一つひとつ

2012.06.13.11:14

 新築中は何度も現場に足を運んで家が出来ていく様子を眺めていましたが、7年経った今でも様々なシーンを覚えています。

 かけや(大きな木づち)で梁を叩くときに使っていた当て木がだんだん痛んでボロボロになっていく様子とか、家の垂直を出す時に一カ所を修正すると家全体がギシギシ音を立てて真っ直ぐになっていく様子など、当時はただ眺めていただけですが時間が経っていろいろ分かってくるとそうした作業が丁寧で良い仕事の証だったことが分かってうれしくなります。

 大工さんは材料が作業場に運ばれてきてから壁が出来上がるまで長い間家に携わってくれますが見ていて感じたことがあります。
 わが家の場合、材料を手刻みして現場で組み上げれば骨組みだけの家になります。

 それから屋根の野地板をはった状態で完成する部分が結構あります。
 天井板など隠すものが無いので棟木まで見えます。
 こうした部分は工事が始まって間もない頃に終わってしまいますがこれで完成する部分です。

 大工さんは毎日コツコツ新しい部分を作り上げていきますが、細かい部分が出来るとそれで完成、そしてまた次への繰り返しのように見えました。
 そんな作業を見て私が大工さんに「一つひとつなんですね」と声をかけたそうです。

 自分が言っていて”そうです”とはおかしいですが、先日大工さんと話していて私が言ったことで印象深かった言葉として話してくれました。
 大工さんはやることが多く毎日大変なのですが目の前の仕事はしっかりやらないと出来上がれば次の作業に移ってしまいます。

 細かい作業を簡単な気持ちで妥協すると家全体もそれなりの仕上がりになってしまうそうです。
 そういえば近所の大工さんが、どうせクロスをはって見えなくなるから丁寧に仕事をするよりも早く仕事をこなす方が価値があると話してくれたことを思い出しました。

 見えなければいい加減な仕事が許されるわけではありませんが、見えるということは影響があるように思います。
 また、最近は施主であっても現場に立ち入り禁止になることが多いそうです。
 私は建築士からもらったヘルメットをかぶって毎日のように大工さんの仕事を見ていました。

 当時は家が出来上がっていく様子に舞い上がってただ眺めていただけですが、現場で見たり聞いたりしたことは意外に覚えているものです。
 住み始めてから7年が経ちますがわが家を眺めるとき頭の中では大工さんの一つひとつの仕事が目に浮かびます。

 丈夫な建物とそれを維持しようとする住まい手の気持ちが一緒になると長持ちする家になるのかもしれません。

comment

Secret

ブログ内検索
最新記事
カテゴリ
リンク
タイトル一覧

全記事タイトルの一覧

月別アーカイブ
2010.12~
メール送信

名前:
メールアドレス:
件名:
本文: