 また、自宅内外の温度を測っていると富山では晴れる日が少ないとはいえ晴れれば室温も上がります。
 日中は朝よりも気温がわずかでも上昇するので暖房設定温度を2度程度下げるなどあまりエネルギー必要としない部分に注目することで寒い思いをせずに暖房費用を大きく下げることができました。

 住み始めた頃は前の家よりも暖かいのに浮かれて多くのエネルギーを使っていました。
 ピーク時には灯油消費量が年間3,588L、電力は9,074kWhでしたが、昨年は電力消費量が12,304kWhでした。
 電力消費量は3,200kWh増えていますが灯油を使わなくなったり電気料金プランの見直しなどで光熱費は年間20万円以上少なくなっています。

 光熱費は家計から継続的に出て行きます。削減額が小さいと何かしようとまでは思いませんが、光熱費として払ったつもりで積み立てると5年もすれば100万円ぐらいになります。

 自分で使える資金を増やすには収入を増やすか支出を減らすかしかありません。

 これまでは収入を増やすことが注目されてきましたが、これからは支出を抑えることで使える資金を確保することにも目を向けていくことが大切だと思っています。
 自宅の総熱損失量を知ることは光熱費の見直しに役立ちます。

続・室内干し

2016.12.25.13:40

 前回室内でタオルが5時間40分で乾いたことを書きました。
 木の家では洗濯物がよく乾くと言ってもあまり関心を持っていただけないので室内でタオルがどのくらいの時間で乾いているのか観察してみました。

 洗濯物の室内干しといえば除湿器や乾燥機または扇風機やサーキュレーター、室内干し用の洗剤などの話になってしまい何もしなくてもよく乾くという話は信じてもらえません。
 ところが実際に木の家で生活している方に話を聞くと確かに洗濯物はよく乾くと何人もの方が話してくれます。

 今回の計算や観察でわが家での室内干しには3つの要素が影響しているように感じました。
  室温
  洗濯物を干してからの湿度変化
  干す場所の容積

 室温が高ければ乾くのも早いだろうというのは分かりやすい話です。

 湿度変化は水の蒸発速度に影響があります。
 一気圧での水の蒸発は温度によって蒸発速度が決まっています。
 ところが湿度が高くなると水に戻る水蒸気も増えてくるので見かけ上蒸発速度は遅くなったように見えます。

 この水に戻る(凝結)量が結構多くて5時間40分で乾いた環境から湿度を10%あげるだけで8時間もかかってしまうことを前回紹介しました。
 洗濯物から水が蒸発する速度が変わらなくても、洗濯物に戻ってくる水蒸気が増えると乾くのが遅くなると言うことのようです。

 これまで何度も室内の温湿度を測る中で、わが家では急な湿度変化が起きにくいことが分かっています。
 洗濯物を干すとか炊事や入浴など一時的に多くの水蒸気が発生しても室内の湿度変化はほとんど見られません。
 湿度計の測定間隔を1分にして観察すると確かに2%程度水蒸気発生直後は上昇するのですが戻ってしまうので、1時間毎に測定すると湿度の変化は捉えられません。

 富山市のわが家では4月下旬から5月中旬ぐらいが最も室内湿度が低く、7月下旬から8月中旬までが高くなります。
 年間を通して測定値を見ると日々の変化は小さいのですがちゃんと季節の変化に合わせて室内も湿度変化していることが分かります。

 急な湿度変化には素早く対応しますが、季節の変化という長い時間の湿度変化には追随しています。
 急な湿度変化に対応する木の調湿効果が室内の湿度変化を抑えることで洗濯物の乾燥速度が遅くなりにくいことに繋がっていると思います。

 干す場所の容積というのは狭い場所で干すのか広い場所で干すかの違いです。
 新築時に洗濯物を干す場所を考えられる方は多いと思いますが、干す場所をリビングよりも広く取る方は少ないと思います。
 また、洗濯物が見えないように閉じた空間にする方も多いと思います。

 洗濯物を干している空間の容積が小さいと湿度が上昇しやすいので見かけ上洗濯物の乾くのが遅くなります。
 加えて洗濯物を干している場所をわざわざ暖房する方も少ないので室温が下がりやすくなることも洗濯物が乾きにくい要素になっていると思われます。

 わが家では洗濯物は普段はリビングで干して新築時に設けた物干しコーナーではシーツなど大型の洗濯物を干しています。
 連続暖房のリビングでよく乾くし干すのも畳むのも同じ場所で済むことからリビングでの室内干しになっています。

 全室連続暖房についてもいろいろ書いていますが、必要な時間に必要な場所を暖房する部分間欠暖房と使うエネルギーに大きな違いは無く、起床時や帰宅時に寒くない方がいいだろうと言うことで全室連続暖房を続けてることも室内干しする場所の温度が確保されていることに繋がっていると思います。

 室温や容積について意識していたわけで無くリビングの方が何かと便利だと言うことが温度が確保され、大きな容積の環境下で干していたと言うわけです。

 林業家に木の家では洗濯物がよく乾くという話をするとあまりいい顔をしません。
 最初は不思議でしたがいろいろ観察してみると木の家にするだけで洗濯物がよく乾くと言うことでは無いことが分かってきました。
 林業家にしてみれば洗濯物の室内干しを木の家が一手に引き受けていると思われるのは迷惑に近いものがあるように思います。

 室内で洗濯物がよく乾く要素の一部として木の家も役割を担っていると捉えるのがいいのかなと感じています。

室内干し

2016.12.19.22:39

 わが家の洗濯物は年中室内で干しています。
 リビングで室内干しになったのは室内で洗濯物がよく乾くことと干したり畳んだりするのが便利だからです。
 室内には洗濯物を干す場所もあるのですが、物干しスペースはシーツなどの大型の洗濯物専用になってしまいました。

 これまでも木の家では除湿器や扇風機を使わなくても洗濯物が早く乾いてくれるし、室内干し用の洗剤を使わなくても気になる臭いもつかないなどと書いてきました。
 ところが知人にこの話をしても誰も信じてくれません。

 うちでは除湿器を使っても朝干した洗濯物が夕方になっても湿っぽいことがあるのに・・・などと言われたこともありました。
 これから木の家を建てようとしている方に洗濯物は室内干しでもよく乾きますと言うのですがどうも怪しい話と捉えられているみたいです。

 ところがしばらく生活してから洗濯物の話を聞いてみると、信じてなかった!けど本当によく乾きますと話してくれます。
 どうやら木の家では洗濯物がよく乾くと言うだけではうまく伝わっていないみたいです。
洗濯物の温度変化
 そこで実際に洗濯物がどのくらいの時間で乾いているのか調べてみることにしました。 
 乾いたタオルの重さと干す直前の重さの差から水の量を測っておきます。
 水は蒸発する際に気化熱を奪うので洗濯物の温度を連続して測ることで乾燥過程を観察することができます。
 洗濯物が乾くまでは室温よりも低くなりますが乾くと同じになります。

 結果はタオル一枚が室内で乾くまでに5時間40分かかっていました。(除湿器、扇風機無し)
 タオルは70gの水を含んでいたので1時間に12gずつ蒸発したことになります。
 この時の室内環境から水の蒸発速度を計算してみるとタオルの面積あたり11.7g/hだったのでほぼ計算通りでした。

 日常でも朝干した洗濯物がお昼過ぎには乾いていることからおおむね実態に合っていると思います。
 今回計算して分かったことは湿度が10%上がるだけで6時間弱で乾いていたタオルが8時間もかかってしまいます。
 実際には洗濯物を干し出してから少しずつ湿度が上昇することで洗濯物の乾く速度が遅くなっていることが考えられます。

 観察中は部屋の温湿度も測っていたのですが変化はありませんでした。
 これまでの観察から木の家の室内では湿度変化が小さいことは分かっていましたが、洗濯物を干しても部屋の湿度が変わらないということは洗濯物が乾く速度も変化しにくいと言うことなんだろうと思います。

 木の家では洗濯物が早く乾くと言うよりも木の家では洗濯物の乾く速度が遅くならないといった方が説明しやすい?のかもしれません。

2016 TS伐採ツアー

2016.11.23.19:46

 TSウッドハウス秋の伐採ツアーに行ってきました。
 何度か参加している伐採ツアーですが毎回新しい発見や気づきがある見所満載のツアーです。森の断面
 伐採というと森の中というイメージですが、今回の現場は山が開けた見晴らしのよい場所での体験でした。
 現場に着くと伐採する木を残して周囲の他の木はすでに片付けられていたので森の断面を見ることができました。
 枝が光を受けられる谷側に伸びている様子がよく分かります。

