基礎

2017.09.03.12:03

 先日着工した新築現場を見せてもらいました。
 まだ、コンクリートを打設する前の基礎の鉄筋がむき出しになっている状態を見に行きました。
 私はこの鉄筋が組まれた状態を見るのが好きで、建築士にお願いして何度も見せてもらっています。

 鉄筋は組み終わると建築士の検査の後すぐにコンクリートを打設してしまうので組み上がった鉄筋が見られるのは一日だけなのですが何とか日時を合わせて見に行くようにしています。
 何度見せてもらっても丈夫な基礎を構成する立派な配筋でした。

 鉄筋の話でよく話題になるのは基礎の立ち上がり部分に用いられるフックの話です。
 よく見かけるのはフックを設けずにプツンと切ってあるものですが、フックが無いとダメというわけではありません。

 丸棒鉄筋(表面がツルツルの鉄筋)の場合はフックが必要だが異形鉄筋(デコボコした鉄筋)の場合はその限りでは無いとか、フックは基礎に働くせん断力に対抗する物として用いられるが一般的な二階建て木造住宅の場合ではせん断力は無視しても良いほど小さいのでフックを設けずに鉄筋をくみ上げることもあるそうです。

 ところが建築士の現場ではどの家でもフックが付いているし、そのほかの部分も私が他で見る配筋とは随分違って見えます。
 建築士に今思えばド素人の間抜けな質問をしたことがあります。
 普通はフックをつけないことが多いし、計算してみても二階建て一般木造住宅の場合はフックが果たす役割が小さいのにどうしてフックを設けるのですか。
 今思い出しても恥ずかしくなりますが、建築士は一言

「家は木造だけど基礎は鉄筋コンクリート造ですから」

 鉄筋コンクリート造の建物ではフックは当たり前なのに上に乗るものが木造住宅になったとたん鉄筋が細くなったり量が減ったり、フックが無くなったりします。
 鉄筋コンクリートには決められた作り方があるのでその通りやっているだけで特別なことをしているわけでは無いそうです。
 もう一言

「決まっていることを勝手に決めてはいけません」

 なんだか私の日常生活を注意されたようで頭が痛い一言でした。
 基礎は地震や強風など大きな力を地面に流すための大切な構造物ですからこれが壊れると修復は大がかりな物になります。

 日常ではこのくらいにしておけばいいだろうというシーンはよくありますが、自分を選んでくれたお客さんのためにできることをしっかりやるという建築士の姿勢から学んだ出来事でした。

 似たような話に壁倍率の話があります。
 住宅メーカーのパンフレットにも壁倍率2.5とか3.0などと壁倍率のことが出てきます。
 壁倍率が大きいほど大きな力を受けることができる壁と言うことです。

 パンフレットには数字の説明はありますが、壁は宙に浮いている物では無いので何かと繋がっています。
 壁が大きな力を受けられてもそれを支える物にそれ以上の能力が無いと壁が壊れないで壁を受ける部分で壊れてしまいます。
 大きな地震の後、被災した住宅の土壁が剥がれ落ちている場面がよく出てきます。
 あんなに壊れて・・・と思ってしまいますが、実は土壁が先に壊れるように作ることで地震力を吸収し家本体へのダメージを抑える仕組みなんだそうです。

 確かに土壁が落ちた程度だったらまた塗ればいいですが、家本体の軸組が壊れると治すのは大変です。
 壁倍率が大きい壁ほどそれを受ける部分が重要になってきます。

 倍率の大きい壁を要所に配置するにしても、それほど倍率の大きくない壁をバランス良く配置するにしても最終的には基礎が家に働く力を受けるのでしっかり作っておくことが大切ですし、わずか一日で埋まってしまう見事な配筋を見て私も自分の仕事はしっかりやろうと思いました。

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