木の調湿効果

2016.09.19.11:50

 木には調湿性があると言われますが、実際調湿している様子は見たことがありません。
 温湿度を測り比べて調湿しているのだろうということなのですが、何とか調湿している様子を観察できないかと思っていました。

 建築士が開いている勉強会のお手伝いに行ったとき、講師の先生に思い切って相談したところ木が調湿している場面を見ることは難しいけど写真には撮れると教えてもらいました。タッパーを使った木の調湿実験

 やり方はタッパーに木と水を含んだ物を入れてラップで密閉して上から少し冷えた水の袋を載せておきます。
 タッパーの中を比較的湿気の多い状態にしてラップを境に冷たい物と接することで、冬の窓ガラスのように屋外は冷たくて室内は暖かく湿度も高い状態を作っています。

 水袋はラップ面に均等に当たるように置いてありますし、木片はタッパ高よりも2㎜ほど高いのでラップに密着しています。
 しばらくして水袋を外してみると写真のように木片の周囲だけ結露していませんでした。

 タッパーも木片も同じ場所に数日間おいてあった物ですし、同じ温度の水袋に触れていますからラップに接しているタッパーも木片も同じ温度です。
 タッパーの周囲ではまんべんなく結露しているのに木片の周囲だけは結露していないと言うことは木片の周囲の水蒸気が少ないか温度が高くなっているように思います。

 写真は水袋をタッパーに置いてから20分後に撮影しました。
 時間をおけばもっと違う様子になると思いますが、比較的短い時間でも木は素早く湿度の変化に反応することがわかりました。

外壁の変化

2016.08.28.17:30

 わが家の外壁は杉板です。
 板張りの外壁は保護塗料の塗り直しなどメンテナンスが大変そうなイメージがありますが赤身の板であれば塗装無しでも十分長持ちします。南側外壁

 当初は塗装した赤身の板を使いましたが、時間が経つと塗装がはがれて板の素地がむき出しになります。
 雨風、日光がよく当たる南側外壁が最も早く塗装が剥がれ、北側の外壁は10年経っても大きな変化がありません。北側外壁

 塗装が剥がれてしまうのは日光によって板の表面が劣化して雨風によって剥がれ落ちることで起きるそうです。
 塗装が剥がれたら塗り直しと思いますが、元々赤身の板は光劣化には強いので少しぐらい劣化しても外壁としての機能を損なうまでには50年以上かかります。

 最も変化が見られる南側の外壁を観察すると板は一様に変化するのでは無くて年輪の堅い部分と柔らかい部分で変化の様子が違います。
 柔らかい部分は早く劣化してやせ細っていきますが堅い部分は結構粘っているので板がデコボコになっています。劣化した板の表面

 デコボコになっている板の表面を拡大してみると柔らかい部分は細胞が膨らんでいて中に何か入っているように見えますが、堅い部分は細胞の壁が圧縮して固まっているように見えます。
(3枚目写真の赤丸部分を拡大したのが4枚目の写真)

 細胞壁は結構堅いらしく圧縮して集まっていると劣化が進みにくく、柔らかい部分は堅い細胞壁が広がっているので密度が低いことから相対的に早く劣化が進んでいるように見えました。拡大した板

 木の細胞なんて普段なかなか見られませんが、10年経った外壁を拡大しただけできれいに並んでいる細胞を見ることができてよかったです。

 外壁には様々な材料が使われています。
 表面が劣化して下地材が出てしまい美観や機能を損ねる材料もありますが、外壁として適材である赤身の板は素地全部が同じなので下地が出ると言うことはありません。

 また、劣化と言っても表面だけで起こる現象なので風雨で劣化した部分が剥がれなければ内部まで劣化が進むことが無いことも赤身の板の特徴だそうです。
 そうは言っても使っていれば物が当たったり一部が傷んだりします。
 板は生物資源なのでまた同じ物を使うことができますし、3年も経てばどこを張り替えたのかわからなくなってしまいます。

 外壁として優れた材料という話には必ず赤身の板が出てきます。
 板張りの外壁はメンテナンスが大変そうに思っていましたが、10年経ってほとんど何もしていません。
 住まい手が何もしなくても板の表面では光劣化に対抗する機能が働いていてそれを上手に利用する方法でわが家の外壁ができていることが少しわかりました。

調湿性とビール瓶

2016.08.08.00:27

 木には調湿性があって柱一本にはビール瓶○○分の水分が・・・。
 ビール瓶の話はよく出てきますが、どうしてビール瓶が例えになっているのか不思議に思っていました。
 以前、林業家がそれは何とかという本に出てくると話してくれたのですが本の題名を聞き漏らしてしまってずっとモヤモヤしていました。ビール瓶と調湿

 本に出てくるというキーワードだけで探してみたところ見つかりました。

 「木づくりの常識非常識」 上村武著

 この本の中にビール瓶の話が出てきます。
 ビール瓶の話の理屈がわかったのでちょっと計算してみました。

 まず、杉で長さ3m、三寸五分角の柱の重さを求めます。
 10.5㎝×10.5㎝×300㎝ =33,075立方㎝
 33,075立方㎝の体積と杉の気乾比重0.38から12,568グラムとなります。
 12,568グラムは杉が大気中の水蒸気を吸った状態なので含水率15%として全乾重量を求めます。

 12,568÷1.15=10,928(全乾重量)
 12,568-10,928=1,640(柱に含まれる水分量)
 1,640gをビール大瓶633mlで割ると2.5本分となります。

 4寸角だと3.3本分
 長さ6m、8寸角の大黒柱になると27本分の水分を含んでいることになります。

 よく聞く話は木には調湿性があって柱にはビール瓶2.5本分の水分が含まれていると言うものですが、実際に調湿するのはもっと少ないことが本の中でも書かれているし、柱の大きさや長さが違えば水分量も違うのに、ビール瓶2.5本分という言葉だけが一人歩きしているように感じました。

 本の中には静岡大学で行われたマウスの実験や貨物船の船員の居室はできるだけ木の内装が使われる話などおもしろい話がいろいろありました。

冷たい板

2016.08.03.12:27

 暑いこの時期に冷蔵庫から取り出したペットボトルの表面にはたくさんの結露水がつきます。冷やした板
 ちょっと置いておくと結露水が垂れてくるくらいですから冬と違って水蒸気量が多いことがわかります。

 ペットボトルが結露するのは水蒸気を含む空気が冷たい物に触れて飽和するからです。
 それじゃあ木の板も冷やすと表面に結露するのかやってみることにしました。

 木の板を一枚冷蔵庫に入れて丸一日冷やします。
 もう一枚重さを揃えた木の板を用意しておきます。
 写真のように両者を天秤にかけて重さに変化があるか、板を触ったときの感触などを観察しました。

 まず、丸一日冷蔵庫に入っていた板ですから冷たくなっているはずですが触った感触はそんなに冷たくありません。
 両者を天秤にかけてみるとわずかに冷蔵庫の板が重くなりました。

 5分ほどして両者を触ってみると冷蔵庫に入れた板の表面は湿っぽくなっていましたが、小口はさらっとしていて冷やしていない板と触った感触に違いがありませんでした。
 結露しているペットボトルの表面を指でなぞると跡が残りますが湿っぽくなっている板の表面をなぞっても跡が残るようなことはなく板の表面で結露しているようには見えませんでした。

 板は少し重たくなったので結露はしているのだと思いますが、木の繊維は水分が増えると自ら膨らんでさらに水分を取り込める特徴があるので少しぐらい結露してもペットボトルのように結露が表面に見られることは無いようです。
 また、小口はサラサラのままだったので小口は他の部分よりも多くの量を速い速度で調湿しているように思います。

 今回は木の板を冷蔵庫で冷やしてから触ってみるという簡単な観察でしたが、板が冷たくなかったり、板の表面に結露が見られなかったり、小口はサラサラだったことを通じて家族が健康で快適に生活できる木の家の特徴が感じられた観察でした。

階段の板

2016.06.06.12:48

 わが家の階段は大工さんが造ってくれた手作りで、造ってくれた大工さんの名前がついています。
 踏み板、蹴込み板、ささら板も杉です。
 柱や梁、床板、野路板まで杉なので使い分ける必要が無いように思いますが、ほかの部分同様に踏み板も使い分けされています。階段材

 写真の板は厚みは同じですが年輪の間隔が違います。
 年輪は密度が高く堅い部分と密度が低く柔らかい部分が交互になっています。
 階段を何度も行き来していると踏み板の角がだんだん丸くなっていきます。
 角が丸くなると滑って危ない思いをするので、なるべく丸くならないようにしておきたいところです。

 そこで林業家は階段材として年輪が細かいものを選んで出荷し大工さんはそれを踏み板として使い分けるそうです。
 住み始めて10年になるわが家で観察すると踏み板の角はこすれて丸くなっていますがよく見ると堅い年輪のところで止まっています。

 堅い部分もやがて削れてしまうと思いますが、年輪が細かいのですぐに堅い部分が出てきます。
 年輪の目が細かい方が角が丸くなるのに時間がかかるわけです。

 また、階段は同じ場所を繰り返し踏むので角以外もだんだんこすれてきます。
 堅い部分と柔らかい部分で減り方が違うので年輪の間隔が細かいとちょうどよい滑り止めになってしっかりグリップするようになります。

 家が新しく施主も若いときはそれほど気にとめることは無いと思いますが、年をとってくると滑る階段は危なく感じます。
 階段に滑り止めをつけたり滑りにくいスリッパを履くなど対策はいろいろあると思いますが、余計なことをしなくても裸足の生活を邪魔しないわが家の階段はとても気に入っています。

 蹴込み板についてもきれいな板は部屋から見える場所に使うなど工夫されているのですが、大工さんは細かいことまで言わないので住まい手がそうしたことに気がつくまで時間がかかってしまいます。
 私も建具屋さんに「きれいな階段は最近少なくなってしまった。」と言われてはじめて気がつきました。

 設計事務所や天然乾燥、手作りの階段などと言うと高価な家のように感じるかもしれません。
 わが家を見に来られた方にこんな家は私には無理だと言われました。
 私も最初に建築士の作品を見たときはこれは俺には無理だと思ったことを正直に話すようにしています。