 何度も見ている伐採シーンですが今回は特別なことがありました。
 私は木が倒れていく様子をなるべく広い視野で見たいので少し高いところに行きます。
 山は傾斜しているので高いところに行くと近くの見るのとは少し違った様子で見ることができます。

 伐採が始まり木が傾いていくときに参加者の「お、おっ、お、お、お・・・」が倒れた瞬間のドシン!という音と振動の直後に「おぉおおおおぉ~」と喚声に変わっていきました。
 たまたま私は向いの山もきれいに見える開けた場所に立っていたのでドシンと言う音の後に何かが顔に当たるように感じました。

 ”こだま”です。
 こだまというとヤッホーなどかけ声をイメージしますが、今回のは木が倒れたときのドシンと言う重低音が向かいの山から私に跳ね返ってきました。
 伐採シーンは何度も見ていますが伐採時のこだまは初めて体験しました。
 毎回大きな木を選んで迫力のある伐採を体験させてくれるTS伐採ツアーならではの出来事でした。

 さて、伐採ツアーには必ずモデルハウスや製材所の見学が入っています。順番は最初にモデルハウス、次に木の家に多く使われる板の製材所、その次に構造材を製材している製材所を見学して翌日伐採を体験します。
 この順番は私たちの家ができる順番をさかのぼるように並んでいます。

 モデルハウスでは木の使い方などを説明してくれますし、製材所ではそれがどうやって作られているのかを見ることができます。
 そして山に行って木が木材に変わる場面を見学します。
 林業家に見学の順番について尋ねたわけではありませんが、見学する順番にも私たちに伝えたい意味があるように感じています。
林業家とお施主さん
 TS伐採ツアーには毎回これから家を建てる方が自分たちの家に使われる木を見に来られます。
 今回も林業家が「この木が棟木で・・・」と天然乾燥中の木を紹介する場面がありました。

 屋外で乾燥させるので木の表面がねずみ色に変色していますがちゃんと製材してきれいな木が届くことなど自分たちの家になる木を前にして木の説明をしてくれます。
 この間私たちはギャラリーとしてその場面を見ているのですが何ともうらやましいシーンです。

 ツアーで伐採するのは80年から100年ぐらい経った大きくて林業家が世代を超えて育ててきた大切な木です。
 時間がかかることについては木はすぐには大きくならないからという程度にしか考えていませんでしたが、もっと大切な意味があるように思います。

 リサイクルと言うとペットボトルなど何かを回収して再生するというイメージが強いと思います。
 私たちが消費する資源は地球上にある物を使っているので使えば減っていきます。
 リサイクルすることで減る速度は遅くなりますが、資源は減っていきます。

 ところが木は水素や酸素(水)、炭素(二酸化炭素)を原料に太陽という地球外のエネルギーを使ってできています。
 木が使われなくなって燃やされたり腐ったりしても水素や酸素、炭素は消えることは無く太陽エネルギーを使って木に戻すことができるので、使うバランスと育てるバランスが崩れない限り再生可能でいくら使っても減らない資源です。

 地球上にある資源を減りにくくするサイクルを小さな循環、太陽エネルギーを使って木材という資源を消費しながら空いた場所に植林して新たに生み出すサイクルを大きな循環と言うそうです。
 伐採ツアーでは大きな循環の中で長い時間を経て再生した木材資源を私たちが消費する転換点を見ているのかもしれません。

 木は再生可能な唯一の生物資源ですが再生するまで時間がかかります。
 山の木を使ったらまた植えることやそれが使えるまで時間がかかるので長く家を使い続けることはどちらも大きな循環を支える大切なことだと思います。

 木の家の特徴については五感に優しいとか調湿性があるなどいろいろ言われますが、木の家の中はベタベタしなくて冷たくないというのが私の感想です。
 床が冷たければスリッパ、ベタつくのであれば除湿器でもいいのですが、何もしなくてもよい木の家は生き物である私たちと相性はよいと思います。
 相性がよいから長く使い続けられるのかなと思っています。

暖かい部屋

2016.11.06.16:16

 11月に入って朝晩寒い日が増えてきました。
 わが家でもすでに暖房しています。
 わが家の暖房は全室連続暖房なので来年の4月下旬まで暖房を止めることはありません。

 外出時や寝ているときまで暖房するのは無駄では無いかと言われたこともありますが、3年以上室内外の温熱環境や灯油や電力量を調べる中で全室連続暖房がわが家に合った暖房方法と言うことで続けています。

 最初の頃は間欠暖房では冷えた室内を暖めるために大きなエネルギーが必要なので連続暖房の方が費用が安いと考えていました。
 調べてみると連続、間欠どちらでも同じ程度のエネルギーを消費することが分かって費用が同じであれば帰宅時や起床時に部屋が寒くない方が快適だろうと思うようになりました。

 主暖房にはエアコンやファンヒーターを使う温風暖房と床暖房や薪ストーブなどの輻射熱暖房が多く使われています。
 温風、輻射熱どちらの暖房方法でも室温が適温なら快適だろうと思っていましたが、観察を続ける中で両者には暖かさの感じ方に大きな違いがあることに気がつきました。
 人の皮膚には痛みや圧力、温感を感じる感覚器官が手だけでも15,000を超えるほどたくさんあってそれらの情報を瞬時に総合的に判断して様々な感覚を得ています。

 また、皮膚にはセンサー以外にも汗を出す器官もあって汗が乾く時に気化熱が奪われる仕組みや、湿度が高い方が暖かく感じるなどと言ったことも利用しています。
 こうしたことが分かってくると私たちが暖かいとか寒いと感じるのは温度も重要だけど皮膚表面の環境が影響しているように思います。

 そこでまず、同じ室温でも気流の強弱で感じ方が違うのでは無いかと言うことに注目しました。
 皮膚表面の湿度は室内よりも高いので風があると肌にまとわりついている高い湿度層がはぎ取られてしまいます。
 片方に濡らしたガーゼを巻いた2本の棒温度計で実験してみると風が無い状態では温度計の値に大きな開きはありませんが、エアコンの風が当たる所で測ると濡れたガーゼを巻いた温度計だけ温度が下がっていきます。
 夏の暑さを和らげるには効果的ですが、冬の室内は気流が小さい方がよいみたいです。

 さらに、室温は場所や高さによって同じ室内でも違いがあります。
 特に高さによる違いが大きく足下が寒くなりがちです。石油ファンヒータを使っている部屋の温度を測ったときには室温が24度の時、天井から1センチぐらいの層が42度もあり、だからネズミは天井にいるんだと感心したこともありました。

 床暖房では床の温度が一番高くなりますが高さによる温度の違いが小さいこと、放射によって空気よりも先に壁や天井が暖まるので室温の割に体感温度が高くなる傾向があります。

 細かい話では連続暖房すると壁の中も温度が下がりにくくなるとか、真壁のわが家では柱や梁といった構造材が表に出ているので柱・梁が壁の中にある大壁仕様よりも木の表面温度が高くなることで調湿効果が活性化すると言った家本体や室内環境にも貢献していることも分かってきました。

 住み始めた当初からわが家では全室連続暖房をしています。
 暖房方法に違いはありませんが、使い方はずいぶん変わったと思います。
 今では住み始めた当初に支払っていた暖房費用の半分以下で当時よりも高い室温の中で生活しています。
 太陽光発電など自給するエネルギーは無く、必要なエネルギーは買っていますがそれでも大きく費用を減らすことができました。

 もちろん私一人でここまでできるはずも無く建築士が頻繁に相談に乗ってくれたのが大きいのですが、自宅を継続して測ったり観察を続けることは費用削減もさることながら暖かい家で快適に過ごす方法を学ぶ上でも役に立っています。

木の調湿効果

2016.09.19.11:50

 木には調湿性があると言われますが、実際調湿している様子は見たことがありません。
 温湿度を測り比べて調湿しているのだろうということなのですが、何とか調湿している様子を観察できないかと思っていました。

 建築士が開いている勉強会のお手伝いに行ったとき、講師の先生に思い切って相談したところ木が調湿している場面を見ることは難しいけど写真には撮れると教えてもらいました。タッパーを使った木の調湿実験

 やり方はタッパーに木と水を含んだ物を入れてラップで密閉して上から少し冷えた水の袋を載せておきます。
 タッパーの中を比較的湿気の多い状態にしてラップを境に冷たい物と接することで、冬の窓ガラスのように屋外は冷たくて室内は暖かく湿度も高い状態を作っています。

