待つ価値

2018.04.06.10:38

 最近は家づくりを思い立ってから新居に入居するまでがとても早くなりました。
 知人は初めて住宅展示場に出向いてから112日後には新しい家に入居したと言っていたのでどうしたらそんなに早く家が出来上がるのかと不思議に思うくらいです。

 わが家の場合は設計事務所に出向いて建築士に「家づくりの相談をしたいのですがどうしたらいいのでしょうか」と最初の一言から入居までを数えると20ヶ月かかりました。
 入居までが長いとか短いといった時間だけを取り上げることにはあまり意味がないと思いますが、入居までの1年8ヶ月は今の私たち家族には貴重な時間だったと思っています。

 当初はどのような家にするのか決まったら建てるのに半年ぐらいかかるだろうから1年も見ておけばいいだろうと何の根拠もない予想をしていました。
 実際には建坪40坪ぐらいのわが家では基礎工事が始まってから95日ですから概ね3ヶ月で家が出来上がりました。
 では後の1年以上は何をしていたのでしょうか。

 間取りや設備機器の選定など決めなくてはいけないことは比較的早い段階で決まってしまいます。
 全部が一気に決まるわけではないので少しずつ決めていくわけですがそれでも施工前にかかる時間としては長い方だと思います。
 施工前にかかった時間で最も長い時間は待っている時間です。
 待つと言えば建築士や施工者が忙しくて順番を待っているのかと思いますが、それとは違うことのために時間が必要ということでした。

 一つ目はわが家は葉枯らし天然乾燥した木の家なので山に立っていた木を伐採して製材し家に使える材料にするまでには時間がかかります。
 時間をかけなくても人工乾燥すれば早く木から水が抜けて家に使えるような木材になるのですが天然乾燥は短いものでも3ヶ月、普通は半年以上屋外で木から自然に水が抜けていくまで待つ方法です。

 もう一つは木が木材として使えるまでの時間を利用して家について学ぶ、つまりほとんど何も知らない施主が建築士や林業家から木のこと、家のことについて話を聞くことで木の家についての理解が深まります。
 理解が深まると言っても言われてすぐに理解できるわけではないので分かった!と思えるようになるには時間が必要です。

 これから家を建てようとしている方に普通は半年もすれば家が出来上がるのに、木の家は倍以上の時間がかかると言えばそれだけで敬遠されるかもしれません。

 しかし、木の家に時間がかかることには施工者がサボっているとか忙しくて順番待ちといった施主から見て消極的な理由ではなくて私たち施主側の利益につながる積極的な訳があることを知ってほしいと思います。
 施主の利益には正しい知識、上手な家の使い方、これが最も大切だと思いますが家を長く使い続けようとする住まい手の意識などがあげられます。

 家づくりの最中にはこうしたことを考えたり気づいたりすることなく夢中で走り抜けた時間だったと思います。
 あれから11年経ってみると家が出来上がるまでに学んだことが私たちの家に対する思いの基本になっているように感じています。

 家が出来上がるまでの時間だけ比べれば倍以上かかったわけですが、今思えばたった1年ぐらいの違いしかありません。
 たった1年ぐらいの違いでしたが私たち家族は葉枯らし天然乾燥材の特徴でもある色艶が美しく安らぎを与えてくれる家で日常を送っています。

 天然乾燥の木の家なんて高価だろうとよく言われるのですが、林業家や建築士は「普通のサラリーマンが建てられない一部の金持ちの家では意味がない」と言いますし、普通のサラリーマンである私もそう思います。

 何かと忙しく慌ただしいご時世ですが木の家が建つまでの待ち時間には大きな価値があります。

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