 建築士や林業家は「一部のお金持ちだけが建てられる木の家では意味が無い。」と言います。
 住まい手が気持ちよく健康に生活できる家として木の家には実績があり、普通のサラリーマンでも建てられますが、誰に相談するかで大きく違います。
 イメージや思い込みだけで決めないでいろいろな方に話を聞いて誰を頼るか決めてほしいと思います。

住まい手も山へ

2016.04.21.10:13

 建築士と一緒にわが家のふるさとの山に行ってきました。
 これまでも何度か山に行きましたが何度行っても新しい発見があります。
 案内された山に着いて何か説明してくれるのかと思ったらタケノコ採ってくるから適当に見ててと林業家がどこかに行ってしまいました。

 適当に見ろといわれてもどこをどう見たらいいのかわかりません。
 しばらく山を見ているとこれまで見てきた山と様子が少し違います。
 林業家が企画する伐採ツアーで案内される山は大きな木が並んで立っているし、大きな木を残すために間引きをした切り株もあちらこちらに見られます。母樹林の標識
 ところが案内された山は大きな木もあるけどそれ以外の木もあって間引きした様子もありません。

 途中で母樹林と書かれた標識を見つけました。
 以前に林業家が私たちが植林する苗は種から育てた実生(みしょう)の苗だと教えてくれました。
 挿し木は親木のクローンですが、種から育てた苗は母木はわかっていますが、花粉は50㎞以上も飛ぶので母木以上に優れた木ができる可能性があるそうです。
 今回林業家が案内してくれた山は種を採ることができる母木の山だったわけです。

 母樹林について調べてみると林業種苗法という法律まであって母樹林に指定されている山の木は勝手に伐採してはいけないことになっていました。
 だから今まで見せてもらった山と見た感じが違っていたわけです。

 植林後90年ぐらい経った山を観察した後、林業家が離れた場所から今見てきた場所を指しながら樹形について話してくれました。
 山の中にいるときは気がつきませんでしたが、離れて見るとほかの場所と明らかに木々の形が違います。

 私はこれまで山に立っている杉の木を一まとめに捉えてきましたが、見方がわかるとあの山の木はまだ若い、ここは結構成熟しているなどといった見方ができるようになります。そうして山を見ると今まで見ていた山が別のように見えてくるから不思議なものです。

 木を見て、森を見ずと言われます。
 小さなことに心を奪われて全体を見通せなくなる様子を表現することわざで、広い視野を持って見ると捉え方が変わる教訓としても使われています。

 建築士のところへ家づくりの相談に行って最初に話してくれるのは木の話です。
 ”建築士の第一時間目の授業”と私が勝手に名前をつけている大切な話の中に、
「家に使う木は使う場所でそれぞれ役割が違うので役割に適した材料を使い分けることが大切でこうしたことを適材適所と言います。」という節があります。

 普段何気なく使っている適材適所ですが、言葉の意味の元になった使い方を聞いたときはおぉ!と感動しましたが、今回も同じものを見て捉え方が変わる様子を自ら体験することができました。
 最初は林業家から適当に見ててといわれて困ってしまいましたが、山を後にするときには車の窓から見える山を見るのが楽しくなりました。

 本物の木の家は高い調湿性があって五感に優しく、天然乾燥すると時間と共に木の色艶が深まると言った特徴に間違いはありませんが、わが家はそれぞれの要素がバランスよく調和することで私たち家族が気持ちよく生活できることが一番の特徴だと思います。

 住み始めて10年が経ち最近家内が「この家気持ちいいよね」と一言いいました。
 ブログで木の家についていろいろ書いていますが、私があれこれ言うよりも自分自身で感じてほしいと思っているので夫婦ではほとんど家の話はしていません。

 10年経ってやっと「この家気持ちいいよね」と一言だけですからもうちょっとほかに無いのか・・・と思いましたが、林業家や建築士に家内の一言を話したところそれが何よりうれしいと言ってくれました。
 普段の生活が気持ちよくてそれが自身で実感できるまでには時間がかかるのかもしれません。

 私たち家族は日常、木の家が国土の保全に役立つなどと考えて生活しているわけではありません。
 しかし、気持ちよく生活できる木の家が増えることは国土の保全に繋がることは確かだと思います。
 また、住まい手が山を見て林業家の苦労を知ることで自然に長く使い続けようと言う意識が芽生えてきます。

 丈夫で長持ちする家を長く使い続けられるかは住まい手の気持ちが重要ですし、次の住まい手に木の家の住み心地を伝えることも大切なことです。
 「この家気持ちいいよね」の一言は10年木の家に住み続けた感想を集約しているように思います。

薪の必要量

2016.03.03.13:25

 薪ストーブには薪が必要です。
 私も薪ストーブの導入を考えましたが長期間にわたって安定して薪を調達する手段が無かったので薪ストーブはあきらめました。
 そもそも薪ストーブで暖房するにはどれだけの薪が必要なのか事前に分かる方法が少ないように思います。

 薪ストーブが補助暖房であれば薪が無くなっても大きな問題になりませんが、主暖房だったら無くなるのは大変困ります。
 しかも慌てて調達した薪が乾燥不足だったらストーブも傷めてしまいます。
 十分な薪を薪置き場に準備して冬を迎えることになるわけですから、事前に薪の必要量は知りたいところです。

 ところがストーブ屋さんで聞いても○○立米ぐらいとか何キロぐらいなどと量で言われたり重さで言われたりして分かりにくいし、針葉樹と広葉樹では比重が違いますから話しがややこしくなってしまいます。

 そこで薪から得られるエネルギー量から必要量を割り出してみました。
 全乾燥状態の薪からは1kgあたり20MJのエネルギーを得ることができます。
 樹種に関係なく薪1㎏には化学的エネルギーが20MJあります。
 実際に使う薪は含水率(WB)20%ぐらいなので薪を燃やす際に水分が蒸発するときにエネルギーが消費されることから取り出せるエネルギーは14MJぐらいになります。

 暖房期間中の平均外気温 5度
 室温 21度
 自然温度差 3度
 総損失熱量 300W
 温度差 21-5-3=13度

 1時間に温度差1度当たり300Wの熱が出て行く家で家全体を21度に保つためには
 300W×24時間×13度=93.6kW

 暖房期間180日だとすると
 93.6×180=16,848kWになります。
 1kW=3.6MJなので16,848×3.6=60,652MJ

 60,652MJが暖房に必要なエネルギーですから薪1㎏から得られるエネルギー量14MJで割れば薪の必要量が分かります。
 60,652÷14=4,332㎏
 暖房期間中の平均気温が5度の地域で総熱損失量300Wの家を21度に保つには薪が4.3トン必要なことが分かりました。
 薪の単価が1㎏当たり50円とすると216,000円が薪の調達費用になります。

 もっともこの計算は室温を24時間21度に保つ全室連続暖房を想定しています。
 薪ストーブをお使いの方は夜間は火を小さくしたり消している方が多いようですが、センサーによる温度管理ではないので室温が高くなる傾向があり実際の消費量は全室連続暖房で計算した量に近くなるようです。

 また、薪置き場の位置、強い風が吹いたときに薪置き場から飛んでいくゴミ、高齢になったときの薪の準備など薪ストーブのカタログには書いてないことがいろいろあります。
 薪ストーブを上手に使っている方は「私はこれが好きだから」とおっしゃいます。

 そうした方の話しには貫禄を感じますが、数百万円もかけて薪ストーブを設置したのに数年使ってこんなはずじゃ無かったにならないためにも家の温熱環境も考えてくれる建築士に相談してほしいと思います。

目からうろこ

2015.05.15.08:55

 目から鱗が落ちると言います。
 鱗で目がふさがれた状態で良く見えなかったものが鱗が落ちて鮮明に見えるようになった様子を指し、今までこんなものだと思っていたことがあることをきっかけに急に理解が深まった場面でよく使われるようです。2014TS伐採ツアー

 私たちが木の家は何となく良さそうだと思って木をキーワードにしている家を見学することがあります。
 木の家と言うくらいですから木が使われているし、調湿など木が持っている機能面も期待できそうです。

 わが家も木の家ですが普通に言われる木の家よりも見た目が大きく違います。
 最初に目に入るのは見える木の量の違いです。今まで見てきた住宅展示場とは表に出ている木の量が全く違うのでほとんどの方が感じるようです。

 木の量が多い家ではログハウスが思い浮かびます。
 わが家に見学こられたご夫妻の奥様がログハウスみたいに木がいっぱいだって言った横からご主人がログハウスとは全く違う家だとお話になっている場面がありました。
 木が使われている点ではログハウスと同じですが、ご主人がおっしゃるようにわが家は作り方が違うのでログハウスではありません。
 近所の大工さんはあんたの家は昔の家をモダン風にした家だと話してくれたこともありました。

 木の家には寒いイメージがありますが、昔とは作り方も違いますし屋根が焼け込んで2階が極端に暑くなる心配もありません。
 冬は寒いから暖房、夏は暑いから冷房と単純に考えますが、家の中に寒さを持ち込まない工夫や夏に暑さを取り込まない工夫については考えたこともありませんでした。
 何年も室内外の温熱環境を測ってみると費用を抑えながら健康で快適に過ごすには設備機器の選定以上に暑さ寒さを取り除く工夫が大切だと感じます。

 木の家を見て木がたくさん使われている家だと感じた後、建築士の話しを聞くと単に木の量が多いわけでは無くてそれぞれ役割や使う場所が違うこと、そもそもなぜ木の家を建てるのかなど今まで疑問にも思っていなかったことに興味が出てきます。
 でも設計事務所は設計料がかかるから・・・と言う人もいましたが、総額いくらかかるかが重要で設計料が無料となっていても建物本体以外にかかる管理料に含まれている場合もあります。
 どっちが安いか比べることはできませんが、設計事務所では設計料がかかるから費用が増えるというのはあまり意味の無い話に思えます。

 設計事務所では詳細な設計図書を作ってくれますが、この資料が後になってとても役に立ちます。
 壁に何かを打ち付けようとするときやちょっとした修理をするときなど設計図書には細かいことまで書かれているので重宝します。
 また、家の構造に興味が出てきて調べたいときも詳しい作り方が書いてあるのでとても便利な資料です。