 水袋はラップ面に均等に当たるように置いてありますし、木片はタッパ高よりも2㎜ほど高いのでラップに密着しています。
 しばらくして水袋を外してみると写真のように木片の周囲だけ結露していませんでした。

 タッパーも木片も同じ場所に数日間おいてあった物ですし、同じ温度の水袋に触れていますからラップに接しているタッパーも木片も同じ温度です。
 タッパーの周囲ではまんべんなく結露しているのに木片の周囲だけは結露していないと言うことは木片の周囲の水蒸気が少ないか温度が高くなっているように思います。

 写真は水袋をタッパーに置いてから20分後に撮影しました。
 時間をおけばもっと違う様子になると思いますが、比較的短い時間でも木は素早く湿度の変化に反応することがわかりました。

外壁の変化

2016.08.28.17:30

 わが家の外壁は杉板です。
 板張りの外壁は保護塗料の塗り直しなどメンテナンスが大変そうなイメージがありますが赤身の板であれば塗装無しでも十分長持ちします。南側外壁

 当初は塗装した赤身の板を使いましたが、時間が経つと塗装がはがれて板の素地がむき出しになります。
 雨風、日光がよく当たる南側外壁が最も早く塗装が剥がれ、北側の外壁は10年経っても大きな変化がありません。北側外壁

 塗装が剥がれてしまうのは日光によって板の表面が劣化して雨風によって剥がれ落ちることで起きるそうです。
 塗装が剥がれたら塗り直しと思いますが、元々赤身の板は光劣化には強いので少しぐらい劣化しても外壁としての機能を損なうまでには50年以上かかります。

 最も変化が見られる南側の外壁を観察すると板は一様に変化するのでは無くて年輪の堅い部分と柔らかい部分で変化の様子が違います。
 柔らかい部分は早く劣化してやせ細っていきますが堅い部分は結構粘っているので板がデコボコになっています。劣化した板の表面

 デコボコになっている板の表面を拡大してみると柔らかい部分は細胞が膨らんでいて中に何か入っているように見えますが、堅い部分は細胞の壁が圧縮して固まっているように見えます。
(3枚目写真の赤丸部分を拡大したのが4枚目の写真)

 細胞壁は結構堅いらしく圧縮して集まっていると劣化が進みにくく、柔らかい部分は堅い細胞壁が広がっているので密度が低いことから相対的に早く劣化が進んでいるように見えました。拡大した板

 木の細胞なんて普段なかなか見られませんが、10年経った外壁を拡大しただけできれいに並んでいる細胞を見ることができてよかったです。

 外壁には様々な材料が使われています。
 表面が劣化して下地材が出てしまい美観や機能を損ねる材料もありますが、外壁として適材である赤身の板は素地全部が同じなので下地が出ると言うことはありません。

 また、劣化と言っても表面だけで起こる現象なので風雨で劣化した部分が剥がれなければ内部まで劣化が進むことが無いことも赤身の板の特徴だそうです。
 そうは言っても使っていれば物が当たったり一部が傷んだりします。
 板は生物資源なのでまた同じ物を使うことができますし、3年も経てばどこを張り替えたのかわからなくなってしまいます。

 外壁として優れた材料という話には必ず赤身の板が出てきます。
 板張りの外壁はメンテナンスが大変そうに思っていましたが、10年経ってほとんど何もしていません。
 住まい手が何もしなくても板の表面では光劣化に対抗する機能が働いていてそれを上手に利用する方法でわが家の外壁ができていることが少しわかりました。

調湿性とビール瓶

2016.08.08.00:27

 木には調湿性があって柱一本にはビール瓶○○分の水分が・・・。
 ビール瓶の話はよく出てきますが、どうしてビール瓶が例えになっているのか不思議に思っていました。
 以前、林業家がそれは何とかという本に出てくると話してくれたのですが本の題名を聞き漏らしてしまってずっとモヤモヤしていました。ビール瓶と調湿

 本に出てくるというキーワードだけで探してみたところ見つかりました。

 「木づくりの常識非常識」 上村武著

 この本の中にビール瓶の話が出てきます。
 ビール瓶の話の理屈がわかったのでちょっと計算してみました。

 まず、杉で長さ3m、三寸五分角の柱の重さを求めます。
 10.5㎝×10.5㎝×300㎝ =33,075立方㎝
 33,075立方㎝の体積と杉の気乾比重0.38から12,568グラムとなります。
 12,568グラムは杉が大気中の水蒸気を吸った状態なので含水率15%として全乾重量を求めます。

 12,568÷1.15=10,928(全乾重量)
 12,568-10,928=1,640(柱に含まれる水分量)
 1,640gをビール大瓶633mlで割ると2.5本分となります。

 4寸角だと3.3本分
 長さ6m、8寸角の大黒柱になると27本分の水分を含んでいることになります。

 よく聞く話は木には調湿性があって柱にはビール瓶2.5本分の水分が含まれていると言うものですが、実際に調湿するのはもっと少ないことが本の中でも書かれているし、柱の大きさや長さが違えば水分量も違うのに、ビール瓶2.5本分という言葉だけが一人歩きしているように感じました。

 本の中には静岡大学で行われたマウスの実験や貨物船の船員の居室はできるだけ木の内装が使われる話などおもしろい話がいろいろありました。

エアコンと湿度

2016.08.07.12:20

 暑い日にエアコンを使うと最初は温度も湿度もぐっと下がりますが、しばらくすると室温が保たれていても湿度が急上昇します。
 以前から不思議に思っていたのでエアコン使用時の消費電力と室内の温湿度を測ってみました。
エアコンと湿度変化
 使い始めは多くの電力を使って一気に温度と湿度を下げていますが、ある程度温度が下がると消費電力を抑える運転に変わります。
 さらに時間が経つと室温を維持する程度の消費電力まで落としていました。

 大昔のエアコンはスイッチのONとOFFだけで制御していましたが、今は消費電力を制御する方法が多いそうです。
 グラフを見ると室温を維持する運転に変わったあたりから湿度が上昇し始めています。
 最初は何が原因で湿度が上昇するのかわかりませんでしたが、エアコンの掃除をしていて気がつきました。

 エアコンの室内熱交換器はとても冷たくなるので結露水がたくさん出ます。
 結露水がホースを伝わって外に流れていくわけですが、これらの水は元々室内にあった水蒸気です。
 エアコンの出力が大きいときは室内の水蒸気を結露させることができますが、出力が落ちると室内機の結露水が蒸発して室内に戻っていきます。

 また、温度が下がって湿度も下がると言うことは相当量の水蒸気を排出していることになりますから屋内外に大きな水蒸気量の差ができます。水蒸気は気体なので圧力差があると高い方から低い方へ圧力が同じになるように動きます。エアコンの出力が落ちて水蒸気の排出能力が落ちると屋外からも水蒸気が室内に入ってきます。

 エアコンで減らしていた水蒸気が室内に戻ってくるわけですからそりゃ急激に湿度が上昇するわけです。
 タイマーで夜中にエアコンが止まったら寝苦しくて目が覚めたという話はよく聞きます。
 夜ですから室温が急に上昇することはありませんが、湿度は急上昇するので寝苦しく感じるのかもしれません。

 今回エアコン運転時の湿度変化ということで午後1時ぐらいから午後7時ぐらいまでエアコンを運転していました。
 日中の外気温は33度を超えていましたが、室温が30度を下回ってくると寒く感じるので普段はこんなに長くエアコンを使うことはありません。

 また、普段は扇風機を使っているので室内の湿度変化は小さいのですが、エアコンを使うと湿度変化が大きくなるので体感も変わってきます。
 体感としては少しぐらい湿度が高くても安定している方が過ごしやすいように感じました。

冷たい板

2016.08.03.12:27

 暑いこの時期に冷蔵庫から取り出したペットボトルの表面にはたくさんの結露水がつきます。冷やした板
 ちょっと置いておくと結露水が垂れてくるくらいですから冬と違って水蒸気量が多いことがわかります。

 ペットボトルが結露するのは水蒸気を含む空気が冷たい物に触れて飽和するからです。
 それじゃあ木の板も冷やすと表面に結露するのかやってみることにしました。

 木の板を一枚冷蔵庫に入れて丸一日冷やします。
 もう一枚重さを揃えた木の板を用意しておきます。
 写真のように両者を天秤にかけて重さに変化があるか、板を触ったときの感触などを観察しました。

 まず、丸一日冷蔵庫に入っていた板ですから冷たくなっているはずですが触った感触はそんなに冷たくありません。
 両者を天秤にかけてみるとわずかに冷蔵庫の板が重くなりました。

