ヒステリシス

2014.02.17.08:48

 杉床はサラサラして裸足の生活が気持ちがよいと何度も書いていますが、杉床は隙間が空きます。
 木は放湿すると縮み、吸湿すると膨れる性質があるので乾燥する冬は隙間が空きやすくなります。床の隙間(2月)

 入居時には隙間がなかったので乾燥時期を過ぎればまた隙間が閉じてくれると思っていました。
 ところが実際には梅雨の真っ最中でも一度開いた隙間が綺麗に閉じるわけではなくわずかに隙間が空いています。
 乾燥時期よりも隙間は小さいのですが、入居時のようにピタッとくっついているわけではありません。

 わが家だけではなく別の杉床の家でも同じように梅雨でもわずかに隙間が空いているし、ずっと不思議に思っていました。
 原因はヒステリシスのようです。
 ヒステリシスとは、ある状態が現在加えられている力だけでなく、過去に加わった力に依存して変化することと説明され、履歴現象と言われることもあります。

 天然乾燥材は入居後も乾燥して水分が抜けていきます。冬など乾燥する時期に縮んだ床板は湿度が戻っても同じ寸法にはならないそうです。
 毎年伸びたり縮んだりするうちに伸び縮みする量が減ってきてやがて落ち着いた寸法の範囲内で伸び縮みするようになるので、だんだん隙間が広がって下地材が見えるくらい広がってしまうわけではないようです。

 木は平衡含水率になろうとして調湿していると言いますが、乾燥過程と吸湿過程では同じ湿度でも含水率に違いがあることで梅雨の時期でも隙間がピタッと閉じないと言うわけです。
 木にはこうした特徴があるから床材は人工乾燥してしっかり乾かしておきましょうという方もいらっしゃいます。

 一見無垢の床板の欠点のように見えますが、こうした特徴は高い調湿性という長所の裏返しでもあります。
 隙間だけの側面から見れば欠点ですが、隙間が空かないということは調湿性も小さいと言うことになります。
 杉床のサラサラした肌触りは高い調湿性が支えているのに隙間が空くからイヤだというのは両立しにくいことのように思います。

 床の隙間にゴミが入るとか掃除しにくいと言う人もいますし、隙間があると凸凹するんじゃないかなどいろいろ聞きます。
 木の話に限らず見方によって欠点は長所であることはいろいろあります。

 梅雨になっても隙間がピタッと閉じない杉床ですが、掃除機をほとんど使わずクイックルワイパーとホウキの掃除でも十分綺麗になりますし、真冬でも帰宅して最初に靴下を脱ぐ様子から家族もサラサラの肌触りが気に入っているようです。
 写真は住み始めて7年経った熱圧加工してある源平の杉床です。

測る価値

2014.02.13.16:06

 屋外と室内の温度測定から始まり、1階と2階の温度差などだんだん測るところが増えて気がつけば屋外には気象計、室内のあちらこちらに温湿度計をちりばめ、電気料金までリアルタイムに記録するようになってしまいました。
 最近は測ることが楽しく思えることもあって、マニアの領域に踏み込みつつ有るのでは無いかと心配です。

 最初は自宅内外の温度が知りたかっただけなのですが、いろいろ測ってみると天気が変わる前には気圧や露点温度が変化するとか、室内でも高さによって温度が違うこと、床下の温度測定から床下通風の様子が分かるなど測ることで見えなかったものが見えるようになり、それが楽しくなってまた測り出すという経過を辿っているように思います。

 継続して測ってみてどこを何で測ったらいいのか少しずつ見えてきたように思います。
 測るのは3カ所、屋外、室内、床上5㎝の温度と出来れば湿度も分かればおおよそ家の温熱環境はつかめそうです。
 屋外の温度を測るには無線を利用した機器が便利ですし、床上5㎝と室温の温度差が測れる機器も2,000円程度で手に入ります。

 屋外の温度が分かると着衣の調節など日常生活に便利ですが、床上5㎝や湿度が分かってもそれが何に役立つのかわかりにくい部分です。
 室温と床上5㎝の温度差が小さくなれば暖房費が安くなりますし、湿度が分かればインフルエンザの予防や風通しの大切さも分かってきます。