 建築士の勧めで林業家のツアーに参加したときには今まで木材で家を建てることに何の疑問もありませんでしたが、目の前で100年経った木を伐採するシーンを体験して木は植物だと気がつきました。
 生物ですから自ら害虫や病気などから身を守る仕組みを持っています。

 こうしたことを知り尽くす林業家が世代を繋いで大切に育てた木を本来持っている機能や仕組みを家に活かして欲しいという話しは私たち住まい手にとっても大切な話しです。
 しかし、林業家と住まい手はなかなか接点がありません。建築士には住まい手と林業家や職人さんを繋いでくれる役割もあるように感じています。

 目から鱗の話しは新約聖書の中に出てくる話しです。建築士が手をかざすと住まい手の目から鱗が落ちたように木の家について理解が深まるわけではありませんが、木の家について詳しい建築士の話には目から鱗が落ちる話しが多いように思います。

消える節

2015.04.20.10:43

 大工さんの番付を見てきました。
 わが家の番付から10年経ちましたが、何度も見せてもらうと見方も変わってきます。
 大きな梁を寸法に合わせて両端を切り落とすための線が書かれています。ところが片方は端からギリギリなのにもう片方は余裕があるように見えました。切り落とす部分

 どうしてこんな墨付けをするのかしばらく見ていると、あっ、節だ!と気がつきました。
 緑の矢印は節の位置で、赤い線のところで切り落とします。
 もともとこの梁には2カ所しか節が無かったのですが、手前の節を切り落としてももう一つ残ります。

 2枚目の写真では節の辺りに墨付けされていますが、この部分には仕口が刻まれるのでこの節も見えなくなります。
 大工さんは大きな節には大きな力がかからないように配慮をしながら仕口と節が重なるように切り落とす場所を決めていたわけです。
仕口で隠れる節
 たくさんある柱のどれをどこにどの向きで使うか決める番付も見ることができました。
 節が少ない面を見栄えのする場所に向けているのかと思ったのですが、わが家で観察してみるとどうやら大工さんは乾燥割れが入りそうな面が室内に出ないように見ているように思います。

 真壁仕様では柱が表に出ているので、室内には柱の1面以上は見えていることになります。
 わが家に使われている芯持ちの柱には背割りはしていないので必ずどこかが割れているはずなのですが、室内に割れている面が見える柱が少ないのです。

 番付の時に割れやすい面を避けてくれなければ使われている4分の1の柱が割れている面を室内に向けていてもおかしくないのですが、わが家では少ないです。
 大工さんの番付では節を消したり、乾燥割れが表に出ないようになどいろいろ考えてくれていることが少し分かってきました。
柱を見る大工さん
 私が家を建てる時も建築士や大工さんは番付を見せてくれたし説明もしてくれましたが、初めて見る私は舞い上がって見ただけ・・・だったと思います。
 しかし、あの時見せてくれたおかげでこうして何度も番付を見ることで少しずつ大工さんの仕事が見えるようになってきました。
 番付は見栄えだけじゃなく適材を適所に使うとか仕口・継手加工などいろいろ目的があります。

 天然乾燥材を手刻みするなんて高価で手が出ないと私も思いました。
 建築士や林業家は「一部のお金持ちだけが建てられる木の家では意味が無い」と言います。
 天然乾燥材をうまく説明できない方や手刻みを面倒だと考えている作り手のやりたくない値段を見ると高価だと思ってしまいますが、それができる作り手は普通のサラリーマンでも手にできる家を建ててくれます。

 2枚目の写真をよく見ると節本体は仕口加工で見えなくなりますが、木目の流れから節があることが分かります。
 10年前、わが家の梁の節について何か聞いた覚えがあったのですが、家が建ってしまうと分からない部分なので今まで気にしていませんでした。

 わが家でも木目の流れからたぶんこの先にフシがあるはずが隠れて見えなくなっている部分が見つかりました。
 今までこの梁は節が少なくて綺麗だと思っていましたが、大工さんが節を消してくれたことに10年経ってようやく気がつきました。

杉床

2015.03.23.14:05

 杉の床は裸足が気持ちいいとか汚れや傷が付きやすいと言われます。
 裸足が気持ちいいのは杉床の持つ早い吸湿と遅い熱伝導のおかげなのですが、それが傷が付きやすいことにつながっています。
 裸足が気持ちいい快適性を損なわずに汚れがつきにくい工夫として林業家は板に熱圧加工することで両者のいいとこ取りした床材を提供してくれます。

 裸足が気持ちよくて汚れもつきにくい熱圧加工床板ですが、水をこぼして放置すると水の跡が白く残ってしまいます。
 一方、熱圧加工していない床板では水の跡はつきにくいのですが汚れは熱圧加工板よりもつきやすくなります。
熱圧、非熱圧の境目
 写真は9年近く経ったわが家の階段(非熱圧材)と熱圧加工した板の境目を撮っています。
 まだ新しい杉板と比べても熱圧加工板は汚れがつきにくい様子が分かると思います。

 そんなややこしいことを言わずに傷にも強くて汚れもつきにくい床材なんてたくさんあるでしょ!と言われそうですが、裸足が気持ちいい特徴は外したくありません。

 傷に強いと言うことは硬いわけですから熱の伝わり方も早くなり触れたとき冷たく感じますし、汚れに強いと言うことは汚れが吸着しにくいと言うことですから足裏から水蒸気を吸わなくなることでベタベタした感触になります。

 杉床で生活している住まい手は水回りの床に薄い敷物を使っていらっしゃる方が多いようです。
 熱圧の有る無しにかかわらず敷物を使っているわけですからキッチンや洗面台周辺は水の跡が少ないです。
 水の跡が多いのは食卓とキッチン間など住まい手によって違いがあるにせよ、室内の一部に限られます。
 汚れについては家族が行き来するところは全部対象になりますし、行き来が多い部分は汚れやすくなります。

 おおざっぱに言えば一部分の水の跡が気になるか、床全体の汚れが気になるかのどちらを優先するかが目安になると思います。
 水回りは薄い敷物を使うので意外に水の跡はつきませんし、住まい方によって水の跡がつきやすい場所は限られてくるので対策が取りやすく、床が水の跡だらけになることは避けられそうです。

 私は汚れにくいことを優先して熱圧加工板を採用しましたが、どっちを選ぶかは住まい手の好みです。
 杉床は多少汚れが付くとか水の跡が残ることもありますが、家族が帰宅後一番最初に靴下を脱ぐ様子からも裸足の気持ちよさは最初からずっと変わりません。
 また、熱圧加工の有無にかかわらずどの住まい手も裸足の生活をしていらっしゃるので水の跡や汚れは快適性や居住性には影響が小さいのかもしれません。

 建築士は快適性や居住性に大きな影響を持つ裸足の気持ちよさについては導いてくれますが、好みの問題については施主が決めなくてはいけません。
 どっちを選んでも裸足の気持ちよさは変わりませんと言われても迷う気持ちはよぉ~く分かります。

手刻みの魅力

2015.02.28.12:07

 最近の柱や梁は数値制御工作機で加工することが多いそうです。
 わが家は大工さんが手刻みしてくれた家ですが、手刻みのどこがいいのか尋ねられると困ることがあります。
 職人さんの手仕事だから、ぬくもりがあるからなどと言われることもありますが、今ひとつ分かりにくい話です。
番付する大工さん
 私も最初は建築士が手刻みすると言うから手刻みになったということで、私が手刻みして欲しいと言ったわけではありません。
 もちろん当時の私に手刻みの魅力など分かるはずもないし、時々建築士に手刻みについて尋ねることはありましたが、うーん何となく分かったような・・・といった感じでした。

 手刻みでは大工さんがどの材料をどこにどの向きで使うか決めて印(番付)をつけていきます。
 番付された材料を大工さんが加工するので時間も手間もかかります。
 建築士は私たち施主を番付に参加させてくれます。

 何も書いてない何本もある大きな梁をどこに使おうかどっちの向きで使おうかなど相談しながら決めてくれます。
 私に決めろと言われても困ってしまいますが、こっちがお腹でこっちが背だから・・・などと説明を聞きながら決めていきます。

 初めて見る番付なので決めると言うよりは舞い上がっておぉ~そういうことかなどと感心しっぱなしなのですが、何とか数本の梁が決まります。
 私たちは初めて見た番付に感動して上棟日を待ちわびるわけですが、大工さんはこの後が大変です。
 わが家でも柱だけで100本ぐらいありますし、他の梁も含めて全部の材料について番付しないといけません。

 写真は大工さんが柱の位置を書いた図面を見ながら目の前にあるたくさんの柱をこれから番付しようとしているところです。
 場所によって柱の長さも違うし、周囲から良く見える場所もあれば押し入れに使われる柱もあります。
 一本ずつ柱や梁を見ながらどこにどの向きで使うかこの作業で決まります。

 完成見学会でリビングのフシが少ない綺麗な柱に目がとまったお客さまに大工さんが説明する場面がありました。
 「この柱はたまたま見つけたのでこの場所にしました。」
・・・説明終了・・・

 思わずもうちょっと番付の話しもしてほしいと思いましたが、建築士も大工さんも細かい話しはしないので私たちは本当にたまたま偶然見つけたと思ってしまいます。
 偶然じゃ無くて全部見てこの場所がふさわしいと選んだことを説明して欲しいのですが、大工さんが言うとたまたま見つけたになってしまいます。

 真壁仕様の場合柱や梁は表に見えます。見えるから選ぶわけですし、時間が経って施主が手刻みの魅力について少し分かってきた頃、押し入れや収納に隠れている柱や梁を見るとちゃんと使い分けられていることが分かるようになります。
 私は木の良し悪しはフシの有る無し、大きさによると思っていましたが、同じ等級であってもフシの大小、一本の柱にあるフシの数などいろいろです。

 バラツキが少ない均一の材料としてや強度など数字だけで捉えればやり方も変わってくるのかもしれませんが、木材を適材適所に使い分けるために番付は大切だと思いますし、手刻みしないとやがて番付はできなくなってしまいます。
 柱や梁を壁で覆ってしまう大壁仕様ではこうしたことはどうでも良い話しかもしれません。

