Q値と住み心地

2017.03.17.19:35

 前回、Q値やUa値、気密性能で使われるC値といった値も参考になりますが、人が生活していてどのように感じるかといった視点は値以上に住み心地には影響がありますと書きました。

 ハウスメーカーのパンフレットには当たり前のようにQ値やUa値などが載っていますし値が小さいことをアピールする会社もあります。
 建物から逃げていく熱量を知ることは光熱費の削減など実生活に恩恵がありますから是非知っておきたい値です。

 しかし、値が小さいほど住み心地が良くなるかというとそうでもなさそうです。
 室内に温度計を置いて室温を調節している方は多いと思います。
 普通は一台か二台の温度計で室温をみているわけですが、人間の体には手のひらだけでも15,000個を超えるセンサーがあって体中のセンサーから集まる大量のデータを総合的に判断してリアルタイムに環境を把握しています。

 室内にある温度計が適温になっていても足下が寒かったり頭だけ熱いなどといったことも普通に感じることができます。
 Q値やUa値が小さいと言うことは熱が逃げにくいと言うことですが、家全体から逃げていく熱量しか分かりません。

 室内には暖房機付近の暖かい場所もあれば壁や窓付近などまだ暖まっていない場所もあります。室内に温度差があると暖かい空気は上昇し代わりに冷たい空気が降りてくるといった対流が起きます。
 家全体から逃げていく熱量が同じでも室内に大きな温度差あると住まい手は常に冷たい空気にさらされて生活することになります。カタ温度計

 また、エアコンやファンヒーターなどの温風暖房では室内に気流ができます。エアコンから出ている風などたいしたことが無いと思っていましたが、測ってみるとエアコンから5メートルぐらい離れていても0.2m/sぐらいの気流がありました。

 普段の生活で人が感じることができる気流は0.3m/sぐらいからと言われていますが、気をつけていれば0.2m/sでも感じることができます。(写真はカタ温度計による気流測定の様子)

 1秒間に20㎝程度という微弱な風というか空気の動きでも肌にまとわりついている高湿度の空気には影響があるようです。
 私たちの体からは常に水蒸気が出ています。おなかと背中に温湿度センサーを貼り付け服を着て数時間観察してみると肌の表面付近温度は30度から32度ぐらいで湿度は室内よりも常に高くなっていました。

 わが家の平均的な気流は0.1m/s以下なのでじっとしていても気流を感じることが無く、湿度計が30%ぐらいでも乾燥しているようには感じません。
 一般に快適と言われる湿度は40%以上と言われていますが、室内の気流によってはもっと湿度が低くても体にまとわりついている湿度の高い空気によって感じ方が違ってくるようです。ガーゼを巻いた温度計

 棒温度計を二本用意して片方だけ濡れたガーゼを巻いて弱い風を当ててみるとガーゼを巻いていない温度計は風が当たっても温度は変化しませんが、ちょっとした風でも濡れたガーゼを巻いた温度計の値は変化することからも気流が小さいと肌周辺の高湿度の空気がはぎ取られにくくなるように思います。

 熱損失といったエネルギーの話と人が室内環境をどう感じるかと言ったことは分けて考えた方が良さそうです。

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