 5分ほどして両者を触ってみると冷蔵庫に入れた板の表面は湿っぽくなっていましたが、小口はさらっとしていて冷やしていない板と触った感触に違いがありませんでした。
 結露しているペットボトルの表面を指でなぞると跡が残りますが湿っぽくなっている板の表面をなぞっても跡が残るようなことはなく板の表面で結露しているようには見えませんでした。

 板は少し重たくなったので結露はしているのだと思いますが、木の繊維は水分が増えると自ら膨らんでさらに水分を取り込める特徴があるので少しぐらい結露してもペットボトルのように結露が表面に見られることは無いようです。
 また、小口はサラサラのままだったので小口は他の部分よりも多くの量を速い速度で調湿しているように思います。

 今回は木の板を冷蔵庫で冷やしてから触ってみるという簡単な観察でしたが、板が冷たくなかったり、板の表面に結露が見られなかったり、小口はサラサラだったことを通じて家族が健康で快適に生活できる木の家の特徴が感じられた観察でした。

湿気の重さ

2016.07.31.09:23

 湿気は室内の高いところに溜まると言う人もいれば湿気は低いところに溜まるという人もいます。
 水蒸気と言う気体は空気よりも分子量が小さいので水蒸気が多い空気は軽くなるから上に溜まると説明されるとなるほどと思います。

 一方、湿気とは湿り具合のことを指し、相対湿度で表現されます。
 室内に温度差があれば水蒸気量は同じでも相対湿度が変化します。
 温度が高くなると相対湿度は下がるし、温度が下がれば相対湿度は上がります。

 一般的に室内では上部が高い温度になることが多いので上層は相対湿度が低くなり温度が低い下層は相対湿度が高くなります。
 水蒸気の量は変わらなくても温度が低くなる下層では湿気が溜まりやすくなると説明されるとそれもそうだと思います。

 水蒸気の発生源は人、布団、キッチン、浴室、洗濯物など様々なところから室内に放出されるし、布団をしまっておく押し入れとリビングの容積の違いなど拡散や換気にも影響されます。
 カビが発生しやすい場所として押し入れや家具の裏側があげられますが、こうした場所は風通しが悪く温度も下がりやすいところです。

 先日一階と二階で温湿度に差が出ている日がありました。
 二階 室温30度、湿度54%
 一階 室温26度 湿度69%

 一階の湿度が高いように見えますが水蒸気の量はどっちも16.7g/㎥です。
 水蒸気の量は同じですが二階から降りてくると明らかに一階の方が湿っぽく感じます。

 こんな経験をすると湿気は下に溜まると思ってしまいますが、人が感じる湿気は重たいとか溜まるという話じゃ無くて温度によって感じ方が違うと言うことのようです。

透湿抵抗値

2016.07.01.20:36

 建材の水蒸気の通しやすさを示す値に透湿抵抗値があります。
 1平方メートルあたり1時間に1グラムの水蒸気を通すのに必要な圧力差などで表示されています。透湿性の観察

 以前、建築士のご自宅で壁の中に温湿度センサーを入れて1年間にわたって壁の中の温湿度を観察したことがありました。
 その時に建築士が室内の壁に使われているプラスターボード(石膏板)は湿気をスカスカに通すと言っていました。

 スカスカと言われてもよくわからないので透湿抵抗値を調べてみると
 プラスターボード(12㎜厚)0.63m2・h・mmHg/g
 合板(12㎜厚)23m2・h・mmHg/g
 プラスターボードは合板よりも約37倍水蒸気を通しやすい材料と言うことになります。

 ところが透湿抵抗が37倍といわれても私にはイメージができずにモヤモヤしていたので梅雨に入ったこの時期に測ってみることにしました。
 合板とプラスターボードで箱を作って隙間ができないように角やケーブルの取り出し口などをコーキングで埋めて雨のかからない屋外に置いて湿度がどのような変化をするのか観察してみました。
プラスターボードと合板の透湿性
 測ってみるとプラスターボードは12㎜の厚みがありますが、屋外の湿度変化に追随して変化していました。
 プラスターボード箱に隙間があるんじゃ無いかと疑いましたが、隙間は無く思わず”本当にスカスカなんだ!”と言ってしまいました。

 家の壁に使われているプラスターボードには塗装やクロス、漆喰や珪藻土が施工されているのでプラスターボードだけで調べた今回の観察とは少し様子は違うと思いますが、プラスターボードは水蒸気をスカスカに通すことがわかりました。

 建築士からだからそう言ったのに・・・と言われそうですが。
 今回の観察では測定間隔は30分でしたが、測定間隔を1分にしてどのくらいの時間差で追随しているのか、またプラスターボードに塗装したり壁の仕上げ材を施したらどのように変化するかなど続けて観察してみようと思っています。

 合板はプラスターボードと比べて37倍水蒸気を通しにくいわけですが、変化量は小さいながら屋外の湿度変化に合わせて変化することもわかりました。

積立預金

2016.06.14.22:43

 私たちは様々な形で金融と関わりながら生活していますが、学校で金融について学ぶ機会はほとんど無く社会に出てから自らの判断で金融商品を選んでいるように思います。

 株式、債券、外国為替、商品先物など専門性が高い金融商品もあれば、定期預金や積立預金など身近な金融商品もあります。
 金融機関が費用をかけて宣伝したり積極的に勧めてくるのはまとまった金額をある程度決まった期間預かることができる商品か取扱手数料が入ってくる金融商品が多いように思います。

 金融商品を知るには金融機関で聞くのが良さそうに思いますが、窓口やネットで調べようとすると、会社が売りたい商品やサービスは時間を割いて説明してくれますが地味な積立預金などは簡単な説明だけで、使い方などと言った話になるとそれはお客様のご判断で・・・でおしまいです。

 例えば株式投資は売却益を得ることができるので多くの方が利用しています。
 株式投資を始めるに当たって売却益が期待できる反面、売却損が出るかもしれないことぐらいはみなさんご存じですしそれがわかった上でなるべく売却損が出ないように運用しようとします。

 ところが実際に株式投資をやってみると、株式取得金額よりも株価が上昇していればもっと上がるんじゃ無いかと思いますし、株価が下がればここで売却したら損が確定してしまうのでもう少し待てば株価が戻るかもしれないと思います。
 要するに株価が上がっても下がっても売却する判断に迷うわけです。

 また、株式投資は時間をかけて少しずつ上昇してきた株価でも一日で取得金額を下回ることもありますから株価の推移に敏感になります。
 さらに、株式投資は取得銘柄ごとに決済するまでが一つの区切りですから一つの銘柄で決済が終われば次というように取引が連続するので思っている以上に忙しい取引です。

 株式投資は売却益に期待ができるというだけで株式投資を始めると株価の推移に一喜一憂する生活に耐えられなくなるか、売却するタイミングを逃して塩漬けになってしまったり必要な資金のために損を承知で売却してしまうことが意外に多いようです。
 株式投資を始めるに当たって株は買うよりも売るタイミングが難しいなんてことは取引の説明書に書いてないし、株式投資を始めるとどんな生活になるのかなんてことまで説明してくれません。

 積立預金は毎月自分で決めた金額を普通預金口座から積立預金口座に振り替えるサービスで誰でも知っている超有名金融商品ですが、その使い方になると意外に知られていないように思いますし、一般的な使い方としては旅行やほしい物の購入資金確保のために利用されています。

 普通預金口座には給与が振り込まれたり生活費が引き落とされたりお小遣いも普通預金口座から出ていくのでお金は入ってくるし出ても行く口座です。
 積立預金口座は自分で引き出さない限り出て行くことは無くほっとけば預金限度額まで増え続けます。

 この特徴を活かせば生活費の中から自分が決めた金額を切り離すことができます。
 今の生活に余裕なんて無いのに積立なんて無理!と言われそうです。

 私も新築した頃は新たな積立などできませんでしたが建築士が「メンテナンス・フリーの家など存在しない」と言うのでいずれ必要になるのであれば準備は早いほうがいいと思ってとりあえず毎月1,000円の積立預金を始めました。
 毎月1,000円の積立なんて年に12,000円ですからそんな金額であればわざわざ積み立てなくても思いますが、とりあえず積立預金口座を持つことが目的でした。

 その後、減った暖房費を積立預金に振り替えたり、電気料金が減った分も積立預金に振り向けることで積立金を少しずつ増やしていきました。
 費用削減策を実行して減った金額の取り扱いまで考えておかないと光熱費は減ったはずだけど特に生活に実感が無いと言うことになってします。

