生活環境材料

2017.08.04.03:37

 木は五感に優しいとよく言われます。
 五感は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚を指し人の感覚として体感を含めることもあります。
 木の家は五感に優しいとよく言われますし、木の家の住まい手としてもその通りだと感じています。

 五感についての話になると視覚や聴覚など五感を構成している要素を一つずつ話すことになるので陥りやすい落とし穴があります。
 私たちは普段の生活で五感をそれぞれ個別ごとに分割して感じているわけでは無くて環境を総合的に捉えています。
 しかし、説明するときはそれぞれの要素に分割して話をするのでどうしても個別要素の性能の話になりやすい傾向があります。

 例えば木には調湿性があるというのはよく知られていることですが、調湿性の話だけを取り上げれば木よりも優れているものはたくさんあります。
 家の住み心地は調湿性だけで決まっているわけでは無いことはみんな分かっているはずなのですが、木よりも高い調湿性があると言われると魅力的に見えてしまいます。

 私は以前、天然乾燥材は人工乾燥材よりも高い調湿性があるのにどうして評価されないのか不思議に思っていた時期がありました。
 人工乾燥材は乾燥の過程で組織の一部が変化するので調湿の性能が少し落ちます。
 だから天然乾燥材の方が優れていると思っていたわけです。
 しかし、確かに性能としては天然乾燥材の方が優れているが実際の居住空間では性能差が出ない。

 つまり、時速140㎞しか出ない車と時速250㎞出る車を比較した場合、国内で使えるのは時速120㎞ぐらいなので移動速度だけ比べれば両者に性能差は無いと言うことになります。
 自動車の性能を移動速度だけで比較するのは乱暴ですが、移動速度という個別要素だけを取り上げるとどっちも同じです。
 天然乾燥材は調湿性に優れてはいるが住宅という居住空間では人工乾燥材との性能差は感じないということのようです。

 天然乾燥材を住宅に用いることは過剰で贅沢だという人もいるのですが、自動車の性能と一緒で天然乾燥材を調湿だけで評価するのは乱暴な話です。

 木は強度や調湿など物理的な面と五感という私たちの感覚に与える影響が総合的に優れている生物資源です。
 前に、杉床は傷や汚れが付きやすいと言われていますが、杉床で生活している人から悪い話をほとんど聞きませんと書きました。
 生活してみると言われているほど杉床は傷や汚れが付きにくい面もあると思いますが、杉床の生活が気持ちよいので傷や汚れはどうでも良く思えるといった総合的な捉え方をする方が多いように思っています。

 生活環境材料として優れている木を説明するために個別要素の話が必要なわけで個別要素を比べるためでは無い視点は大切だと思います。

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