 しかし、天然乾燥材は色艶が時間と共に深まる大きな特徴があります。
 最近、いい色になってきた・・・30年経つ林業家のご自宅のことですが杉を知り尽くした林業家でさえ目にとまる色艶は一部のお金持ちだけのものではありません。
 手刻みについては仕口・継ぎ手の種類や大きさなどいろいろあるようですが、住まい手としては見えるところには気を使ってほしいところです。

 私は最初、天然乾燥材を手刻みするなんて高価で手が出ないと思いました。
 家造りでは建築設計事務所で家造りをすると設計料がかかるので費用が高くなるとか、天然乾燥材を手刻みするなんて高くて手が出ないなど今にしてみれば勝手な思い込みによる誤解だったことがいろいろあります。

 住み始めて8年半が経ち少しずつ色艶が変わってきたわが家を眺めながら、手刻みは手間と時間がかかりますが天然乾燥材の特徴を活かせる最善の方法だと思えるようになりました。

カンナ仕上げと塗装

2015.01.14.04:03

 富山では真壁仕様でも柱や梁に塗装する家が多いように思います。
 私も柱・梁に塗装しようか迷いましたが、今は塗装しなくて良かったと思っています。

 住み始めた当初はなぜ柱や梁に塗装するのかいろいろ考えたこともあります。家につかう木の色が揃いやすい地域では塗装しない傾向があり、色が揃いにくい地域では塗装することが多いとか、年輪の細かさとか塗装する文化などいろいろあるみたいですが、無塗装には大きな特徴があります。

 真壁仕様の家は柱や梁が表に出ているので常に見える状態で使われ、大壁仕様では壁の中に隠れてしまうので表面仕上げに違いがあります。
 真壁仕様に使われている柱や梁はカンナ仕上げがしてあります。

 カンナ仕上げは新築からしばらくは目立ちませんが、10年ぐらいするとカンナ仕上げ独特の艶がだんだん目立ってきます。
 この艶はサンドペーパーなどで擦らない限り失われることは無く時間の経過と共に艶が深まっていきます。

 伐採ツアーの懇談の席で30年経つ林業家のご自宅の話になったときに「最近、カンナ艶がいい雰囲気になってきて・・・」と話してくれたことがありました。
 杉を知り尽くしている林業家でも時間が経ったカンナ仕上げが放つ艶に目が止まる話しを聞いてやがてわが家も・・・となんだかうれしくなりました。

 自宅に帰って改めて見てみるとまだ8年ですが、少しずつ艶が出てきているのが分かりますし、建築士と一緒にお邪魔した15年経過した家では思わず「これか!」と声を出してしまいました。
 天然乾燥材の特徴は時間と共に色艶が深まると聞いていましたが、カンナ仕上げされた艶の経過を見るといっそう艶の深まりに魅力を感じるようになります。

 家を建てようとしていたときは建築士や林業家に天然乾燥材の魅力は・・・と聞かされてそうなんだと受け身で捉えていた私ですが、今はせっかく家を建てるなら柱や梁はカンナ仕上げしてほしいと思いますし、わが家がそうなっていることに今さらながら感謝している次第です。

 しかし、家を建てようとしていた時にこうした話しを聞いたとしても私には理解できなかったと思うし、木の家である程度生活してから林業家が最近カンナ艶がいい雰囲気に・・・と話してくれたからこそその魅力に気がついたのかもしれません。
 木の家は五感に優しく調湿性があると言われますが、他にももっとたくさん住まい手が気持ちよく生活できる要素がちりばめられています。

 建築士や林業家、大工さんはそれらを知っていて最初から取り入れようとしているのですが住まい手がそれに気がつくには時間がかかるところが悩ましいところです。
 私もいつか「最近、この家いい雰囲気になってきた。」と誰かに言えるかもと思うとなんだか楽しみです。

色が揃った木の家

2014.10.13.19:27

 建築士は家造りの早い段階から色が揃った木の家について話してくれましたが、私には色が揃うということについてのイメージができませんでした。色が揃った板
 建築士が色が揃った家は綺麗だと言うからいいらしい・・・といった感じで捉えていたように思います。

 住み始めて何年経っても色が揃った木の家のどこがいいのか消化不良の時期が続いていました。
 ある日塗装していない木の家を見せてもらいバラバラの色を見て驚きました。
 木は自然素材ですから色がバラバラなのは当たり前のことですし自分でも分かっているつもりだったのですが、わが家との違いにとても驚きました。

 両方とも正真正銘の木の家ですが色が揃った木の家を見てしまうと両者が同じだとは思えなくなってしまいます。
 建築士はこのことを伝えたかったんだと木の家に住み始めて何年も経ってようやく気がついた次第です。バラバラの板

 色が揃った木の家の価値が分かってくると揃えてくれた林業家や大工さんの苦労も見えてきます。
 1階の天井板を張る前に大工さんの一人が右から三番目・・・などと言いながら2階にいる大工さんに声をかけていたシーンがありました。
 下から見上げてなるべく揃うように手間をかけてくれていたことをずっと後になって気がつきました。

 また、富山の林業家が話してくれた「綺麗な木もあるんですけど」の一言から揃えることの大変さが伝わってきます。
 木の家という言葉は頻繁に聞くようになりましたが、色が揃った木の家となると簡単じゃなさそうです。
 といって色が揃った木の家は高額で一部のお金持ちだけが建てられる家ではありません。

 建築士と相談しながら家造りを進めていたとき、私には色が揃う価値についての理解は全くありませんでしたが、色が揃う価値に気がつくと元には戻れません。

木の床

2014.05.16.09:33

 わが家は表面塗装していない杉の床です。
 ただでさえ傷が付きやすく汚れやすいと言われる杉を表面塗装もしなくて大丈夫ですか?と尋ねられることがあります。
 ブログでも何度か杉床のことは書いていますが、今回は熱伝導と調湿速度から見た杉床の話しです。生命を育む

 熱伝導が早いと触った時に体温が早く奪われるので冷たく感じます。杉の熱伝導は遅い部類に入るので触った時に冷たく感じにくいようですが、同じ杉でも大きめのフシを触ると冷たく感じます。

 どうやら熱伝導と堅さには関係があるようで硬くなると熱伝導も早くなり柔らかいと熱伝導も遅くなる傾向があるように感じています。
 熱伝導が遅い杉は柔らかい傾向があり、それが傷が付きやすいことにもつながります。 だったら表面塗装して硬い塗膜で保護してやれば傷が付きにくくて冷たくない床になりそうです。

 しかし、杉床にはもう一つサラサラした肌触りという特徴があります。
 若いご夫妻が杉床を選ばれた家のおじいさんが新築直後に話してくれたことがありました。
 「杉は柔らかいからすぐに傷だらけになる・・・」
 それからしばらくして新しい家の住み心地はいかがですかと伺ってみると
 「この床、サラサラして気持ちいいぞ」に変わっていました。
 おじいさんにとってはサラサラした感触の方が優位だったようです。

 このサラサラした感触は裸足で床に触れた瞬間に足裏から水蒸気を吸い取ってしまうことによるものです。
 杉はこの吸湿の速度がとても速くて触れた物から素早く水蒸気を吸い取ってしまいます。
 といってこぼした水をあっという間に吸い取ってしまう吸取紙のような機能があるわけではありません。

 サラサラした感触は足裏と床表面でのやり取りですからこの部分を塗膜で覆ってしまうと床材は足裏から水蒸気を吸い取ることができなくなります。
 表面塗装してある床を裸足で歩くとベタベタした感触になります。
 スリッパを使うので傷が付かなくて、汚れも付かない床の方が使いやすいという意見もあると思います。

 1988年頃に静岡大学でマウスを使った実験が行われました。
 実験についてはネットで”木 マウスの実験”と検索するといろんな記事が出てきます。
 有名な実験なのでマウスの実験とよばれていますが、正しくは
「マウスの飼育成績および嗜好性による各種材質の居住性の生物学的評価」という研究です。

 この実験はマウスの実験であって人が住む家のことを調べたわけでは無いのですが、木を使った実験の成績が良かったのでいつの間にか木造は・・・と家の話しにすり替わっていたり、マウスの実験なのに木以外の材料で家を建てると住まい手の寿命が短くなると言った人の話にすり替えられて使われていることもあります。

 この実験で分かったことは床材を変えることによってマウスの行動や成長に違いが見られたと言うことです。
 実験を行った有馬先生はあの実験はマウスでの話しだからとおっしゃいますが、杉床の早い吸湿と遅い熱伝導による肌触りは住まい手にとって気持ちいい感触をもたらす大きな要因であることは確かだと思います。

 ネット記事にはほとんど紹介されていませんが、実験ではマウスを解剖して臓器の重さも比較しています。
 脳は環境変化には強いらしく変化は小さかったのですが、卵巣、子宮、精巣という次の世代に命を繋ぐ臓器に大きな変化が出ています。
 マウスでの話しであって人間で調べたわけではありませんが、傷や汚れという要素と居住性という要素のどちらを優先するかは住まい手が決めることになります。

 床は簡単には変更ができません。
 迷ったときの建築士! どこかのキャッチコピーみたいですが床材を決める時は色や模様、傷や汚れの要素に加えて居住性にも注目して選んでほしいと思います。

 *マウス実験の資料は静岡県木材協同組合連合会から有償で求めることができます。

調湿の早さ

2014.03.05.22:15

 木は調湿性があるといいますが、どのくらいの早さで調湿しているのか興味がありました。
 屋内の湿度を継続して測ってみると夏は窓を開けることが多いことから湿度は大きく変化します。2013July
 窓を閉めている冬の間は湿度変化が小さく湿度計が壊れているのかと心配になるくらいです。

 そこで湿度計の測定間隔を1時間から1分に変えて調べてみたところ生活に合わせて湿度も変化していることが分かりました。
 食事の準備や家族が風呂に入っている時間帯は湿度が上昇します。上昇すると言っても3%ぐらいの変化ですから湿度計をパッと見ただけでは変化に気がつきにくいし、風呂を使い終わるとすぐに湿度が下がってしまうので1時間毎の測定間隔ではこうした早い湿度変化を捉えていなかったようです。2013December