 積立口座を持っていると減った金額を振り替える先があることで生活費から削減額を切り離すことができます。
 急にまとまった資金が必要になったときに備えて時間を味方につけてコツコツ積み立てるお金は元々電力会社などに支払っていた金額ですから生活に負担感は少なく安定して長く続けられます。
 自分で使えるお金を増やすには収入を増やすか支出を減らすしかありません。
 支出を減らして使えるお金を増やす仲介役として積立預金は結構使えるサービスだと思います。

階段の板

2016.06.06.12:48

 わが家の階段は大工さんが造ってくれた手作りで、造ってくれた大工さんの名前がついています。
 踏み板、蹴込み板、ささら板も杉です。
 柱や梁、床板、野路板まで杉なので使い分ける必要が無いように思いますが、ほかの部分同様に踏み板も使い分けされています。階段材

 写真の板は厚みは同じですが年輪の間隔が違います。
 年輪は密度が高く堅い部分と密度が低く柔らかい部分が交互になっています。
 階段を何度も行き来していると踏み板の角がだんだん丸くなっていきます。
 角が丸くなると滑って危ない思いをするので、なるべく丸くならないようにしておきたいところです。

 そこで林業家は階段材として年輪が細かいものを選んで出荷し大工さんはそれを踏み板として使い分けるそうです。
 住み始めて10年になるわが家で観察すると踏み板の角はこすれて丸くなっていますがよく見ると堅い年輪のところで止まっています。

 堅い部分もやがて削れてしまうと思いますが、年輪が細かいのですぐに堅い部分が出てきます。
 年輪の目が細かい方が角が丸くなるのに時間がかかるわけです。

 また、階段は同じ場所を繰り返し踏むので角以外もだんだんこすれてきます。
 堅い部分と柔らかい部分で減り方が違うので年輪の間隔が細かいとちょうどよい滑り止めになってしっかりグリップするようになります。

 家が新しく施主も若いときはそれほど気にとめることは無いと思いますが、年をとってくると滑る階段は危なく感じます。
 階段に滑り止めをつけたり滑りにくいスリッパを履くなど対策はいろいろあると思いますが、余計なことをしなくても裸足の生活を邪魔しないわが家の階段はとても気に入っています。

 蹴込み板についてもきれいな板は部屋から見える場所に使うなど工夫されているのですが、大工さんは細かいことまで言わないので住まい手がそうしたことに気がつくまで時間がかかってしまいます。
 私も建具屋さんに「きれいな階段は最近少なくなってしまった。」と言われてはじめて気がつきました。

 設計事務所や天然乾燥、手作りの階段などと言うと高価な家のように感じるかもしれません。
 わが家を見に来られた方にこんな家は私には無理だと言われました。
 私も最初に建築士の作品を見たときはこれは俺には無理だと思ったことを正直に話すようにしています。

 建築士や林業家は「一部のお金持ちだけが建てられる木の家では意味が無い。」と言います。
 住まい手が気持ちよく健康に生活できる家として木の家には実績があり、普通のサラリーマンでも建てられますが、誰に相談するかで大きく違います。
 イメージや思い込みだけで決めないでいろいろな方に話を聞いて誰を頼るか決めてほしいと思います。

屋根の修理

2016.05.31.08:30

 台風が来てもあまり強い風が吹かない富山でも毎年4月上旬には強い風が吹きます。
 強い風と言っても風速20m/s前後ですから軽くて固定していない物が飛ぶぐらいで家に被害が出ることはありませんでした。

 今年は4月に強い風が吹かなかったのでラッキーと思っていたら5月3日に強い風が吹きました。
 わが家の風速計を見ていると風速20m/sを超えてもまだ収まる気配が無く今年の風はちょっと違うように感じていました。
 午後10時32分突然ドカンという強い風が家に当たる音と共に何かがはがれる音がしました。風速計のデータを見てみると30m/sを超えていました。

 なんだか嫌な予感が・・・強い風の時は外に出ない方がよいのですが恐るおそる外に出てみるとガルバリウム鋼板屋根の一部が落ちていました。
 あちゃー。。。

 幸いご近所に迷惑をかけたり周囲に飛び散ることが無かったのですが、屋根のどこがどのようにはがれたのか暗くてわからないし当日は風だけだったのですが、はがれた部分を足がかりにさらに屋根が壊れるんじゃ無いかとか雨が降ったら雨漏りがするんじゃ無いかなど不安な夜になりました。

 翌朝、建築士に連絡したところ祝日でしたがすぐに見に来てくれました。
 落ちてきた屋根の一部や家の周りなどを見て回った後、どこがどうなったのか、雨漏りも心配いらないことを説明してくれました。

 おかしなもので建築士は見ただけで壊れた部分を直したわけでは無いのですが、わが家を知っている建築士に見てもらった後は昨晩のような不安は消えてしまいました。
 5月4日の新聞にはわが家の周囲でちょうど屋根が壊れた同時刻に観測史上最高の最大瞬間風速が観測されたことが書かれていました。

 富山ではあまり強い風が吹かないので風に大きな力があることは認識しにくいのですが建物の構造計算をする際に地震の力にはOKでも風の力でNGとなることがあって風には強い力があることを教えてもらいました。

 修理の際にも建築士が来てくれて職人さんと相談しながら屋根を直してくれました。
 修理ですから元に戻ればいいわけですが、職人さんはどこから壊れたのか、二度と起きないようにどうするのかなどいろいろ工夫してくれて修理後の屋根はバージョンアップしました。
 壊れる前に戻すだけじゃ無くて壊れにくいように手間をかけてくれたことがうれしいです。

 今回屋根が壊れたことで最初に連絡したのは建築士でした。
 建築士から棟梁にそれから職人さんに連絡が行ったわけですが、みなさんわが家のことをよくご存じの方々ですから話の伝わり方がスムーズですし屋根が壊れたのが連休中でしたが休み明けの1日で屋根の修理が終わってしまいました。
 今回のことで建築士、棟梁や職人さんなど顔の見える家づくりをしているとこういった困ったときの対応がスムーズに進むことのありがたさがよくわかりました。

住まい手も山へ

2016.04.21.10:13

 建築士と一緒にわが家のふるさとの山に行ってきました。
 これまでも何度か山に行きましたが何度行っても新しい発見があります。
 案内された山に着いて何か説明してくれるのかと思ったらタケノコ採ってくるから適当に見ててと林業家がどこかに行ってしまいました。

 適当に見ろといわれてもどこをどう見たらいいのかわかりません。
 しばらく山を見ているとこれまで見てきた山と様子が少し違います。
 林業家が企画する伐採ツアーで案内される山は大きな木が並んで立っているし、大きな木を残すために間引きをした切り株もあちらこちらに見られます。母樹林の標識
 ところが案内された山は大きな木もあるけどそれ以外の木もあって間引きした様子もありません。

 途中で母樹林と書かれた標識を見つけました。
 以前に林業家が私たちが植林する苗は種から育てた実生(みしょう)の苗だと教えてくれました。
 挿し木は親木のクローンですが、種から育てた苗は母木はわかっていますが、花粉は50㎞以上も飛ぶので母木以上に優れた木ができる可能性があるそうです。
 今回林業家が案内してくれた山は種を採ることができる母木の山だったわけです。

 母樹林について調べてみると林業種苗法という法律まであって母樹林に指定されている山の木は勝手に伐採してはいけないことになっていました。
 だから今まで見せてもらった山と見た感じが違っていたわけです。

 植林後90年ぐらい経った山を観察した後、林業家が離れた場所から今見てきた場所を指しながら樹形について話してくれました。
 山の中にいるときは気がつきませんでしたが、離れて見るとほかの場所と明らかに木々の形が違います。

 私はこれまで山に立っている杉の木を一まとめに捉えてきましたが、見方がわかるとあの山の木はまだ若い、ここは結構成熟しているなどといった見方ができるようになります。そうして山を見ると今まで見ていた山が別のように見えてくるから不思議なものです。

 木を見て、森を見ずと言われます。
 小さなことに心を奪われて全体を見通せなくなる様子を表現することわざで、広い視野を持って見ると捉え方が変わる教訓としても使われています。

 建築士のところへ家づくりの相談に行って最初に話してくれるのは木の話です。
 ”建築士の第一時間目の授業”と私が勝手に名前をつけている大切な話の中に、
「家に使う木は使う場所でそれぞれ役割が違うので役割に適した材料を使い分けることが大切でこうしたことを適材適所と言います。」という節があります。

 普段何気なく使っている適材適所ですが、言葉の意味の元になった使い方を聞いたときはおぉ!と感動しましたが、今回も同じものを見て捉え方が変わる様子を自ら体験することができました。
 最初は林業家から適当に見ててといわれて困ってしまいましたが、山を後にするときには車の窓から見える山を見るのが楽しくなりました。

