2014TS植林ツアー

2014.05.05.16:14

 植林ツアーに行ってきました。
 春の植林ツアーには観光も取り入れられていて今回は紙すきを体験してきました。
 観光と言いながらちょっと他とは違うところがTSツアーです。紙漉き

 杉の植林は苗を植えますがただ植えてもあっという間に鹿の餌になってしまいます。
 植林した周囲にネットを張っても一度ネットの中に鹿が入ればそこは鹿の餌場になってしまいます。駆除するにしても限界があるなど多くの林業家が困っています。

 そこで山に自生している三椏(みつまた)は鹿に食べられていないことに注目した林業家が三椏も植えることで鹿の被害を軽減しようと取り組んでいます。
 三椏と言えば壱万円札の原料でもありますが、お札が三椏だけでできているわけではありません。
 和紙の原料として三椏の他に雁皮(がんぴ)や楮(こうぞ)などがあります。今回はそれぞれの原料100%で作る和紙と原料を混ぜて作った和紙の紙漉き(かみすき)を体験してきました。

 私たちは紙漉きと乾燥だけの体験でしたが、原料の刈り取りから完成まで13工程あります。お昼過ぎに私たちが到着するまでに11工程を済ませてありましたが、説明や道具を見る中で紙漉きと言うけど紙漉きは全体からすれば1割ほどの労力でほとんどは冷たい水に触れながら根気のいる作業が多いことも知りました。

 和紙が一般の紙と比べて強靱なのは障子戸を不注意で蹴飛ばし戸が外れても紙が破けないことや和紙を引っ張ってもなかなか破れないことで何となく知っていましたが、一般の紙とどこが違うのか興味がありました。
 自分で漉いた和紙をちぎって拡大鏡で見てみると随分繊維が長く横方向に綺麗に折り重なっています。ちぎった和紙

 綺麗に折り重なっているから漉きあげたばかりの水浸しの紙を上に乗せていっても後から綺麗に剥がれたり、横方向に長い繊維が絡み合うことで引っ張ってもなかなか破れない強い紙になっていることも分かりました。

 繊維の主成分はセルロースです。セルロースは紫外線には反応しにくいので長い繊維が絡まってできている和紙を障子紙に使うと長持ちする理屈も分かったように思います。

 また以前五箇山和紙を使っている障子を熱カメラで撮ったことがありました。
 わが家の薄い障子紙より断熱性が高かったことも長い繊維が絡まって空気層を作るちょっと厚めの和紙の特徴が出ているようにも思いました。

 製材所の見学では丸太を板や梁に加工する場面で、最初にのこぎりを入れたときにはフシがほとんど無いのに丸太から切り進めるたびにフシが増えていきました。
 参加者が移動するバスの中で林業家にその様子を尋ねるシーンがありました。
 白太にフシが少なくて赤身に多いことは何となく知っていましたが、小さかった木が生長する中でいらなくなった枝を落としながら大きくなっていく過程を製材加工で見ることができました。

 ツアーには建築士の方や建築を学ぶ学生の参加もありました。見つめる天井
 阪神大震災前ぐらいまで建築を学ぶ大学ではほとんど木造建築を学ぶ機会がなかったそうです。捨てられた木造建築などと表現する人もいたくらいだそうです。

 今は建築を学ぶ学生が山に出向いて林業家の話を聞く機会があります。見学したモデルハウスは学生が生まれた頃に建てられた建物です。
 これから社会に出て建築の道を進もうとしている学生に林業家が直接講義をしてくれます。

 私にはわが家があと10年経った未来の色艶の様子を見る機会ですが、20年近く経った天然乾燥材を用いて建てられたモデルハウスを見上げる学生にはどのように映っているのでしょうか。いい顔しているので何かを感じてくれたのかもしれません。

 私は木は使ったら植えることが大切だと思っています。
 木は石油や鉱物資源と違って太陽エネルギーと水と二酸化炭素があれば再生産が可能で、いくら使っても植え続ける限り減らない資源です。若い林業家

 しかし、植えるにはお金もかかるし鹿などから苗を守る手間もかかるし、植えてから使えるようになるまで長い時間がかかります。
 私たちが植林している山の木を使いたいと言い続ければ森林資源は復活します。
 それが途切れないように続くことは林業家だけで無く田畑や水資源など国土の保全にも役立ちます。

 本来は使った木の5倍以上は植林しないといけないそうです。
 鹿に食べられたり、長い時間の中で淘汰されたりしながら最後まで残っている木は2割程度になってしまいます。

 わが家に使った木の全てを植林することはできませんが、木は使ったら植えることの大切さを忘れないためにも植林ツアーは続けてほしいと思いました。

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