 最初のグラフは7月一ヶ月の湿度変化です。室温は5度ぐらいの変化に対して湿度は30%程度変化しています。

 2枚目のグラフは12月一月の湿度変化です。こちらも室温変化は5度ぐらいあるのですが湿度変化は5%以下と小さな変化にとどまっています。

 3枚目のグラフは測定間隔を1分にして湿度変化を表示しています。生活に合わせて湿度が変化していますが、変化量は2%ぐらいと小さく水蒸気の供給が止まるとすぐに湿度が下がっていく様子が分かります。

 先日、有馬先生に木には調湿性があると言いますが、どのくらいの早さで調湿しているのか尋ねてみました。生活行動と湿度変化
 素人がこんなことを聞いていいのかドキドキしながら尋ねると「瞬間だよ!」とにこやかに話して下さいました。

 私たちは普段の生活で調湿の早さを感じているというのです。
 杉床はサラサラした肌触りが気持ちいいというのは杉床に触れた瞬間に足裏から水蒸気を吸い取ってしまうことで感じ取る感触ですし、金属などに触れるとわずかな時間で木に触れたときとは違うベタベタした感触になります。

 木に塗装して表面を覆ってしまうと金属のような冷たい感じこそしませんが、ベタッとする感触も日常生活で感じていることです。
 また、どんな精密なセンサーよりも人間の感覚の方が繊細な変化を捉えることが出来るとも話して下さいました。
 暖房が柔らかいとか木の家は空気感が違うなど、言葉だけではどういうことなのか分かりにくいことも体験すると確かに・・・って感じることは多いと思います。

 家造りはほとんどの方には一発勝負です。本や資料と共に人間の高性能体感センサーも大いに活用したいところです。
 建築士の住宅展示場では、柔らかい暖房や木の家の空気感といった言葉で表現しにくい部分も体験することが出来ます。
 是非、裸足になって本物の杉床が持っている早い調湿を体験してほしいと思います。

ヒステリシス

2014.02.17.08:48

 杉床はサラサラして裸足の生活が気持ちがよいと何度も書いていますが、杉床は隙間が空きます。
 木は放湿すると縮み、吸湿すると膨れる性質があるので乾燥する冬は隙間が空きやすくなります。床の隙間(2月)

 入居時には隙間がなかったので乾燥時期を過ぎればまた隙間が閉じてくれると思っていました。
 ところが実際には梅雨の真っ最中でも一度開いた隙間が綺麗に閉じるわけではなくわずかに隙間が空いています。
 乾燥時期よりも隙間は小さいのですが、入居時のようにピタッとくっついているわけではありません。

 わが家だけではなく別の杉床の家でも同じように梅雨でもわずかに隙間が空いているし、ずっと不思議に思っていました。
 原因はヒステリシスのようです。
 ヒステリシスとは、ある状態が現在加えられている力だけでなく、過去に加わった力に依存して変化することと説明され、履歴現象と言われることもあります。

 天然乾燥材は入居後も乾燥して水分が抜けていきます。冬など乾燥する時期に縮んだ床板は湿度が戻っても同じ寸法にはならないそうです。
 毎年伸びたり縮んだりするうちに伸び縮みする量が減ってきてやがて落ち着いた寸法の範囲内で伸び縮みするようになるので、だんだん隙間が広がって下地材が見えるくらい広がってしまうわけではないようです。

 木は平衡含水率になろうとして調湿していると言いますが、乾燥過程と吸湿過程では同じ湿度でも含水率に違いがあることで梅雨の時期でも隙間がピタッと閉じないと言うわけです。
 木にはこうした特徴があるから床材は人工乾燥してしっかり乾かしておきましょうという方もいらっしゃいます。

 一見無垢の床板の欠点のように見えますが、こうした特徴は高い調湿性という長所の裏返しでもあります。
 隙間だけの側面から見れば欠点ですが、隙間が空かないということは調湿性も小さいと言うことになります。
 杉床のサラサラした肌触りは高い調湿性が支えているのに隙間が空くからイヤだというのは両立しにくいことのように思います。

 床の隙間にゴミが入るとか掃除しにくいと言う人もいますし、隙間があると凸凹するんじゃないかなどいろいろ聞きます。
 木の話に限らず見方によって欠点は長所であることはいろいろあります。

 梅雨になっても隙間がピタッと閉じない杉床ですが、掃除機をほとんど使わずクイックルワイパーとホウキの掃除でも十分綺麗になりますし、真冬でも帰宅して最初に靴下を脱ぐ様子から家族もサラサラの肌触りが気に入っているようです。
 写真は住み始めて7年経った熱圧加工してある源平の杉床です。

乾燥割れ

2014.02.10.13:53

 木の家に住み始めると柱や梁が割れるバシッ!という音がします。
 杉など針葉樹の割れる音はおとなしいと言われますが、近くにいると突然バシッ!と大きな音がするので驚きます。
 木が乾燥していく過程で起きることですがすこし時間をかけて観察してみました。天然乾燥材の乾燥推移グラフ

 昨年の夏、大工さんに天然乾燥した柱の余り材を3等分に切ってもらいました。
 3つの試験体を屋外、1階リビング、2階書斎に置いて重さの変化を観察しました。
 グラフから最初の一月は3つの試験体とも同じ勢いで乾いていく様子が見られます。

 ところが2ヶ月経つと屋外以外の試験体は相変わらず乾いて軽くなっていくのに屋外の試験体はほとんど変化しなくなってしまいました。
 試験体は元は同じ柱材ですし長さも12㎝に揃えてあります。3つ重ねてある一番上が屋外に置いていた試験体です。
乾燥割れの違い
 よく見ると室内に置いていたものと屋外に置いていた試験体には乾燥割れの大きさに違いが見られます。
 天然乾燥した柱はある程度乾燥するとまず割れが入ります。その後乾燥が進むとさらに割れ目が広がっていくことが分かりました。
 建築士や林業家から「だから最初からそう言っていたでしょ」と言われそうですが・・・

 さて、ただでさえ柱や梁の割れ目は嫌われるのにわざわざ割れ目を観察するなんておかしいと捉えられるかもしれません。

 私たち家族は建築士や林業家が話してくれた木が割れる理屈と割れない木が失っているものの両方を天秤にかけて背割りもしない割れる柱や梁を選びました。
 住み始めて7年経って家中の柱や梁に乾燥割れが見られますが、割れる柱や梁を選んだことに後悔はありません。むしろ割れない柱を選ばないで良かったとさえ思います。

 割れるとか割れないと言う話には芯持ち材や芯去り材とか背割りの有る無し、天然乾燥と人工乾燥などいろいろあるのですが、天然乾燥した芯持ち材に背割りをしない柱・梁という最も乾燥割れが目立つ材料を選んで後悔していないと言うことです。

 建築士は家造りの相談にやってきた最初のお客さんに木の話をしてくれます。建築士の”第1時間目の授業”と私が勝手に名前をつけていますがとても大切な話しです。
 また、林業家が企画するツアーでは木が割れる理屈と割れない木が失っている物の話が聞けます。

 住まい手が健康で美しい家を手にするためにも両者の話は聞き逃したくない内容です。
 割れ目の観察をしながら8年ほど前に聞いた木の話を懐かしく思い出しました。

フシは枝

2013.12.10.22:43

 木は自然素材だから好きだけどフシは嫌いという話しを聞くことがあります。
 昔からフシの無い柱や梁は高級素材として扱われてきましたし、座敷にはフシの無い柱が使われてきました。
若い枝の節
 最近はフシの無い綺麗な薄板を貼り付けたり、無節の木目を印刷した柱を見ることもあります。
 木には必ず枝があってフシは枝の断面だと分かっているはずなのですが、表面だけ見て木の価値を決めている傾向があるように思います。

 一枚目の写真は直径5ミリ程度の杉の枝をフシが見えるように削ったものです。
 二枚目の写真はフシの断面が見えるように削って撮りました。
 最初の写真では小さい枝ですが、はっきりフシと分かります。
 枝が無い木は存在しないと思うのですが、枝がどのように幹につながっているのかまで考えたことはありませんでした。
枝の断面
 二枚目の写真では枝は幹の芯の部分とつながっていることが分かります。
 大きな枝であっても最初はこうした細く小さい枝から成長するので、枝は幹にピタッとくっついているのでは無く幹と一体になっています。

 人が何の手入れもしなければ日光が当たらなくなり必要が無くなった枝は、木が自らの判断で枝の根元から水を絶ってしまうそうです。水を絶たれた枝は枯れてやがて幹から落ちていきます。

 枝が無くなったところは徐々に新しい幹がフシだったところを覆うように取り巻いて行きます。
 こうした枯れて枝が落ちた跡は幹の中に死に節(枯れた枝のフシ)という形で残りますが、枝が枯れる前に不要な枝を切ってやると生き節となって幹の中に残ります。

 数十年後大きくなった木を加工したとき、手入れがしてある木からはフシの無い材料が多く取れるし、フシがあっても死に節が少なくなります。
 わが家に使われている太い柱や大きな梁にはほとんど死に節がありません。ということは誰かがまだ木が小さかった頃に不要な枝を落としてくれた証でもあります。

 木の値段はフシの大きさや量によってほとんど決まってしまうと言いますが、木は好きだけどフシは嫌いなどと言わないで、フシは枝と正しく理解して木が植物として持っている様々な特徴を家に活かして欲しいと思います。

芯去り柱

2013.11.21.01:10

 木の芯がある柱を芯持ち柱、芯が無いのが芯去り柱と言います。
 芯去り柱にはフシがなく、乾燥が進んでも割れにくい特徴があり、一面だけフシがないものから4面ともフシがない超高級材までいろいろあります。柾目
 芯を外して製材するので大口径の木から製材される贅沢な柱です。

 8年ほど前、家の間取りが決まって構造材を発注した直後に初めて林業家のところを訪れたときのことです。
 工場見学を終えて事務所に戻るとわが家の平面図を林業家が眺めています。
 家に必要な構造材を寸法などの数字だけでやり取りしているのかと思ったら、林業家は平面図を見ながら私にこんな提案をしてきました。
 「和室に芯去りの柱を使ったらどうぉ?」

