温熱環境と床暖房

2015.03.11.10:55

 私が新築を考え始めた頃は無垢の床材と床暖房は相性が悪いと言われていました。
 床暖房と無垢の床材の組み合わせでは床に大きな隙間が空いてしまうと言うのが主な理由だったと思います。

 確かに無垢材、特に天然乾燥材は急激な温度差に弱い傾向があり起床時や帰宅時に床暖房のスイッチを入れて急激に床の温度を上げる使い方は不向きなように思います。
 35度ぐらいの比較的低温の温水で床を暖めるタイプであれば問題は起きにくいと思いますし、むしろ無垢の床と床暖房の相性は良いとさえ感じます。

 床暖房を導入するにしてもリビングだけとか寝室やトイレは設置しないなど室内の一部だけと言う方も多いと思います。
 私も建築士から全室床暖房の提案をもらったとき、そこまでしなくても・・・と思いましたが、全室設置するのも一部だけにするのも費用に大きな違いは無かったし、建築士が言うのだから他に何かあるのかもしれないと思って全室床暖房を設置することになりました。

 今はあの時、建築士の提案を断らなくて良かったとしみじみ思いますが、当時の私には暖房についての知識は乏しく寒い部屋を暖める暖房機器としてストーブ、エアコン、床暖房のうちどれを選択するかといった感じで捉えていたように思います。
 床暖房は輻射熱で日だまりのような暖かさだと説明されても輻射熱ってナニ?という始末で建築士には随分苦労をかけたと思います。

 自宅の温熱環境を測り続ける中で建築士が何を伝えたかったのか最近少し分かるようになってきました。
 エアコンやストーブは熱源で空気を暖め寒い室内に吹き出したり、温度差による対流を利用して部屋を暖めます。
 これらの方法は室内に暖かい空気の層とまだ暖まってない空気の層ができます。
 しかも、暖かい空気は密度が小さくなることで軽くなって上に昇ってしまいます。

 暖められた空気はまだ暖まっていない壁や天井に熱を奪われることで温度が下がっていきます。
 温度が下がると空気の密度が大きくなるので重くなって下に降りてきます。
 住まい手にとって悩ましいのはいつまでたっても暖かい空気は上層にあって冷えが空気が下層にあるということです。
 下層にある空気で寒くない温度にしようとすれば上層は40度を超えることも珍しくないそうです。

 それじゃ天井にファンをつけて空気を撹拌すればいいと思いますが、密度の違いによって別れている安定した空気層を撹拌するのは容易ではなくファンを止めてしまえばすぐに戻るし、強く撹拌すれば気流によって体感温度を下げてしまいます。

 床暖房も床を暖めて室内を暖めるのかと思っていましたが、床から放射される遠赤外線(光)が壁、天井、家具や人に当たって分子を振動させて熱を発することで壁や天井などが暖かくなりそれに接している空気が熱伝導によって暖まる仕組みだと分かってきました。

 床暖房が室内の上下間で温度差が小さいのも壁や天井が空気よりも先に暖まるので空気の対流が起きにくくなることが関係しているようです。
 でも、床暖房は部屋の温度が安定するまでに数日を要しますし、エアコンやストーブの場合、普通は外出時や寝ているときは暖房しません。

 連続暖房なんて無駄だと言われそうですが、最近の家は熱が逃げにくいので連続暖房しても起床時や在宅時だけ暖房しても費用に大きな差はなく、起床時や帰宅時に暖まるまで待つことを考えれば体の負担は随分小さくなります。
 全室連続暖房は比較的小さい熱を連続的に与えることで室温を保つ方法ですから熱源を意識すること無く寒いと言うことを忘れてしまいます。

 寒く感じない家では室内を開放的に使えるしトイレや浴室も室温と同じなので風呂の入り方まで変わってきます。
 私は単純に冬でも暖かい家にしてほしいと言いましたが、建築士は一歩進んで室内から寒さを取り除き、室温を保てる環境を考えてくれていたように思います。

 部屋を暖めるだけならストーブやエアコンで良いわけですが、暖房費や住まい手の居住性や快適性まで考えると床暖房による全室連続暖房は富山の冬に合った暖房だと思えるようになってきました。
 熱源にヒートポンプが使えるようなったり、床暖房設置費用が安くなってきたことも追い風になっているように思います。

 富山では11月から翌年4月下旬までの5ヶ月間暖房します。暖房期間の居住性や快適性は住み心地に大きく影響します。
 私にはこうした知識が無く全て建築士が考えてくれたこと今になってやっと少しだけ分かってきてこうしたことを書いているわけですが、無垢の床材と床暖房は相性が悪いと誰かが言った一言であきらめないで技術者の話にも耳を傾けてほしいと思います。

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