 自宅の温熱環境を知ることで快適性が向上することは確かなように感じています。
 設備機器に頼ることは悪いことではありませんが、自宅の環境を掴んだ上で設備機器を使うと費用が落ちていきます。
 また、最近は機能性下着など着衣で体感温度をコントロールすることも出来るようになってきました。

 家の中を測ることで住まい手の行動が変わりその結果として快適性を損なわず費用が安くなるのであれば測ることは一部のマニアだけでなく多くの方に価値があることだと思います。

 さらに、自宅の環境が分かると他と比べることも出来ます。
 先日建築士が別の住まい手の家に連れて行ってくれました。年間灯油使用量が1,000リットルとわが家の半分以下だったり、工夫や使い方の違いなど住まい手によって様々だと感じました。生活が様々なのは当たり前ですがわが家の環境を掴んだ上で他の住まい手の話を聞くと「それでも大丈夫なんだ!」と関連づけて捉えることが出来るようになります。

 奥さんが寒いと言っていた知人は床上5㎝の温度を知って翌日にコールドドラフト対策を取り入れたそうです。赤ちゃんが生まれる直前だったので寒い高さでオムツ替えをしなくて済みそうです。

 建築士はわが家の温熱環境を考えて設計してくれました。私はそれを継続して測って建築士にデータを返します。
 技術を持った建築士にデータを見てもらえるだけでも励みになりますが、データが次のお施主さんの家に役立つとすればうれしいことです。

乾燥割れ

2014.02.10.13:53

 木の家に住み始めると柱や梁が割れるバシッ!という音がします。
 杉など針葉樹の割れる音はおとなしいと言われますが、近くにいると突然バシッ!と大きな音がするので驚きます。
 木が乾燥していく過程で起きることですがすこし時間をかけて観察してみました。天然乾燥材の乾燥推移グラフ

 昨年の夏、大工さんに天然乾燥した柱の余り材を3等分に切ってもらいました。
 3つの試験体を屋外、1階リビング、2階書斎に置いて重さの変化を観察しました。
 グラフから最初の一月は3つの試験体とも同じ勢いで乾いていく様子が見られます。

 ところが2ヶ月経つと屋外以外の試験体は相変わらず乾いて軽くなっていくのに屋外の試験体はほとんど変化しなくなってしまいました。
 試験体は元は同じ柱材ですし長さも12㎝に揃えてあります。3つ重ねてある一番上が屋外に置いていた試験体です。
乾燥割れの違い
 よく見ると室内に置いていたものと屋外に置いていた試験体には乾燥割れの大きさに違いが見られます。
 天然乾燥した柱はある程度乾燥するとまず割れが入ります。その後乾燥が進むとさらに割れ目が広がっていくことが分かりました。
 建築士や林業家から「だから最初からそう言っていたでしょ」と言われそうですが・・・

 さて、ただでさえ柱や梁の割れ目は嫌われるのにわざわざ割れ目を観察するなんておかしいと捉えられるかもしれません。

 私たち家族は建築士や林業家が話してくれた木が割れる理屈と割れない木が失っているものの両方を天秤にかけて背割りもしない割れる柱や梁を選びました。
 住み始めて7年経って家中の柱や梁に乾燥割れが見られますが、割れる柱や梁を選んだことに後悔はありません。むしろ割れない柱を選ばないで良かったとさえ思います。

 割れるとか割れないと言う話には芯持ち材や芯去り材とか背割りの有る無し、天然乾燥と人工乾燥などいろいろあるのですが、天然乾燥した芯持ち材に背割りをしない柱・梁という最も乾燥割れが目立つ材料を選んで後悔していないと言うことです。

 建築士は家造りの相談にやってきた最初のお客さんに木の話をしてくれます。建築士の”第1時間目の授業”と私が勝手に名前をつけていますがとても大切な話しです。
 また、林業家が企画するツアーでは木が割れる理屈と割れない木が失っている物の話が聞けます。