 本物の木の家は高い調湿性があって五感に優しく、天然乾燥すると時間と共に木の色艶が深まると言った特徴に間違いはありませんが、わが家はそれぞれの要素がバランスよく調和することで私たち家族が気持ちよく生活できることが一番の特徴だと思います。

 住み始めて10年が経ち最近家内が「この家気持ちいいよね」と一言いいました。
 ブログで木の家についていろいろ書いていますが、私があれこれ言うよりも自分自身で感じてほしいと思っているので夫婦ではほとんど家の話はしていません。

 10年経ってやっと「この家気持ちいいよね」と一言だけですからもうちょっとほかに無いのか・・・と思いましたが、林業家や建築士に家内の一言を話したところそれが何よりうれしいと言ってくれました。
 普段の生活が気持ちよくてそれが自身で実感できるまでには時間がかかるのかもしれません。

 私たち家族は日常、木の家が国土の保全に役立つなどと考えて生活しているわけではありません。
 しかし、気持ちよく生活できる木の家が増えることは国土の保全に繋がることは確かだと思います。
 また、住まい手が山を見て林業家の苦労を知ることで自然に長く使い続けようと言う意識が芽生えてきます。

 丈夫で長持ちする家を長く使い続けられるかは住まい手の気持ちが重要ですし、次の住まい手に木の家の住み心地を伝えることも大切なことです。
 「この家気持ちいいよね」の一言は10年木の家に住み続けた感想を集約しているように思います。

吸気口の掃除

2016.04.11.02:47

 家の気密は温熱環境と共に計画的な換気の必要性など最近よく耳にするようになりました。
 気密についてはすきま風の話とか息が詰まるとかいろいろ言われているみたいですが、気密は奥が深くて建物の気密について専門に研究している方もいるそうです。

 気密で言う隙間は計画されていない空気の流入箇所で換気扇や吸気口は隙間とは言いません。
 隙間は引き違い窓やコンセント、柱と床・天井が交わるところ、配電盤にも結構大きな隙間があります。
 こうした計画されていない場所から多くの空気流入があると家全体の換気計画が乱れるので隙間の少ない家(C値が小さい)がよく話題に出てきます。

 換気の方法にもいろいろありますが、換気扇で空気を排出して負圧になった室内には吸気口から空気を取り入れる方法が多いようです。
 ところが、吸気口から取り入れるよりも隙間からたくさん空気が入ってくれば排気口から離れるほど思うように換気ができなくなります。
 だから気密は大切ということになっているのですが、わが家で気密ってどうなっているのか調べてみることにしました。

 隣り合う脱衣室と浴室の換気扇を両方使うと毎分2.5立方メートルの空気が排出されます。
 両方合わせても3畳ぐらいの狭い空間なのでリビングと脱衣室の引き戸の隙間から風が入ってきます。(1m/秒)
 脱衣室に気圧計をおいて換気扇のON/OFF時で測ってみましたが、出て行った量の空気がリビングから入ってくるので気圧の変化はほとんどありません。

 今度は空気が入ってくる引き戸の隙間を四面ともテープで塞いでみましたが、やっぱり気圧に変化が見られません。
 おかしいと思ったら、あれ・・・臭いがする・・・嫌なにおいではありませんが普段と違うにおいがします。
 すぐに床下の臭いだと気がつきました。(床下には何度も入っているのですぐに気がついた)

 しばらくして脱衣室にある分電盤から空気が流れ込んでいることがわかりました。
 分電盤には家中の電線が壁の中を通っています。引き戸の隙間が無くなったので別の隙間から脱衣室内に空気が入り込んでいたわけです。
 これだけ強調すると気密が悪いように見えますが、気体の通り道を塞ぐのは結構大変だと言うことがわかりますし、施工中であれば対処できますが家ができあがってから気密をあげるのは難しいように思います。

 さて、わが家にも各部屋に空気の取り入れ口があります。
 法律で設置が義務づけられている吸気口ですが、数年前から暖かくなると吸気口内でゴソゴソ音がするようになりました。
 たぶんどこにでもいるアブラコウモリだろうと吸気口を閉じて放置していましたが、コウモリが住み着いているとすれば当然うんちもするはずです。吸気口のコウモリ

 この状態で吸気口を開けると空気が室内に入る前にコウモリのうんちフィルターを通ることになり気持ちよくありません。
 4月に入ったばかりの今だったらまだコウモリはいないだろうと吸気口を外してみたところすでに一カ所だけコウモリが3匹居座っていました。
 ほかの吸気口にはコウモリはいませんがうんちはいっぱいだったのできれいに掃除してコウモリが入らないようにしておきました。

 気圧計で室内の気圧変化は捉えられませんでしたが、計画換気には気密に加えて吸気口の点検・掃除が大切だと学ぶことができました。
(後から知りましたが気密を測るには私が使った気圧センサーの1,000倍精度がよい測定器が使われるそうです。)

平均値との差

2016.04.03.00:15

 北陸電力では4月から自宅とよく似ている家庭の平均消費電力が見られるようになりました。
 家族の人数や電力会社との契約形態、戸建などわが家と似ている家庭の消費電力がどのくらいなのか知ることができます。平均値との比較

 わが家は全室連続暖房なので暖房期間中(180日程度)暖房はつけっぱなしですが、連続暖房している家はまだ少ないように思います。
 真冬とそれ以外では外気温も違うし暖房機の設定温度も調節しますが、室温はおおむね21度を下回らないように使っています。
 感覚的には連続暖房している方が消費電力が大きいように思いますが、実際にはあまり変わりませんでした。

 必要な部屋に必要な時間だけ暖房する部分間欠暖房と全室連続暖房の消費電力の差が小さいことは朝起きて寒くないとか帰宅時も暖かい連続暖房の良いところが浮き彫りになります。
 また、連続暖房は壁の中の温度にも影響があって壁内結露しにくい環境に貢献していることが壁の中の温湿度測定から分かってきました。

 さらに、わが家では床暖房以外の補助暖房は使っていませんが、他の家で石油ファンヒータなどの補助暖房を使っているとしたら電気以外にも暖房費がかかることになります。

 暖房を止めずに連続運転すればうまく行くわけではありません。。
 全室連続暖房するには暖房方法や暖房機器の選定、家から熱が逃げにくいとか偏った逃げ方をしないなど間取りも影響します。

 ほんの少し前までは作り手側は断熱材ぐらいは入れてあげるけど冷暖房といった温熱環境については住まい手が選んで下さいと言った雰囲気でしたが、富山は暖房期間が189日間と半年ぐらいあります。
 木の家で生活して10年になりますが、住み始めた当時家の使い方など全く知らずに使っていた頃と今では暖房一つ取っても少しは上手になっていると思います。

 建築士のお仕事は図面を書くことだけではなく、住まい手の住み心地まで考えて家を設計し、引渡後も家の使い方など継続して関わりながら住まい手の成長を助けてくれます。

 北陸電力が提供してくれた消費電力の比較は全室連続暖房が部分間欠暖房と費用の差が小さいことだけでは無く、住まい手が家の使い方を学ぶことで費用を抑えながら住み心地も向上できることを示していると思います。

薪の必要量

2016.03.03.13:25

 薪ストーブには薪が必要です。
 私も薪ストーブの導入を考えましたが長期間にわたって安定して薪を調達する手段が無かったので薪ストーブはあきらめました。
 そもそも薪ストーブで暖房するにはどれだけの薪が必要なのか事前に分かる方法が少ないように思います。

 薪ストーブが補助暖房であれば薪が無くなっても大きな問題になりませんが、主暖房だったら無くなるのは大変困ります。
 しかも慌てて調達した薪が乾燥不足だったらストーブも傷めてしまいます。
 十分な薪を薪置き場に準備して冬を迎えることになるわけですから、事前に薪の必要量は知りたいところです。

 ところがストーブ屋さんで聞いても○○立米ぐらいとか何キロぐらいなどと量で言われたり重さで言われたりして分かりにくいし、針葉樹と広葉樹では比重が違いますから話しがややこしくなってしまいます。

 そこで薪から得られるエネルギー量から必要量を割り出してみました。
 全乾燥状態の薪からは1kgあたり20MJのエネルギーを得ることができます。
 樹種に関係なく薪1㎏には化学的エネルギーが20MJあります。
 実際に使う薪は含水率(WB)20%ぐらいなので薪を燃やす際に水分が蒸発するときにエネルギーが消費されることから取り出せるエネルギーは14MJぐらいになります。

