厚み

2017.07.15.00:32

 木の家では梅雨の時期でもジメジメせず布団やタオルもサラサラしています。
 木と調湿についてはこれまでも繰り返し何度も書いてきましたが、調湿って木の表面からどのくらいの深さまで影響しているのか興味がありました。

 試料の種類や厚みを変えて実験したレポートなど調べてみると結構たくさん調べられていて木材の場合、おおむね厚みが5ミリを超えると調湿性能に変化が小さくなるようです。
 調湿に役立っているのが表面から5ミリだとすると5ミリよりも厚い板は無駄なのでしょうか。
 大きな力を受けない化粧板は薄くても良さそうに思います。

 ところが調湿している深さが5ミリぐらいだからといって板の厚みも5ミリにすると別の問題が起きます。
 調湿は木材の含水率と室内の水蒸気のやり取りなので水(水分子)が木材から出たり入ったりしています。
 木は乾いているときには縮んでいますが水分子がくっつくと膨らんでさらに水分子がくっつき、乾くとまた縮むことを繰り返しています。

 板の厚みを薄くして板全体が伸びたり縮んだりを繰り返すとやがて板がボロボロになってきます。
 障子紙が自然に破けたり、ほったらかしになっていた布がボロボロになる様子も伸びたり縮んだりを繰り返すことによって起きるそうです。

 大切な物を木の箱の中に入れて保存するのも木の箱の中は湿度変化が小さく紙や布が伸びたり縮んだりしにくい環境が長期保存に役立つからだと言われてます。
 実験で試料の厚みが5ミリを超えると調湿性に変化が小さくなるからといって薄くすると調湿を繰り返すうちにボロボロになってしまいます。

 薄い板を合わせてある合板フローリングでも時間が経つと表面がめくれたりする物が出てきます。杉床は傷は付きますがある程度の厚みがあれば表面がめくれると言うことはありません。

 もう一つ、外壁に杉の板を使っているわが家では日差しが当たる南側の板がデコボコになってきました。
 紫外線と風雨による劣化です。

 木は紫外線を多く吸収するので目に優しいと説明されることが多いのですが、吸収した紫外線がどうなるのかまでは聞いたことがありませんでした。
 木には親水性と疎水性の両方の性質があって疎水性をもたらしている成分(リグニン)が紫外線を吸収して水に溶けやすい成分に変わっていくそうです。

 溶けやすくなった成分は雨で流れていきますが、板には堅い部分と柔らかい部分で構成する年輪があるし、板の厚み分同じ物で出来ているので痩せると言っても最初だけ早く進みますが5ミリ痩せるのに100年ぐらいかかるそうです。
 板の外壁を見てメンテナンスが大変そうだという人もいますが、実際は板が自ら少しずつ剥がれながら表面を更新しているので住まい手としては何もしておりません。

 杉の外壁は丈夫と表現されることもあります。
 丈夫という表現は劣化しにくいというよりは劣化して剥がれているんだけど板に厚みがあるので機能を維持できるということのようです。

 調湿や外壁としての性能を長期間安定して維持するために厚みは大切なことのように思います。

人との相性

2017.07.04.13:47

 大気圧の中では水は真空管の中でも10メートルぐらいの高さしか上れないのにどうして樹木は10メートルを超える高さにまで成長できるのでしょうか。
 そんなことを調べてみると生き物の巧みな仕組みが見えてきます。

 根から得られる水は葉っぱから蒸散によって発生する吸水力によって10メールトルを超える高さにまで水が運ばれます。
 吸水力と言っても葉っぱに水をくみ上げるポンプのようなものがあるわけでは無く小さな仕組みを積み重ねることによって水を運んでいます。

 仕組みの一つに親水性があります。
 水の通り道である道管の壁には親水性があるので綿のタオルに水が吸い込まれるように水を引き寄せる力が働きます。
 ところが、木に親水性があるということは水に浸ると柔らかくなってしまい自重を支えることができなくなります。

 そこで木は親水性と疎水性両方の組織で出来ています。
 私たちの体でも胃で食べ物を溶かすのに胃袋は溶けない仕組みがあります。
 親水性と疎水性は反対の性質ですがこれを仲介する仕組みを用いることで異なる性質のものを同居させています。
 私はいつも杉床は裸足の生活が気持ちいいと言っていますが裸足が気持ちいいというのはサラサラした感触が気持ちよいと言うことです。

 このサラサラした感触は裸足で杉床に触れると足から出ている水蒸気を杉床が吸ってくれることで得られています。
 吸い込む速度が早いことは分かっていたのですがどうしてそんなに早いのか不思議に思っていました。

 木が生きていくために10メートルを超える高さにまで水を運ぶ仕組みを学ぶ中で素早く水を引きつける力がとても大切だと分かりました。
 この早く水を引きつける能力を私たちは床材として取り入れることでサラサラした気持ちの良い感触を得ていたわけです。

 また、木は疎水性の性質も持ち合わせているので外壁として使うことも出来ます。
 外壁として使うには赤身材を使うなど工夫も必要ですが、風雨にさらされても50年以上使えますし、物が当たって一部が痛んでも生物資源ですからいつでも手に入る優れた外壁材です。

 木材として用いる場合には木は乾燥していないと強度が出ないと言われます。
 木の中に水が多いと細胞間の結合が弱くなるので水は抜いた方が良いと言うことで様々な方法で水を抜こうとするのですが、強引に水を抜こうとすると木が生物として当たり前に持っているシロアリなどの虫や病気、腐りに対抗する成分まで抜けてしまいます。

 さらに無垢材は傷や汚れが付きやすいので床として用いるために表面処理で保護すると言うこともよく見られますが、早く水を引き寄せる本来の能力を活かすことはできなくなります。
 杉床は傷や汚れが付きやすいと言われていますが、杉床で生活している人から悪い話をほとんど聞きません。
 木が本来持っている機能には私たち生き物と相性が良いものが多いように感じています。

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