手刻みの魅力

2015.02.28.12:07

 最近の柱や梁は数値制御工作機で加工することが多いそうです。
 わが家は大工さんが手刻みしてくれた家ですが、手刻みのどこがいいのか尋ねられると困ることがあります。
 職人さんの手仕事だから、ぬくもりがあるからなどと言われることもありますが、今ひとつ分かりにくい話です。
番付する大工さん
 私も最初は建築士が手刻みすると言うから手刻みになったということで、私が手刻みして欲しいと言ったわけではありません。
 もちろん当時の私に手刻みの魅力など分かるはずもないし、時々建築士に手刻みについて尋ねることはありましたが、うーん何となく分かったような・・・といった感じでした。

 手刻みでは大工さんがどの材料をどこにどの向きで使うか決めて印(番付)をつけていきます。
 番付された材料を大工さんが加工するので時間も手間もかかります。
 建築士は私たち施主を番付に参加させてくれます。

 何も書いてない何本もある大きな梁をどこに使おうかどっちの向きで使おうかなど相談しながら決めてくれます。
 私に決めろと言われても困ってしまいますが、こっちがお腹でこっちが背だから・・・などと説明を聞きながら決めていきます。

 初めて見る番付なので決めると言うよりは舞い上がっておぉ~そういうことかなどと感心しっぱなしなのですが、何とか数本の梁が決まります。
 私たちは初めて見た番付に感動して上棟日を待ちわびるわけですが、大工さんはこの後が大変です。
 わが家でも柱だけで100本ぐらいありますし、他の梁も含めて全部の材料について番付しないといけません。

 写真は大工さんが柱の位置を書いた図面を見ながら目の前にあるたくさんの柱をこれから番付しようとしているところです。
 場所によって柱の長さも違うし、周囲から良く見える場所もあれば押し入れに使われる柱もあります。
 一本ずつ柱や梁を見ながらどこにどの向きで使うかこの作業で決まります。

 完成見学会でリビングのフシが少ない綺麗な柱に目がとまったお客さまに大工さんが説明する場面がありました。
 「この柱はたまたま見つけたのでこの場所にしました。」
・・・説明終了・・・

 思わずもうちょっと番付の話しもしてほしいと思いましたが、建築士も大工さんも細かい話しはしないので私たちは本当にたまたま偶然見つけたと思ってしまいます。
 偶然じゃ無くて全部見てこの場所がふさわしいと選んだことを説明して欲しいのですが、大工さんが言うとたまたま見つけたになってしまいます。

 真壁仕様の場合柱や梁は表に見えます。見えるから選ぶわけですし、時間が経って施主が手刻みの魅力について少し分かってきた頃、押し入れや収納に隠れている柱や梁を見るとちゃんと使い分けられていることが分かるようになります。
 私は木の良し悪しはフシの有る無し、大きさによると思っていましたが、同じ等級であってもフシの大小、一本の柱にあるフシの数などいろいろです。

 バラツキが少ない均一の材料としてや強度など数字だけで捉えればやり方も変わってくるのかもしれませんが、木材を適材適所に使い分けるために番付は大切だと思いますし、手刻みしないとやがて番付はできなくなってしまいます。
 柱や梁を壁で覆ってしまう大壁仕様ではこうしたことはどうでも良い話しかもしれません。

 しかし、天然乾燥材は色艶が時間と共に深まる大きな特徴があります。
 最近、いい色になってきた・・・30年経つ林業家のご自宅のことですが杉を知り尽くした林業家でさえ目にとまる色艶は一部のお金持ちだけのものではありません。
 手刻みについては仕口・継ぎ手の種類や大きさなどいろいろあるようですが、住まい手としては見えるところには気を使ってほしいところです。

 私は最初、天然乾燥材を手刻みするなんて高価で手が出ないと思いました。
 家造りでは建築設計事務所で家造りをすると設計料がかかるので費用が高くなるとか、天然乾燥材を手刻みするなんて高くて手が出ないなど今にしてみれば勝手な思い込みによる誤解だったことがいろいろあります。

 住み始めて8年半が経ち少しずつ色艶が変わってきたわが家を眺めながら、手刻みは手間と時間がかかりますが天然乾燥材の特徴を活かせる最善の方法だと思えるようになりました。

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