すべる床

2015.12.22.12:06

 わが家は肌触りがよく、裸足が気持ちいい杉床です。
 無垢の床は汚れが付きやすいと言われますが、熱圧加工板(商品名:こもれび)は10年使っていても汚れが目立つことも無く、傷についても小さな子どもがおもちゃを床に繰り返し叩きつけるようなことをしなければそれほど気にすることは無いと思います。

 また、無垢の杉床をアルカリ成分を含んだ洗剤などで拭き掃除すると杉の成分と反応して濃い紫色になることがあります。
 こちらも慌てずに洗剤などアルカリ成分を拭き取ってほっとけば一月ぐらいで色は消えてしまいます。
 お酢でアルカリを中和する方法もありますが、お酢の匂いは結構強くしばらく匂いが残るので自宅であれば余計なことをしないで様子を見るのが良いと思います。

 さて、最近急にわが家の床が滑るようになりました。
 家内や子供たちが何か床に塗ったわけでは無いのに、急に裸足でも滑るし、靴下を履けば危ないほど滑ります。

 原因は母親が足がかさつくと言うことでハンドクリームを塗ってから靴下を履いて生活しだしたことにありました。
 足がかさつくからクリームでメンテナンスすること自体はごく普通のことですが、そのまま歩き回ると靴下でクリームを床にコーティングしているような物ですからそりゃすべるわけです。

 幸い固く絞ったふきんで二度拭きしたら戻りましたが、木の家で10年生活していても初めての体験はあるものです。
 試しに家にある床のサンプルにハンドクリームを薄く塗ってみたところおもしろいほどすべるようになりました。
 何ヶ月も放置していなければ固く絞ったふきんで拭けばクリームは取れますが、長時間放置していると取るのに苦労するかもしれません。

 熱圧加工板は見た目はすべりそうなのですが、裸足にグリップしてすべりにくく、汚れも付きにくい優れた床材です。
 今回のことで滑る床は危ないし、気持ちよくないし、思い通りに前に進まないいらだちを経験しました。そういったことが無いわが家の杉床を再認識する良い機会になりました。

熱損失量

2015.12.18.19:17

 富山の冬は晴れる日が少なく日中晴れている地域がうらやましく思います。日射時間比較
 住宅の自然温度差というと暖房していない室温と屋外気温の差を言いますが、自然温度差は設備機器やキッチンなどから発生する生活熱と日射取得熱が熱源になっています。
 自然温度差が大きいほど暖房に要するエネルギーが少なくなります。

 室温 = 暖房 + 自然温度差 + 外気温

 外気温が8度で自然温度差が6度の場合、20度の室温を得るためには6度暖めれば良いことになりますし、室温を保つには屋外に逃げた熱を補う必要があります。

 室温 = 暖房 + 自然温度差 + 外気温 - 逃げる温度

 自然温度差(度) = 生活熱(W) + 日射取得熱(W) ÷ 総熱損失量(W)

 生活熱が900W、総熱損失量が300Wのわが家では、自然温度差は3度になります。
 計算には日射取得熱も入れるのですが富山の冬は晴れる日が少なく日射に期待できないので日射取得熱を省いた値を使っています。

 夏は何度も屋根や外壁の温度を測りましたが、寒い冬はどうなのか測ってみました。
 曇った日は外気温と屋根の温度に差はほとんどありませんが、晴れた日に測ってみると気温が8度でも日射が当たっている屋根は35度ぐらいありました。冬の日射と熱損失量

 今まで室温20度の室内から外気温8度の屋外に熱は逃げていくと考えていましたが、日射が当たっている面は室温よりも暖かいので様子がちょっと違うように思います。
 晴れていれば窓から日射が入ることで室内が暖められる効果に加えて、屋外に逃げる熱量も少なくなっていることが考えられます。

 以前太平洋側にお住まいの方から灯油の使用量について話しを聞いた時に思ったよりも消費量が少ないことや、わが家の温度データを見直してみると外気温が同じでも晴れた日は障子を閉めていても室温が高くなっていました。

 日射が当たっている面の温度が高くなることで屋外に逃げる熱が減ることで室温も下がりにくくなっているように思います。
 明日が晴れると分かれば暖房設定温度を下げられそうです。

 わが家の暖房はヒートポンプが熱源なので電気を使います。今年から午前10時から17時までの電気料金単価が高い時間帯の設定温度を2度程度下げて運転していますが、これに加えて晴れる日にはさらに設定温度を下げることができそうです。
 一手間かかりますが、暖房は消費電力が大きいので住まい手のちょっとした工夫で快適性を犠牲にすること無く費用削減ができます。

 我慢したり節約しているわけでは無く温度や日射という環境を観察することでそれに対応すれば結構大きな費用の削減ができますし、それがだいたいいくらになるのか分かるところが大切なところです。
 自宅の熱損失量を知ることは生活費の削減に大きく貢献します。新築の際には使い方も含めて是非知りたい値です。