 当時すでに芯去りの柱は高級材だと聞いていたので「高くて手が出ない。」というと「全部芯去りにすれば高くなるけど、和室だけなら5本だし家の中にフシがない綺麗な空間があるといいものですよ。」と言われてその場の勢いもあって和室は芯去りの柱を採用することになりました。

 今では芯去り柱を勧めてくれた林業家に感謝していますが、当時の私に一部だけ芯去り柱を採用するなどと言うことを考える余裕は無かったし、フシがない綺麗な空間とはどんな雰囲気なのか想像することも出来ませんでした。
板目
 毎日眺めるわけではありませんが、和室に座って見渡すと確かにフシがない空間は普段生活している部屋の雰囲気とはちょっと違います。
 家の中にちょっと違った雰囲気の場所があるのもいいものです。

 値段だけで考えれば芯去り柱はなかなか手が出ない物ですが、和室だけなど使い方を工夫することで費用と雰囲気の違う空間のバランスを取ることは出来ると思います。
 芯去り材と言っても2面無節であればびっくりするほどの値段ではないので建築士と相談して欲しいと思います。

 さて、芯去り柱には板目と柾目の面があります。
 どっちを正面に向けるか決めるわけですが、富山では板目を正面に向ける傾向があり、徳島では柾目を正面に向けることが多いそうです。

 富山の大工さんに尋ねてみると柾目面は赤身と白太部分の色の違いがはっきり出ます。 何年かすれば色の違いは分からなくなりますが、色の違うラインが少し斜めになることが多く錯覚で柱が傾いて見えることがあるので板目を正面に向けることが多いそうです。

 徳島では芯持ち柱には無い美しい柾目を正面に向けて楽しむ傾向があり、同じ芯去り柱でも地域によって使い方が違うようです。

郵便受

2013.09.18.19:08

 わが家の郵便受は大工さんの手作りです。。新品の郵便受
 赤身材だけで作った丈夫な郵便受ですが、少し汚れが目立ってきました。
 以前、林業家のモデルハウスの話しの時に木の表面膜を落とせば綺麗に復活すると書いたとこがありました。
 郵便受を高圧水で洗うわけにはいかないのでサンドペーパーで汚れを落としてみることにしました。7年経過した郵便受

 外壁を擦らないように養生する時間も含めて30分かからない簡単な作業でしたが、綺麗な木肌が復活してちょっとうれしいです。

 この郵便受、表面には釘やビス跡が見えませんしご覧のように形がシンプルなので今回のような作業もやりやすく、大きな郵便物もはみ出さないので気に入っています。綺麗になった郵便受

 差し入れ口は雨の日やパジャマ姿でも受け取られるので取り入れる方は多いそうです。

 ところが差し入れ口は厚みがあったり大きな郵便物が入らないので郵便局に持ち戻ってしまい再配達を依頼することになります。
 これが面倒なので大きめの郵便受を設置しているわけですが、大工さんが家にぴったり合った丈夫な受け箱を作ってくれました。

 前回、家と同じ山の木で家具を作ると家全体の色が揃って綺麗だと書きましたが、家具だけじゃなく郵便受なども大工さんに作ってもらえます。
 傷みやすい外壁などは赤身材を使うことが基本だと教わりましたが、大工さんが作ってくれた赤身の郵便受は表面についた汚れを擦り落とせば綺麗な肌が復活します。

 塗装する方法もありますが私は木の素地が気に入っているので塗装は考えていません。
 最初の写真は新築時のものです。
 改めてみると初々しい郵便受です。
 これが7年経つと2枚目の写真のように汚れが目立ってくるので、汚れを落としたのが3枚目の写真です。

 汚れが落ちても新品のようになるわけではありませんが、これはこれで新品にはない落ち着いた雰囲気が出ていると思います。

手刻み

2013.09.06.11:53

 わが家の構造材は手刻みしてあります。
 最近は数値制御工作機でプレカットするそうですが、なぜ手刻みしたのか尋ねられることがあります。
追掛け大栓継ぎ手1
 プレカットは普通の家の大きさだったら一日で構造材を加工してしまいます。
 手刻みの場合、番付作業だけで何日もかかるのに比べると時間と費用が抑えられると言われています。
 費用も時間もかかる手刻みは必要なくなるのでしょうか。

 確かにプレカットと手刻みの割合は9:1と圧倒的にプレカットが多いのですが手刻みも残っています。
 大工さんは製材所から届いた立方体の材料を並べてどこの場所にどのような向きで使うのか決めていきます。

 決まったら材料に「い1」とか「ろ5」などと番号をつけていきます。
 上司から「この仕事はいの一番にやれ」などと言われることがありますが、いろはにほへとの最初のい列の1番目ということから最初を意味する言葉として使われているようです。

 大工さんが番付について話してくれたことがありました。
 横架材は木の根元を外に向けて使う。
 横架材は背中が上を向くように使う。
 曲がりそうな材料は家が内側に締まっていくように使う。
 大きなフシなど見た目が悪い部分はなるべく見えにくいところで使う。
 大きく色が違う材料が隣り合わせにならないように木配りする。

 などと言ったことを一本ずつ見ながら振り分けているそうです。
 木の根元部分は赤身が多く粘りもあるので外壁に近い部分で使われます。
 背中が上に向くようにと言うのも長い時間斜面に立っていた木の特徴を活かしたやり方です。
 家が内側に締まっていくというのは屋外側に曲がって家が開いてしまわないようにと言うことらしいです。
 フシなど見栄えが悪い部分を見えにくくするとか木配りするのは何となく分かると思います。
 このほかにプレカットではあまり使わない仕口や継ぎ手が使えると言うこともあるそうです。

 わが家には普段目に入らない部分に番付が見えるところがあります。母屋のほこり
 まだ立方体の材料だった頃、大工さんが母屋と決めてつけてくれた印(母ヤ)を見ることが出来るわけですがどうしてこの場所になったのか考えるのも楽しいです。
 天然乾燥材は色艶が綺麗だと言われますが、手刻みは材料の特徴をさらに活かせる大事な手間だと思います。

 でも費用が心配になります。
 わが家には天井板も無いし壁紙もありません。手刻みに費用がかかっても別の費用が減ったりするので手刻みは高いと思い込まずに建築士に相談することをお勧めします。

 プレカットは短い時間で正確に加工できる優れた方法です。一方で手間や時間はかかるけど材料を見て選んで加工できる手刻みにも魅力があります。
 柱や梁が見える真壁には見られることを意識して木配りが出来る手刻みが合うように思います。

杉板と水回り

2013.08.06.01:37

 無垢の杉板を水回りに使うのは抵抗があると言われたことがあります。
 キッチンや洗面室、トイレなど水を使うところには杉板を使わない方が良いと言うことらしいのですが、わが家はキッチン、洗面室はもちろんトイレの床も杉床です。
 住み始めて7年経過しますが、今のところ何の問題もありません。
塗り分け
 前に排水パイプを外してしまいキッチンの床を水浸しにしてしまったことがありました。すぐに拭き取りましたが水を吸い込んでしまい板が膨れて床が波打ってしまいました。

 やっちゃった!と思いましたが、アルカリ性の洗剤で床を拭いたときに濃い紫色に変色したときのことを思い出し、様子を見ることにしました。
 水を含み膨らんだ床板が乾くと波打っていた床がだんだんおさまって、2日も経つと元に戻ってしまいました。
 水をかぶった部分がシミになっていることも無く、何事も無かったように元に戻りました。

 室内の床に水をこぼすことはあっても水浸しにすることは滅多に無いことです。
 杉の板は赤身であれば外壁に使えるほど水には強いし、源平の板でも一度や二度水をかぶった程度で何かおかしなことになるわけではありません。
防水塗膜拡大
 今回は杉板に防水塗料を塗ったらどんな感じなのかやってみることにしました。
 無垢の杉板と熱圧加工してある杉板(いずれも天然乾燥)に林業家が提供している”こもれびセラックニス”という防水塗料を二度塗りしました。
 1枚目の写真左側が熱圧加工板、右側は熱圧加工していない板です。
 この”こもれびセラックニス”はなんとバーボン・ウィスキーの臭いがします。(乾けば臭いは感じません)
 臭いをかぎながら飲んでしまいそうになりますが、防水塗料です。

 さて、塗ってみた感じですが2枚目の写真のように板に塗膜が出来るので肌触りは大きく変わりますが、水をこぼしたり水の中に浸けても変化はありませんでした。
 表面には塗膜が乗るので熱圧加工板と熱圧加工していない板両者とも見た感じはほとんど変わりませんが、熱圧加工板に塗ると熱圧加工板の特徴を塗膜で覆ってしまうことになります。

 拡大して気がついたのですが塗ったばかりの時はいいけど生活の中で塗膜はやがて剥がれてしまいます。
 剥がれた部分は結構目立つのでは無いかと思いました。また、防水は出来るけど肌触りが犠牲になりますし、調湿性能もほとんど無くなってしまいます。

 裸足の生活が当たり前になっているわが家では杉床のサラサラ感が失われるのには抵抗があります。
 無垢の杉床を水回りに使うのは抵抗があると言う人がいましたが、わが家では防水処理した床に抵抗があるという反対の捉え方をしています。

 この辺りの話しは人それぞれだと思いますが、無垢の杉床は防水処理しなくても結構水に強く水回りであっても十分使えるし、家中裸足で生活できるのは気持ちがいいです。



杉の色

2013.08.02.09:58

 家を建てる時、色を選ぶシーンは多いと思います。
 壁、カーテン、床やキッチン、便器の色まで決めなくてはいけません。DSC_4239_convert.jpg
 便器のシロといっても青みかかった白からアイボリーなど様々で迷うところです。

 わが家の壁はたまご色(殻の色)、真壁なので木が表しになっています。
 室内は障子と建具を除けば、たまご色と木の色と言うことになります。
 最近になって木の色って何色だろうと思うことがあります。

 家に使われる杉には様々なものがあって、富山ではタテヤマ杉が有名ですし、吉野杉、秋田杉など産地の名前がついていることが多いように思います。
 吉野杉を使いましたとか、タテヤマ杉で家を建てました。などと表現されますが色で杉を選んでいると言うよりは名前で選んでいる傾向があるように感じています。

