乾燥

2012.09.11.23:10

 木材を乾燥させるためには天然乾燥や人工乾燥、水中乾燥という方法もあるそうです。 人工乾燥は乾燥機に入れて数日で目標とする含水率にするのでわかりやすいのですが、天然乾燥は屋外に桟積して何ヶ月もかけて乾燥させることが多いそうです。
t_RIMG0174.jpg
 製材所へ見学に行くと桟積された柱・梁、板が整然と並んでいる光景を見ることが出来ます。
 ところが乾かす行為の筈が屋外それも雨ざらしになった状態で置かれています。洗濯物を干すときに雨が降れば屋内に入れるし濡れてしまったらまずいと思って林業家に尋ねたことがあります。

 どうして外に置いているのですか。
 答えは濡れた方が早く乾くから・・・。

 乾かすためには濡れた方が濡らさないよりも早く乾くと言うのは何とも不思議な話ですが、木の乾燥は洗濯物を乾かすのとは少し様子が違うようです。

 山に生えているときは自重以上の水を含んでいますが製材所では含水率30%ぐらいまで落とします。
 製材所にやってくるときは含水率70%ぐらいなのでここから半分ぐらいに落とすことになります。
 詳しく見ると水が細胞の中に溜まっている自由水と細胞に含まれている結合水があって自由水は早く出て行きますが、結合水は出て行くまで時間がかかります。

 結合水が乾き出すのは含水率が25%ぐらいからですから製材所では結合水まで抜けませんが、自由水は雨に当てることで毛細管現象を利用して早く水を抜くことが出来るそうです。
 出荷まで外に置いておくわけじゃ無くて出荷前2週間ぐらいは屋根がある雨の当たらないところで乾かすので濡れた状態で出荷されるわけではありません。

 さて、林業家のところでは30%ぐらいまでに乾いていますが、施工中も乾燥が進みますし引渡後も乾燥が進んで最終的には20%以下まで乾燥が進みます。
 自由水が抜けても木の中は水が抜けるだけですが、結合水が抜けはじめると木そのものが縮み出します。
 この縮む段階で表面と内部の乾燥の違いから引っ張りの力が生まれてそれが割れる原因になっているので、天然乾燥した芯持ち材は必ず割れるわけです。

 最終的には20%以下になるのが分かっているのになぜ30%で出荷するのかと思いますが施工後は全く雨にかからない、しかもある程度気密も保たれた室内での話です。
 屋根があるといえども屋外なので屋外では25%以下にならないそうです。

 林業家はうちの天然乾燥材には説明責任があると言います。
 芯持ち柱や梁は必ず割れることや割れが入っても強度には全く影響が無いことを説明する共に、なぜ手間や時間がかかる天然乾燥を続けているのか話してくれます。
 選ぶのは施主なので色艶や香り、肌触りなど天然乾燥材の魅力を知った後、どうしても柱が割れたり床に隙間が空くのがイヤだという方は別のものを選べばいいと思います。

 しかし、柱が見える真壁仕様の家を考えている方が割れるのは天然乾燥材、割れないのが人工乾燥材で割れるのがイヤだから人工乾燥材を選んでいるとしたら随分もったいない話です。
 施工側もあとからクレームになりそうな割れが必ず入る天然乾燥材よりも施工時にすでに20%以下に乾燥した人工乾燥材を使った方が都合が良いことも影響しているのかもしれません。

 天然乾燥材の特徴をプロに尋ねたアンケートで一位になるのは色艶が良いことですが、私は最近まで色艶が良いことがどういうことなのかよく分かっていませんでした。
 住み始めて7年ぐらい経ってくると新築当初とは家の色合いが違ってきます。

 7年と言えば人間で言えばやっと小学一年生、林業家の住宅展示場はすでに高校生ぐらいですし、林業家の家で大卒の新社会人ぐらいです。
 見せてもらうと色艶の違いは歴然ですがわが家もやがて同じようになると思うと楽しみになってきます。
 色艶が良いという言葉で説明されるよりも実際見せてもらうと、このために手間と時間をかけて乾燥していると言うことがよく分かります。天然乾燥すると木の色艶は樹齢と同じぐらいの時間をかけて深まっていくそうです。

 先日木の家のことがいろいろ分かってくるともう1軒建てたくなりませんかと言われたことがありました。
 お金のこともありますからもう一度木の家を建てることは無いと思いますが、お金の問題が解決しても家は建てないと思います。

 新しく建てるとまたそこからスタートです、仮に20年経って家を建て替えるとあの赤身がトロトロになった林業家の家の色艶を自宅に見ることは出来ません。
 10年、20年、30年経っても色褪せない色艶は林業家が手間と時間をかけて木が元々持っている天然成分を残してくれているからに他なりません。

 わが家の特徴は丈夫で長持ちして美しく住みやすい家だと思っていますが、美しい家と思えることは長持ちさせるためには必要ですし、住みやすい家が丈夫だと言うことも住み続けるためには大切なことだと思います。

 含水率やヤング係数などと違って数値に表しにくい色艶ですが長く住み続けたいと思う気持ちには大きく作用しているように思います。

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