 暖房期間中の平均外気温 5度
 室温 21度
 自然温度差 3度
 総損失熱量 300W
 温度差 21-5-3=13度

 1時間に温度差1度当たり300Wの熱が出て行く家で家全体を21度に保つためには
 300W×24時間×13度=93.6kW

 暖房期間180日だとすると
 93.6×180=16,848kWになります。
 1kW=3.6MJなので16,848×3.6=60,652MJ

 60,652MJが暖房に必要なエネルギーですから薪1㎏から得られるエネルギー量14MJで割れば薪の必要量が分かります。
 60,652÷14=4,332㎏
 暖房期間中の平均気温が5度の地域で総熱損失量300Wの家を21度に保つには薪が4.3トン必要なことが分かりました。
 薪の単価が1㎏当たり50円とすると216,000円が薪の調達費用になります。

 もっともこの計算は室温を24時間21度に保つ全室連続暖房を想定しています。
 薪ストーブをお使いの方は夜間は火を小さくしたり消している方が多いようですが、センサーによる温度管理ではないので室温が高くなる傾向があり実際の消費量は全室連続暖房で計算した量に近くなるようです。

 また、薪置き場の位置、強い風が吹いたときに薪置き場から飛んでいくゴミ、高齢になったときの薪の準備など薪ストーブのカタログには書いてないことがいろいろあります。
 薪ストーブを上手に使っている方は「私はこれが好きだから」とおっしゃいます。

 そうした方の話しには貫禄を感じますが、数百万円もかけて薪ストーブを設置したのに数年使ってこんなはずじゃ無かったにならないためにも家の温熱環境も考えてくれる建築士に相談してほしいと思います。

暖房用ヒートポンプの消費電力

2016.02.23.12:39

 わが家は10月下旬~翌年4月下旬までヒートポンプを熱源とした温水床暖房を連続暖房しています。
 寒い日が多い1月下旬は暖房費が大きくなりますが、毎日の気温や日射によって暖房費は上下します。
 ヒートポンプは電気を使うので暖房費は電気代と言うことになります。

 電気で暖房というと、こたつ、電気ストーブ、深夜電力を利用した蓄熱暖房機、オイルヒーターなどいろいろあります。
 こうした暖房機器に共通しているのは与えるエネルギーと取り出すエネルギーの割合が1:1と言う点にあります。
 実際には機器の効率が100%ではないので1:零点いくつになるのですが、話しをわかりやすくするために1:1としています。

 前回ヒートポンプの特徴について書きましたが、ヒートポンプは与えたエネルギーよりも大きい熱エネルギーが取り出せます。
 カタログでは1:4ぐらいになっていますが、ヒートポンプは外気温が下がると効率も下がる特徴があります。
 外気温が0度を下回るときの効率を計算してみると1:3ぐらいになっていました。

 つまり外気温が0度を下回るような寒いときに消費電力が1,000Wだったとするとヒートポンプは3,000Wぐらいを出力していることになります。
 電気ストーブは1,000Wの電力で出力も1,000Wですからヒートポンプは効率の良い設備機器だと言うことが分かっていただけると思います。

 わが家では1、2階で2台のヒートポンプを使っています。1、2階とも20坪程度の大きさです。
 それぞれ設定温度が違うので消費電力も違うのですが、一日の平均気温が0度と寒い日は1,300W×2台、平均気温が5度ぐらいになれば700W×2台ぐらいで運転しています。

 富山で一日の平均気温が0度というは真冬の数日程度ですからおおむね700W~1,200W(1台当たり)ぐらいで運転しているようです。
 屋外が5度ぐらいの時に室温を21度ぐらいに保つために使っている電力が700W×2台ぐらいなわけですが、吹き抜けがあっても上下に温度差がほとんど無くトイレや脱衣室も暖房している割には消費している電力は小さいように思います。

 発電所では石油など(1次エネルギー)から電気(2次エネルギー)を作っています。
 1次エネルギーから取り出せる電気エネルギー(2次エネルギー)の効率は1/2.71(平均値)とされています。つまり石油などから取り出せるエネルギーのうち電気として使えるのは37%ぐらいしか無いことになります。
 電気の1次エネルギー消費量には、1kWhを得るためにはその2.71倍の1次エネルギーが必要であることから9.75MJ/kWhが使われています。

 1:1の機器で1kWh(3.6MJ)を得るためには9.75MJの石油などの1次エネルギーが必要となりますが、1:3の機器の場合1kWhから10.8MJのエネルギーが取り出せるので消費する1次エネルギーよりも多くなることから効率が良いとされているわけです。
 消費電力でみるとヒートポンプでは700Wの電気ストーブ2台が消費する電力量で全室連続暖房していることになります。

 全室連続暖房というと贅沢だ、外出時や就寝時まで暖房するのは無駄だ・・・などと言われますが測ってみると必要な場所に必要な時間だけ使う部分間欠暖房で使うエネルギーとほとんど変わりません。

 寒い日でも家に帰れば暖かいという単純で素朴な安心感は住み心地に大きく影響していると思います。
 全室連続暖房は設備機器や熱損失量の他にも間取りなど様々なことを考えなければいけません。
 こんなはずじゃ無かったにならないためにも富山など寒い地域の家づくりは温熱環境まで考えてくれる建築士に相談することをお勧めします。

エコキュートの電気料金

2016.02.15.13:43

 わが家の給湯はエコキュート(470リットル)です。
 エコキュートは関西電力の登録商標で正しくは「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」と言うそうです。
 電気でお湯を作る機器には電気温水器もあります。どちらも電気料金単価の安い深夜の時間帯にお湯を作るので間違いやすいのですが、電気温水器とエコキュートはお湯の作り方が違います。

 エコキュートはヒートポンプで空気から熱をくみ取って使った電気以上の熱が取り出せると言われますが、今ひとつ分かりにくい話です。
 ヒートポンプについては”ヒートポンプ・蓄熱センター”に詳しい説明があります。

 また、エコキュートの電気代はいくらですかと尋ねると詳しい人ほどはっきり答えてくれません。
 だいたいこのくらいかな・・・はっきりしない理由はヒートポンプのしくみに由来しているので電気温水器のように一月いくら程度ですと言いにくいのです。
 ヒートポンプは同じ熱を取り出すのに必要な電力が気温によって変化します。

 先日この時期に珍しく暖かい日があったので寒い日と暖かい日でエコキュートの消費電力がどのように変わるのか調べてみました。
 エコキュートは深夜以外の時間でも湯増し運転などを行いますが、今回は深夜時間帯の通常運転時の消費電力量を比較しました。

 測定時間:1:00~7:00

 2月11日
 平均外気温:-1.0度
 消費電力:8.8kWh

 2月14日
 平均外気温:16.2度
 消費電力:4.6kWh

 暖かい日では寒い日の半分ぐらいの消費電力でお湯を沸かしているようです。
 お湯の使い方や使用量は両日で違いはありませんので、気温が下がるとエコキュートは消費電力が多くなることが分かります。

 さらにエコキュートは深夜以外の時間帯でも湯増し運転等をすることがあります。
 エコキュートを使い始めると深夜帯以外の運転が気になります。
 これについてはメーカーもよく考えていて確かに料金単価は高いかもしれないがその分出力を落とせば消費量は抑えられるのでいろいろ工夫しているそうです。

 失敗もありました。
 エコキュートの消費電力を測りはじめた頃に子どもがお風呂に入る時間帯にエコキュートが電気を使っています。
 しかもそれが入浴時間と合っていたために、エコキュートはお湯を使うと電力を消費すると勘違いしたことがありました。
 エコキュートは湯沸かしや湯増し、お湯の温度を保つ運転以外の消費電力はほとんどありませんし、お湯を出す時は水道の圧力を使っているのでポンプが動くわけでもありません。

 お湯を使うと弁が開くとか、外気温が下がると機器内配管の凍結防止にポンプが作動するといったことがありますがほとんど無視してよい程度の電力量です。

 ちなみにわが家のエコキュートの電気料金は
 11月 2,300円
 1月  4,500円
 冬だけ比べても外気温によって電気料金は結構違いますから、夏も含めた通年の電気料金となると答えにくいのが分かっていただけると思います。

 エコキュートの運転方法や使い方をいろいろ変えて試してみましたがやっぱり外気温の影響が大きいので間違った使い方さえしなければエコキュートが自分で判断してくれる運転モードが良さそうです。
 エコキュートは電気温水器よりも安い電気料金で給湯ができますが、機器の値段が高いので電気温水器よりも設備費がかかります。