 もちろん大壁仕様であれば柱・梁は見えなくなるので杉の色にこだわる必要はありませんが、柱・梁が見える真壁だったら色は重要だと思います。
 わが家の杉は徳島県の木頭杉が使われています。特徴は年輪が細かくて赤身が綺麗な杉を天然乾燥してあるところです。

 天然乾燥するともともと綺麗な赤身が色褪せずに長い年月をかけて色艶が深まっていくので新築時よりも今の方が家は綺麗です。
 もっとも徳島県の木頭杉であれば全てよしと言うわけでは無いらしく林業家のブランドとして出荷できるのはごく一部だそうです。

 杉の色なんてどの産地でも同じでしょ!と言われそうです。
 私は今でも建築士の構造見学会に行くことがありますが、いつも迷わずに行ったことも無い現場にたどり着くことが出来ます。
 団地であれば新築中の家は他にもありますが、間違えずにたどり着けるのは色が違うからです。
 構造見学会の時は柱や梁が外からでも見える状態が多いので特徴的な杉の色を見分けられるというわけです。

 普通に使われる柱・梁材と木頭杉は色が違うので分かりますが、似たような木を並べられたら区別するのは難しいと思います。
 同じ地区に天然乾燥された木頭杉と別の産地で天然乾燥された杉の家が新築中という場面が少ないだけで、私に杉の産地を見分けられる能力があるわけではありません。

 杉を使った木の家を選ぶ際には杉の色にも注目して欲しいと思います。
 タテヤマ杉、吉野杉、秋田杉、飫肥杉と言った名前で選ぶ方法もあれば、色の違いで選ぶ方法もあります。
 私が選んだ徳島県の木頭杉は赤身が綺麗と言われる特徴をさらに活かす天然乾燥に取組でいる林業家が提供してくれました。
 木頭杉の産地全部が天然乾燥を行っているわけでは無いと思いますが、徳島県の気候を活かした取組だと思います。

 優れた材料と知れば欲しくなります。
 ところが探す段階で大きな壁があります。
 私たちは家を建てる時、ハウスメーカーや工務店、設計事務所に家造りの相談に行きますが、そこで天然乾燥材は手に入らないとか、手に入れようとすると高くつくと言われてしまいます。
 高くつくと言われてしまうとその段階で手を引いてしまうのが現実だと思いますが、探す手間は必要ですが天然乾燥した杉の木は普通のサラリーマンでも手にすることが出来ます。

 一人や二人に手に入らないとか、高くつくと言われただけで天然乾燥をあきらめないでください。
 100年住宅とか長期優良住宅など長く家を使おうと言われていますが、長く住み続けるには家が美しいことはとても重要なことだと思います。

 天然乾燥についてプロに尋ねたアンケートで一位になるのは色艶が良いことだそうです。
 もともと赤身が綺麗な産地でありながらさらにその特徴を活かすために天然乾燥に取り組んでいる林業家の杉は普通のサラリーマンでも手が届きます。

 林業家は材料を提供してくれているし、施主も色艶の美しい杉が欲しいと望んでいても両者を繋いでくれる人がいないとうまくいきません。
 そこを助けてくれる人を見つけるのが一番大変かもしれません。


見える柱

2013.07.22.23:46

 わが家の特徴の一つに柱が見えることがあります。
 真壁仕様だったら柱が見えるのは当たり前ですが、4面とも見える太い柱が2本あります。t_DSC_4224.jpg
 8寸角(約24㎝)の柱は吹き抜けから2階まで伸びている様子を見ることが出来ます。

 また、太い柱には木の根元部分が使われているので、1階に見える部分は赤身でフシの少ない柱です。
 8寸角の柱が赤身と言うことは赤身の部分の直径は34㎝以上ですが、実際にはもっと大きな木が必要になると思います。
 赤身の周囲には白太もあるので元々の木はさらに大きなものになります。

 この柱は材木屋さんで品定めしたものでは無く林業家がわが家のために伐採してくれたものです。
 8寸角で長さが6mの大黒柱を2本欲しいとお願いしたら林業家が根元から真っ直ぐで素直な木を山から6mよりも長く切り出して、製材所で芯が真ん中に来るように製材してくれました。
 乾燥はもちろん天然乾燥です。

 なぜ芯が真ん中にあるのかと言えば根本付近は杢(もく)と言って特徴のある木目が出ます。芯が偏っていると木目も偏ってしまうので綺麗な杢を見せるために芯を真ん中にするそうです。
 真っ直ぐな木と言っても山は傾斜地なので曲がっているのが当たり前ですし、太いと言うことは長い時間が必要です。

 わが家の柱の場合は樹齢100年と言いますから傾斜地で100年間真っ直ぐに育ったと言うことになります。
 まわりの木からも大きな影響を受けるので1本の木が100年間真っ直ぐに育つには周囲の環境にも恵まれないといけません。
 6m全部赤身では無くて2階部分の角には白太部分も見えますが、赤身の杢が美しい柱です。
 私は最初からこうしたことを知っていたわけでは無く住み始めて時間が経ってから知りました。

 当初は太い柱だけで喜んでいましたが、今は柱の物語も含めて私のお気に入りです。
 建築士が考えてくれた4面とも見える大黒柱には見える柱として十分な魅力があります。見た目だけじゃ無く山から探してくれた林業家や見栄えのする向きを決めてくれた大工さんの思いもわが家の柱には映っているように思います。


フシとストッキング

2013.06.23.02:22

 わが家は杉の床板です。
 フシもたくさんありますが年中裸足が気持ちよい床です。フシの溝1
 真冬も含めて家族は裸足の生活ですが、以前にストッキング履いてフシのある床を歩くとストッキングがデンセンすることがあると聞いたことがあります。

 一枚目の写真にはフシに溝が出来ています。
 この溝の角にストッキングが引っかかってデンセンみたいなのですが7年生活していてわが家では一度も問題になったことはありません。
 写真のようにフシに溝が出来ているところは目をこらして探さないと見つからないほど少ないし、見つかってもそこが普段行き来する場所とは限りません。

 また、もっと大きくフシが痛んでいる場所は二枚目の写真のように林業家があらかじめ修復してくれているので普段の生活ではフシがある床をストッキングを履いて歩くとデンセンするなどと気にかける必要はなさそうです。
 例え普段行き来する場所にストッキングが引っかかりそうなフシがあったとしてもそこだけ気をつければいいと思っていましたが、わが家はそれで良くても床材を提供する林業家としては対策が必要になるそうです。
フシの溝2
 無垢の床板は丸太を板に製材してあるだけかと思っていましたが、熱圧加工したりフシの傷んだところを修復したり、ストッキングが引っかかりにくくするなど様々な工夫が積み重なっていることがだんだん分かってきました。

 家造りにおいて材料の供給という最も川上の林業家が川下の住まい手の話を積極的に聞いてストッキングのデンセンまで配慮しているのはすごいことだと思います。
 無垢の床板は高価、スギの床は汚れや傷がつきやすいなどと言われますが、無節でなければ普通の合板フローリングと値段の差はほとんど無いし、傷や汚れが心配だと言われますが気になる凹みなどは水とタオルとアイロンがあれば目立たないように出来ます。

 熱圧加工している杉の床板を使っているわが家では7年経っても目立った汚れはありません。
 床は必ず触れるところなので触り心地は重要だと思います。裸足の生活であれば繊細な足裏センサーがサラサラの心地よさを直接伝えてくれるので気持ちよく生活することが出来ます。

 私は最初からこうしたことを知っていたわけでは無いし、家が建ってずっと後から知ったことも多くあります。
 建築士が林業家と私たち家族を繋いでくれなかったら私も無垢の床板は高いし、杉の床板は汚れやすいし傷もつきやすいと未だに思っていたかもしれません。

 家を建てようと思い立った頃は床板は合板か無垢ぐらいでしか分けることが出来ませんでしたが、無垢の床板であってもフシの有る無し、フシの大きさの違いによっても等級があって値段は様々ですし、天然乾燥か人工乾燥など乾燥方法によっても色艶は全く違います。

 材料を提供してくれるのは林業家ですが、それを何も知らない私たちに教えてくれるのは建築士です。
 建築士の話しに興味を持って林業家の元に出向いたらさらにおもしろい話しがたくさん聞けます。
 先ほどのストッキングがデンセンしにくい工夫は林業家ところで見ることが出来ますが実際見るとこんなことまでやっているのかと感心します。

 手っ取り早く樹脂で表面をコーティングなんてことを考えてしまいますが、それではサラサラの裸足の心地よさが失われてしまいます。
 大切な物を失わずに不都合に対応するのはなかなか大変で、床板一枚ずつフシを見ながらの作業でした。

逆さ柱

2013.05.03.22:52

 木が柱になってしまうとどっちが根元か分かりにくくなってしまいますが、根元を上に向けて使うのは逆さ柱と言うそうです。
 大壁仕様だったら柱は見えないのでどっちでも問題ないというし、もともと山に生えていた時と逆に使うのは良くないと言うだけじゃ説得力に欠けるし、どうしてかなと思っていました。

 柱には上からの力を下に伝える役割がありますが、木を調べてみると根元を下に使った方がより大きな力を支えられる構造をしているそうです。
 しかし、普通の家の柱一本が負担する力よりも一本の柱が耐えられる強度がずっと大きいので強度だけで言えば逆さ柱でも問題ないと言うことになっているようです。

 また、芯持ち材は強いとよく聞きます。柱に芯がある芯持ち材は芯去り材よりも強度があると言うことですが、これも調べてみると必ずそうなるわけでは無いそうです。
 四寸角の柱は一片が12㎝ぐらいですが、垂木はもう少し小さくなります。

 細く若い杉の木は風で折れないようにしなやかな構造になっていますが、ある程度の大きさになると自らをしっかり支えるような丈夫な構造へと変化して行きます。
 芯持ち材は強いからサイズが小さくても大丈夫と言うわけじゃなさそうです。

 こうした木の特徴を知っていると便利なことがあります。
 薪割り時に木の根元側から斧を入れると気持ちよく割れてくれます。

 知人宅で薪割りを体験したとき私が上手に薪を割るのを見て、どうやったらそんなうまく割れるのか尋ねられたことがありました。
 本格的に薪を割るのは初めてだと言うと絶対おかしいとなかなか信じてもらえませんでしたが、気持ちよく割れるのでお勧めです。