TS伐採ツアー2015

2015.12.11.09:12

 伐採ツアーに行ってきました。
 何回か参加している伐採ツアーですが行くたびに新しい発見や気づきがあります。
 TS伐採ツアーは伐採現場の見学の他に林業家、建築士、大工さん、住まい手や建築の道に進もうとしている学生が懇談できる場でもあります。建築士と木
 それぞれ地域や環境、立場が違う方々が集まって交流ができる貴重な場です。

 私は富山の話しをすることが多いのですが、沖縄の台風とか太平洋側の冬の乾燥、冬でも日射に期待できる環境など富山では経験できない気候風土を日々の生活体験を通じて聞くことができます。
 富山では土壁の家はほとんど見られなくなりましたが、今でも当たり前に土壁の家が建てられている地域もあるし、土壁の家は寒いとか雨漏りの心配など私が勝手に思い込んでいたことも思い過ごしだと気がついたこともありました。

 土壁に対する勝手な思い込みによる偏った見方が無くなることで土壁への理解は深まりますが、それが富山の気候風土でどうなのかはまた別の話です。
 今はやろうと思えば北海道で生まれ育った方が北海道の普通の家を沖縄で建てることも可能だと思います。
 しかし、沖縄には沖縄の気候風土があって建てる場所にあった家の方が快適だろうと想像できます。
 他の地域を知ることで自分が気がついていない富山の気候風土を発見できるので楽しみにしています。

 さて、TSウッドハウスでは伐採した後、枝をつけたまま葉枯らし乾燥するのですが今回は伐採直後に枝払いして長さを決めて丸太を切り出すところまで見せてもらいました。
 高さ30メートルぐらいある杉のてっぺんはどうなっているのか以前から興味があったので近づいて見てみました。
 枝払いをして幹だけになった杉は名前の由来通り真っ直ぐな木です。
真っ直ぐな杉
 ところが林業家は見た目は真っ直ぐに見えるけど地面に転がしてみないと分からないと話してくれました。
 わが家には8寸角の太い柱が2本あります。今まで真っ直ぐなのは杉だから当たり前だと思っていましたが、2本ほしいから2本分伐採すればいいわけでは無いし、7メートルや8メートルの長さの丸太を自分たちが歩いてきた林道を運ぶだけでも大変です。
 あの急なカーブをどうやって長い木を乗せて曲がるのだろうといままで考えもしなかったことに気がつきます。

 伐採の場面では木が倒れていくときに音がします。音は耳で聞く物ですが現場では木が倒れていくときのバキバキという振動が音と共に体に伝わってきます。
 これまでも何度か伐採シーンを写真に撮ってきましたが、写真を見るたびに現場で体験した体全体で感じた場面を思い出します。

 また、伐採では作業中何度か倒す方向を確認する場面があります。
 下から見ているとよく分かりませんが伐採した木を上から見ると切り株や岩に当たらないように狙った場所に正確に倒していることも分かります。
 あと30㎝横にずれていたら切り株に当たってせっかく育てた木が途中で折れてしまうかもしれません。

 さらに、これまで葉枯らし乾燥すると色が綺麗になると聞いていましたが、葉枯らし乾燥していない木を見せてもらいました。
 徳島県の木は赤身が綺麗でピンク色しているのが産地の特徴なのかと思っていましたが葉枯らし乾燥していない木はどこか渋みがあるというかちょっと色が違います。
 どっちも天然乾燥材なので木の揮発成分は残っているのですが、どっちか選べと言われると葉枯らし材を選ぶと思います。

 今回は富山から建築士、大工さん、今年の夏から木の家に住み始めた住まい手も参加しました。
 わが家を造ってくれたみなさんが集う前で「私は木の家で生活して10年になりますが、木の家にして良かった。」とお礼を言うことができました。
 懇談の席でどんなところが良かったのか尋ねられました。
 「木の家は人と相性が良いので季節の変化に家の方が人に合わせてくれるから住まい手がちょっと工夫するだけで暑い夏などは勝手に過ぎていく。」と話しました。

 なんだか分かりにくい話ですが、相性の良い人と付き合っていると気持ちの負担は少ないと思います。
 優れた木を使うとか大工さんの腕が良いとかよく考えられた設計などどれも大切なことですが重要なのは大切なことがバランスよくかみ合うことだと思います。

 住み心地よい家はバランスが良いなどといきなり言っても何のことか分かりません。
 木の家で生活しながら伐採ツアーに参加したり建築士や大工さんから家の使い方を教えてもらう中で少しずつ学んできました。
 家は情熱が冷める頃に価値が見えてくると言いますが、10年経って木の家にして良かったと思えるようになったことがうれしいです。

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