 ついでに1月の給湯代4,500円を灯油換算してみると灯油1Lが50円ぐらいでエコキュートと灯油ボイラーの運転費用は同じぐらいになりました。

床下の温度

2016.02.07.20:23

 わが家では10月下旬~翌年の4月下旬までヒートポンプを使った温水床暖房を連続運転しています。
 時期によって暖房費用(電気料金)は変わりますが、おおむね室温は21度を下回らないようにしています。

 最近では日中の電気料金単価が高い時間帯の設定温度をタイマーで2度程度下げることで電気料金の軽減に取り組んでいます。
 日中の電気料金単価は深夜料金単価の4倍近くするのでわずか2度設定温度を下げるだけでも電気料金としては目に見えて減るのがありがたいです。通風口を塞ぐバックアップ材

 さて、以前から床下の温度について気になっていたことがあります。
 床下に温度ロガーを吊して継続して測ってみると時々温度がぐっと下がることがありました。
 調べてみると床下の温度が下がる時間帯には比較的強い風が吹いていることが分かりました。
 通常は安定している床下の温度ですが風が吹くと床下にも冷たい空気が入り込むことで温度が下がっていたわけです。

 また、外気温が氷点下になっても室温があまり下がらない日と下がる日がはっきりしていて床下の温度が室温にも影響しているように感じていました。
 そこで調べてみることにしました。

 屋外の気温・風速・風向、それから床下の温度と室温、床面の温度を測ることで風の影響と温度変化は捉えられますが、基礎パッキンの隙間(通風口)の塞ぎ方について課題がありました。
 これについては短時間で隙間を埋めることができて外すときも簡単な丸棒バックアップ材を使うことにしました。
 バックアップ材は目地の隙間を埋める作業に使う下地材です。
 値段も直径21ミリ、60メートル(一箱)が2,000円程度で手に入ります。

 通風口を塞いで測ってみると床下の温度が2度程度、室温は1度程度上昇しました。
 また、風が入ってきにくいので風が吹いても床下の温度変化は小さくなりました。
 通風口を塞ぐ際にエコキュートなど設備がある場所は作業がしにくいのでそのままにしておきましたが、隙間が残っている方角から比較的強い風が吹くと床下の温度も少し下がりますが以前のように急激に下がることは無くなりました。
 床下の温度変化が小さくなったことで風が吹く寒い朝でも室温低下はほとんど無くなりました。

 富山の冬は風が吹かないので体感温度が高いのが特徴です。それでも寒い日に風が吹くと室温も下がっていたわけですが、今回基礎パッキンの通風口を塞ぐことで風が吹いても室温低下を軽減させることができました。
 室温が21度から22度になったわけですが寒いか暖かいかの境界付近でのわずかの温度差は体感に結構影響があります。

 室温は20度もあれば十分ですが、だんだん贅沢になるというか年々少しずつ室温が上昇しているように思います。
 与える熱量を増やしているわけでは無く室内から寒さを取り除く工夫で室温が上昇しているので今年はこれで寒い冬を乗り切ろうと思っています。

 通風口を塞ぐのは寒い時期だけです。暖房を使わなくなったら速やかに外さないと別の問題が起きるので外しやすさは結構重要です。

電気料金メニューの比較

2016.02.02.21:43

 北陸電力から平成28年4月からはじまる電気料金メニューが発表になりました。
 これまで使っていた料金メニューは平成28年4月以降も継続して使えますが、平成28年8月以降の変更については新しい料金メニューしか選ぶことができません。

 電力自由化で電気料金は安くなると言われていますが、わが家ではどっちの料金メニューが安くなるのか興味がありました。
 現在選んでいる”エルフナイト10プラス”と新料金メニュー”くつろぎナイト12”を数年分の1時間毎の消費電力量のデータをもとに比べてみました。

 なんと、電気料金はほとんど同じになりました。
 電気料金は年間20万円を超えますが料金メニューでの年差額は300円程度でしたから同じと言っても差し支えないと思います。

 現在の割引プランが新メニューでは使えなくなります。
 エルフナイト10プラスには冬季の電気料金が2割引になるあったかプランがありますが、新メニューにはありません。
 あったかプランは電気温水器やエコキュート、クッキングヒータ、200Vエアコンや床暖房用ヒートポンプを使用し機器総容量が10kVAの場合に選ぶことができます。

 言葉で書くと難しく感じますが、給湯は電気温水器やエコキュート、200Vエアコン、クッキングヒーターは今では普通の設備機器なのですでにあったかプランが使える家は結構多いと思います。
 新築の場合は最初から設備が揃っていますが、私のように後から少しずつ設備更新した場合はあったかプランを見逃しているかもしれません。

 料金メニューでの差額はほとんどありませんが、あったかプランなどは冬に多くの電力を使う家庭では見逃したくないプランですし、電気料金が高くなる冬に2割引になるのは助かります。わが家では1月の割引額は7,300円でした。
 消費電力量だけで比べるとどっちの料金メニューでも金額に違いはほとんどありませんが料金プランで比較すると割引プランによっては電気料金に違いが出ます。

 わが家の場合は電気料金メニューを変更しない方が年間の電気料金は安くなる結果になりました。
 電力自由化で北陸電力以外も選べるようになりますが、消費電力量だけで比べずにどんな機器をどのように使っているか把握し、電力会社で使えるサービスが無いか調べてみることをお勧めします。

 普段気にしない電気料金メニューですが新しい発見があるかもしれませんし、設備更新時期であれば事前に使える料金プランを知ることで選ぶ設備が変わるかもしれません。
 平成28年8月以降は新しい料金メニューしか選ぶことができなくなります。
 また、あったかプランなどの割引プランの見直しにも締切があります。

LED照明

2016.01.28.20:08

 LED照明は消費電力が少ない照明機器です。
 10年前に住み始めた頃は30個以上の白熱電球を使っていましたが、最近使用頻度が高い部屋から少しずつLED照明に替えています。

 わが家では白熱電球からLED電球に交換していますが、調光機器付の場合はLED電球も調光対応型を選ばないとLED電球が点灯しなかったり点滅したり、明るさがふらつくことがあります。
 こうした不具合はLED電球が直流電流で点灯するために起こるそうです。

 LED電球の中には交流電流を直流電流に変換する回路が入っていますが、調光対応型には一手間かけてあるので電球の価格も少し高くなります。
 また、調光対応型のLED電球であっても一つの壁スイッチで複数のLED電球が点灯するような場合に明るさがふらついたりすることがあります。

 わが家でも調光対応型のLED電球のふらつき現象が起こりました。
 最初はあれ!?・・・明るさがふらつくと気持ち悪くなります。
 全部のLED電球では無くて一つのスイッチで3つ以上点灯するような照明でふらつきが起きていました。

 対策はふらついているLED電球群の一つを白熱電球に戻すことでふらつきが無くなりました。
 幸いLED電球と白熱電球が混在していても色合いや明るさに違いはほとんどありません。

 最近はLED照明で使われるLED電球が交換出来ない一体型が増えているそうです。
 電球が切れただけで機器まで交換するのには違和感がありますが、話しを聞いてみるとLED電球の寿命が照明機器の寿命と同じぐらいになったので照明機器メーカーとしては寿命が切れた機器を使い続けて事故や火災などが起こりにくく、照明機器の更新も期待できるとして一体型が増えているそうです。

 言われてみれば照明機器としては使えるけど、蛍光灯などを交換する際に見える部品が変色していたり、配線にひびが入っているものを見たことがあります。
 照明として使えても機器の寿命は10年だそうです。

 主張は分かりますがタマが切れただけで機器まで交換するのは抵抗があるしぃ~
 10年使わないうちに運悪くタマ切れしても交換でしょ?・・・
 何にでも最初は抵抗がありますし、人の気持ちはすぐには変わらないものです。

 いろいろ抵抗したい気持ちはありますが、白熱電球とLED電球では消費電力が大きく違います。
 富山の家庭で使うエネルギーで最も大きいのは暖房ですが次が照明・家電、給湯と続いて冷房は年間の消費量としては3%にもなりません。

 イメージとして大きなエネルギーを使っていそうな冷房ですが調べてみると冷房する期間も限られているし、終日使っているわけでもありません。
 照明は目立ちませんが年間を通して一定量を安定して使うので年間消費量が結構大きく、LED照明を増やすことで家庭で使われるエネルギーが減らせるというわけです。

 私は白熱電球からの交換組ですからLED電球も交換出来るメリット?があります。
 一方、一体化のLED照明機器はデザインもすっきりしているし、おしゃれなものが多いようです。
 新築やリフォームの際にはまだ電球交換ができる照明機器が選べるかもしれませんので建築士と相談してほしいと思います。

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