 山から切り出された一本の杉の木からは複数の柱が取れますが、根元から順番に一階、二階、束など下から順番に使い分けられています。
 強度には問題は無くてもそういう使い方をするものなんだそうです。

 何も知らなかった私ですが林業家が企画してくれる伐採ツアーに参加したり、大工さんの話を聞くうちにだんだん木の見方が変わってきます。
 最初は立方体にしか見えなかった柱ですが、少しだけ根元付近なのか先っぽの方なのかが分かるようになってきました。

 そんな目でわが家を見ると山に生えていたように下から順番に木が柱として使われています。
 もうすぐ住み始めて8年になろうとしていますが、日常生活の中で職人さんの仕事に気がついた時はとても心が豊かになります。

 木が見える木の家は林業家や職人さんの仕事が見えるところも大きな特徴だと思います。


板張りの外壁

2013.03.19.01:25

 わが家の外壁は板を縦に張っています。
 張っているのは赤身だけの杉板です。朝日を受ける東側外壁

 外壁は南側が最も変化が大きく、次いで西側、東側、北側に至ってはほとんど変化していないように見えます。
 塗料が剥がれ落ちたり外壁表面の変化は日射による影響が大きいと思います。

 最初に塗ったのはリボスの塗料ですが、今のところ塗り替えは考えていません。
 板を外壁の全面に張ると同じ南側でも日差しや雨に当たる部分とひさしなどで影になる部分の間で表情に変化が見られますが、わが家の外壁は上下で板と塗り壁に別れているので板の表情は一様に変化してくれます。
西側外壁
 外壁は風雨や日射、冬と夏の温度差(60℃以上)など激しい環境変化に対応しなくてはいけませんが、こうした厳しい環境には赤身材は適材です。
 優れた耐久力を持つ赤身材を外壁に使うことは昔から行われていたそうですが、適材適所の知識や経験が不足していたりすると”塗装で処理”という話になってしまいます。

 外壁に赤身材を使った場合は無塗装でも50年以上の耐久力があるそうです。
 また、途中で物が当たったり傷んだ場合でも木の板はロングセラーなのでいつでも修理交換が出来ます。
 わが家は最初に塗装しましたが、塗装が剥げ落ちても全く問題ありません。

 今が一番汚く見える時期かもしれませんが、もう少し経って最も変化が激しい南側の塗装が剥がれてしまえばシルバーグレイ色になった赤身の板を見ることが出来ます。
 塗装が剥げ落ちた様子を楽しむとは無理があるように捉えられるかもしれません。

 しかし、もともと赤身材は無塗装でも外壁として十分機能するので塗装が剥げても機能的には全く問題なく、しかも各面の変化が一様なので嫌みがありません。

 最初の写真では朝日を受けている東側と南側の外壁の違いを見ていただけると思いますし、2枚目は西側を撮っています。
 最初は同じだった各面が別々の表情に変化する様子は意図的に作り出した物ではありませんが結構気に入っています。


湿度変化

2013.03.07.23:25

 冬は乾燥すると言われますが、富山では終日90%を超える湿度になることがよくあります。
 屋外の湿度は一日の中で大きく変化しますが、木の家の中の湿度計はほとんど変化が無く壊れているのかと心配になるくらいです。
生活行動と湿度変化
 しかし、日常生活では食事や洗濯物、風呂など様々なところから水蒸気を発しているはずなのにおかしいと思って湿度計の測定間隔を1分毎にして調べてみました。
 すると生活に連動して湿度が変化する様子を捉えることが出来ました。

 最初のグラフでは数人の知人がやってきてお茶を楽しんだ午前10時頃や昼食の準備中などに湿度が上がっています。
 また、夕食の準備中も湿度が上がっているのが分かります。

 2枚目のグラフでは家族が風呂に入っていた午後10時頃まで湿度が上昇していますがその後は少しずつ下がっていく様子を捉えています。
風呂上がりの湿度変化
 一日の流れを追うと水蒸気放出がおさまった直後から湿度が下がり始め、ある程度下がったところでまた次の生活行動によって湿度が上昇するといったことを繰り返していました。

 グラフで見ると大きく変動しているように見えますが、変化しているのはわずかなので湿度計をチラッと見るだけでは湿度変化に気がつかなかったみたいです。

 わが家は天然乾燥した杉の梁や柱、野地板や床板が表しになっているのでたくさんの水蒸気を調節することが出来ます。
 以前に調べた結果ではわが家の柱には1本当たり900グラム以上の水蒸気を吸い込む能力があるが、実際には1年を通じて300グラム程度しか変化しないので家全体の調湿能力には十分な余裕があることが分かっています。

 調湿能力には部材の厚みも関係しているそうです。
 下塗り、中塗りした厚みのある漆喰や珪藻土とプラスターボードに1,2㎜程度塗った壁では調湿できる能力に差があります。

 短い時間だけ捉えて調湿能力を比較するよりも年間を通じて湿度変化に対応できる調湿能力を比較した方が良さそうに思います。
 わが家の壁はプラスターボードに塗装しただけのほとんど調湿を期待できない壁ですが梁や柱、床や天井を表しにして使っているので十分な調湿能力があります。

 木は冬の乾燥時には水蒸気を放出し、蒸し暑い夏には水蒸気を吸い込んでくれると言いますが、今回調べてみて木の家には生活行動に合わせて室内をこまめに調湿し湿度を安定させる能力があることが分かりました。


答え合わせ

2013.01.15.01:10

 7年前、大工さんが二人で一本の木を見ながら相談しています。
 木の背側がどっちかわかりにくい木だったので二人で相談していたそうです。反った木
 なぜ反り返る側が問題になるかと言えば、すぐ横に大きな引き戸が入ります。
 引き戸側に反ると干渉することがあるし、手直しも面倒になるので反り返るのが分かっているわけですから引き戸の反対側で反ってもらおうと言うことらしいです。
 あのシーンから7年後、どっちに反っているのか確かめてみました。

 上と下に糸を張って見ると真ん中に隙間が空いていることから、大工さんの見極め通り引き戸と反対側に反っていることが分かりました。

 (写真中の矢印の先にたこ糸を吊してあります。左側の写真は矢印の部分を拡大してあります。)たこ糸
 反っていますがそれが何かの悪さをしているわけでは無いし、普段の生活では反っていることさえ分かりません。
 大工さんは使われる場所に応じた木を選びながら番付していることは聞いていましたがそれ以外の細かいところ、例えば敷居と鴨居は木裏と木表の使い方が違うと言いますし、今回紹介したところにも大工さんの見極めが活きています。

 大工さんは納まりにこだわると聞きますが、実際に家の中で大工さんの細かい仕事を見つけると改めてすごいなと感心します。
 木は自然素材なので反ったり割れたりします、しかしそれを補う知恵と工夫もたくさんあるのですが、いつの間にか反ったり割れたりしない物に置き換わっているように思います。

 わが家に遊びに来た人が木が割れている部分を見つけることがあります。
 そのときに大工さんが木が割れてない時からたぶんこっちが割れるという見極めで建ててくれたことや、もし反対側だったらこうなると話してあげると口を揃えて大工さんの仕事はすごいと言います。

 私は反るとか割れることよりも、反ったり割れたりするからこうするという工夫と知恵の方に魅力を感じますし、大工さんは工夫や知恵を活かしながら家を建てていることがだんだん分かってきました。
 林業家や大工さんの仕事が見える木の家は住み始めて年月が経つほどその価値が分かってきます。

 これから木の家を建てる方は何度も現場に足を運んで大工さんの仕事を見て欲しいと思います。
 木の家自体の色艶は変化して行きますが、大工さんや職人さんと話した場面は私の中に色褪せずに残っています。

肘木

2013.01.05.12:29

 肘木は母屋などを下から支える役目をしています。
 肘木があると柱が直接当たるよりも支える面積が広くなるので継ぎ手がある場所などにも使われるし、外から肘木を見ると力強く見えます。肘木

 先日大工さんがメンテナンスに来てくれたときの話です。
 傾斜地で育った木には山側を腹、谷側を背と言ってそれぞれ使い分ける話は前にも書きました。
 梁は背が上を向くように使うことが大切だと教えてもらいましたが、肘木は腹を上に向けて使うそうです。

 理由は背が上を向いていると木が反ったときにお椀をひっくり返したようになり肘木の両端に隙間が空いてしまいます。
 腹を上にすることで反ったときでも肘木の両端で横架材を支えることが出来ます。

 さらに、肘木は家の中に使う場合と外に使う場合でも使い分けられていて、肘木を一本ずつ見て屋外用と室内用に振り分けることまでやっているそうです。
 話を聞いて早速ブログに書くと言ったら大工さんは当たり前のことなので・・・と言葉少なげでした。
 この話をきっかけに木の背と腹の使い分けについて調べ見ると、床下の大引の使い分けなど様々なところに理屈にかなった使い分けがなされていることを知ることが出来ました。

 大工さんはそんなことは当たり前というし、建築士もそんなことまで言わないし、林業家も私から切り出さなければ木の背と腹の使い分けについての話はしてくれないと思います。
 ところが家に使われている肘木は理屈通りに使われているので林業家も建築士も大工さんもみんな背と腹の使い分けを知っているけど、当たり前のことだからそこまで言わないということなのかもしれませんが、私には見逃したくない部分です。

 床下に入って腹が上を向いた大引を見て喜んでる姿は異様ですが、誰に遠慮することも無く床下を観察できるのはわが家ならではのことです。
 木の家と言っても様々ですが林業家や大工さんの仕事が見える木の使い方をすることは木の家の魅力を大きくしてくれると思います。
 大工さんが番付をしてくれる手刻みの魅力に気がつくのは時間がかかりますが、木が見える家で生活していれば少しずつ分かってきます。

 メンテナンスが終わって一服しながら家を見渡している大工さんにどこを見てるのか尋ねたら「建てていたときのことを・・・」と一言。
 大工さんは家を見てわが家を建てるまでを思い出していたのかもしれません。
 そのときの大工さんの明るく満足そうな顔を見てとてもうれしく思いました。

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