フシはマーク

2018.10.28.10:58

 木の家での生活も12年を超え木の家を通じて学んだことや気づいたこともたくさんあります。
 木の家はぬくもりがあり調湿性もあって五感に優しいと言われていますが、住まい手の視点で木の家は何がどういいのか、木の家で生活すると住まい手がどうなるのかと言ったことも伝えられるようになってきました。

 前回、覚えられないフシについて書きましたが杉床に対しての捉え方に幅が出てくれば誰かが言った傷や汚れがつきやすくて見栄えの悪いフシのある杉床でも何の不自由も不具合もない気持ちのよい生活が出来ます。

 富山には木の家を建ててくれる建築士や大工さんがいるので私たち住まい手は木の家を考えてくれる建築士に相談に行くことで丈夫で長持ちして美しく住み心地のよい木の家を手にすることができます。
 ところが最近自分が落とし穴にはまっていることに気がつきました。
 きっかけはフシです。

 フシは枝の断面ということは誰でも知っていると思っていましたが、30歳の若い社員との何気ない会話で木の板の話になったときフシのことを「板についたマークのことですか?」と聞き返してきたことに驚きました。
 フシのことを板についた意味不明の印と表現したことにハッとしてあのマークは何だろうと尋ねるとそんなこと別にいいじゃないですかと軽く流されて話が終わってしまいました。

 フシをマークと表現したことが気になって職場以外でも何人かの若い男女にフシについて尋ねてみたところ二つのパターンに分かれているように思います。

 柱など構造材が見える家で生活している若い人はマークと言わずにフシと表現できるしフシが枝の断面だと家の誰かから教えてもらっていてすぐに答えられます。

 フシがない環境で生活している若い人はそもそもフシというものに接する機会が少ないのでフシについて尋ねられても意味不明の印のことなんてどうでもよいと捉えているようです。

 杉の木には枝があるので杉の木を板や柱・梁に製材すれば枝の断面であるフシは当たり前に出てきますが、製材の段階で偶然表面にフシが出ないものが出てきます。
 偶然出てきた材料で無フシの空間を造ろうとすればそりゃ高くつきます。
 ざっくりいって5倍、木造住宅の場合おおよそ建築費用の2割程度が木材代だと言われているので無フシ材で家を造ろうとすれば材料だけで普通の家の建築費用ぐらいになってしまいます。

 一間だけとか一部分に無フシ材を使うことはあっても全室を無フシ材というのは普通のサラリーマンには無理が多い話などと、フシが枝の断面だと知っていることを前提としていることが木の家を伝えるためには障壁になっているかもしれないと思うようになりました。

 冷静になってみるとわが家は木の家ですからフシも当たり前にあるし子供たちもフシをマークとは言いません。
 ところが外へ出ると日常生活でフシを見る機会などほとんど無いことに気がつきました。知人宅も含めて建物にフシはありませんし、昔のような木の板で出来たリンゴ箱などというものもありません。
 普段の生活でフシを見ることが無ければあのマークのことですか?と聞き返してきた若い社員のことも分かるような気がします。

 木の家は汚れや傷がつくし、燃える、腐るといった話を乗り越えて、人という生き物と相性がよい木で造った家は人の生活を邪魔しないことを伝えなくてはいけません。
 しかも伝えようとする相手はフシをマークと表現するのですから大変そうです。

 知らないことは選択肢にも入らないので誰かが伝えてあげないといけません。
 そんなこともしならない人に・・・なんて言わないで、最初はフシのことをマークと表現していた人も山には家として使える木がたくさんありますし、林業家・大工さんや職人さんもいますし住まい手と作り手をつないで木の家を考えてくれる建築士もいるので普通のサラリーマンでも木の家を手にすることは出来ます。

 フシが枝の断面だと知らない人に木と枝の話をすると「木って賢いんですね」と言ってくれた人もいました。
 伝え方さえ工夫すれば木は賢いと言ってくれます。木の家は賢く生きている木を活かして造っているので私たち人と相性がよいと伝えることもできます。

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