 住まい手が健康で美しい家を手にするためにも両者の話は聞き逃したくない内容です。
 割れ目の観察をしながら8年ほど前に聞いた木の話を懐かしく思い出しました。

コールドドラフトの影響

2014.02.06.02:22

 コールドドラフトは室内外の温度差があるほど大きくなります。
 今日は寒かったのでどのくらい影響を受けているのか調べてみました。内外温度計

 測った場所は階段下の床上5㎝とリビングの室温です。
 わが家はリビングに階段があるのでコールドドラフトの影響を受けやすい場所です。
 階段窓は複層ガラスでカーテンがなく高さ30㎝の衝立を置いているだけです。

 手前の温度計と奥の温度計には0.2度の測定差があります。
 手前に写っている温度計も同時に2カ所の温度を測って表示することが出来るので室温と床上5㎝の温度差を調べるには便利です。奥の温度計は無線を使うので7,000円ぐらいしますが、手前の温度計は2カ所同時に調べられて2,000円程度です。

 結果はコールドドラフトの影響を受けやすい場所の床上5㎝と室温の温度差が0.5度以下でした。
 階段から冷気が降りてくるという話しを時々耳にしますが、全室連続暖房していることや窓に衝立を置くことでわが家ではコールドドラフトの影響は小さいことが分かりました。

 階段途中にある窓は外の様子を見る大事な役目があるのでカーテンやブラインドは設置したくありませんでしたし、衝立を置くだけでは不十分かもしれないと思っていましたがどうやら大丈夫そうです。階段窓衝立

 測定地:富山県富山市(標高55m)
 測定日時:2014年2月6日午前0時37分
 暖房:温水式床暖房(補助暖房なし)
 外気温:-3.1度
 室温:19.5~19.7度
 床上5㎝:19.2度
 床面:23.1度
 壁:19.9度(外壁に面していない)
 壁:18.7度(外壁に面している)

床上5㎝の温度2

2014.02.02.15:57

 2年前に新築した知人がリビングを床暖房にしたんだけど奥さんが寒いと言っているという話を聞きました。
 床暖房は比較的低い温度でも暖かいとか室内に温度差や結露が出来にくいし、室内の空気も汚れにくいと言われています。
 ところが床暖房だけでは寒く感じるので石油ファンヒーターを補助暖房として使っている方は意外に多いように感じています。窓の温度分布
 今回知人にお願いして室内を測らせていただきました。
 外気温 5.4度
 室温 20.3度
 床面 22.5度
 壁  19.9度

 これだけ見るとそんな寒いとは思えません。
 最初の画像はリビング窓の熱画像です。窓の下に行くほど温度が下がっていく様子が見えます。

 2枚目の画像はカーテンの隙間から流れてくるコールドドラフトによって冷やされた窓下の壁を撮っています。
 調べてみるとカーテンの隙間から室温よりも4~5度程度冷えた空気が流れ込んでいました。
 先ほど室温を測ったときは床から70㎝の高さで測りましたが、今度は床上5㎝で温度を測ってみると16.7度しかありません。コールドドラフト

 室温と床面や壁だけを測るだけでは分かりませんでしたが、足首の辺りは16.7度ですからそりゃ寒く感じるわけです。

 暖房の設定温度を上げれば室温は上がります。しかし、コールドドラフトは内外の温度差があるほど強くなるので足首辺りと室温との温度差が大きくなるし、暖房費も膨らんでしまいます。
 複層ガラス窓では最初の画像に見られるように一様に温度が低いわけではなく上の方は室温とあまり変わりません。

 そこで窓の下に高さ30㎝程度の衝立を置いてコールドドラフトを抑えることで、床上5㎝と室温の温度差を小さく出来るように思います。
 衝立を置くだけでは不十分なように見えますが、コールドドラフトは温度差が大きいほど増大するので窓の下の冷えた空気の流れを止めてしまえば、中ほどのちょっと冷えた空気が室内に流れ込んできても影響は小さいように感じています。

 床暖房していても寒いと感じている方は一度床上5㎝の温度も測ってみてください。
 室温とに温度差があれば窓にコールドドラフト対策を施すことで温度差が小さくなるかもしれません。
 最近はプラスチックで出来た段ボール(プラダン)などがホームセンターで簡単に手に入ります。
 ちょっとした工夫で快適性が向上すればうれしいことです。

ブログ内検索
最新記事
カテゴリ
リンク
タイトル一覧

全記事タイトルの一覧

月別アーカイブ
2010.12~
メール送信

名前:
メールアドレス:
件名:
本文: